表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/67

お一人様ご案内

夏休みが終わりました・・・。それに伴い、更新がゆっくりになります。





眠れなかったのですか?というのはこちらの台詞である。

むしろ、彼の方が寝ないといけないんじゃないの?私は6時間弱は寝てるけど、向井さんはさっき部屋に戻ったばかりだ。


「向井さんこそ、眠れなかったんですか?」

「はい、ちょっと寝つけそうになかったので・・・。」


ちょっと恥ずかしそうにそう言って、私の方へ歩いてきた。

近づくとより分かる。目の下の隈がはっきりしていて、さっきと同じく酷い顔だ。こんなに眠たそうなのに眠れない理由ってなんだろう?


「大丈夫ですか?目の下の隈が・・・」


そう言うと、ぴたりと歩みを止めた。

顔がみるみるうちに赤くなり、見られないように俯いた。


「す、すみません、みっともない顔を見せてしまって・・・。」

「いえ、それはまったく気にしていないんですけど・・・。」


少し心配なだけだ。彼の目の下の隈は、私が原因なんだし。なんとか寝付けない理由を聞けないかな。この状態でこのまま起きて、一日過ごされると気になって仕方ない。


「あの、寝付けないって、何かあったんですか?」

「え!えっと、それは・・・。」


何か言いづらそうだ。私が部屋に引っ込んでから、何かあったのかな。

とりあえず・・・こんな廊下で立ち話をしていたら、石川さんと武田さんも起こしかねないし。


「部屋に入りますか?」

「え!!むぐぐう!?」


思わず向井さんの口を両手で押さえたのは、ファインプレイだと言ってください。



「二人が起きてしまいますから、静かに。」


いいですね?と目線で訴えると、向井さんはコクコクと頷いた。もう大丈夫かな・・・と判断して、ゆっくり手を離すと、手にあった柔らかい感触が離れていく。

うーん、イケメンの唇は形も良いから、感触も硬すぎず柔らかすぎず・・・


「え、えりの手の感触が・・・!」


小声でまた妙なことをおっしゃっているが、聞かなかったことにしよう。

って、お互い様か。



部屋になかなか入ろうとしない向井さんの背中を押して、私の部屋になんとか入れて、ドアを閉める。

どれだけ入りたがらないんだ・・・。

背中を押して部屋に入れたけど、向井さんはその場から一歩も前進しない。緊張のあまり身体が固まっている様子だ。ああ、別に部屋に入れたからって取って食べないから警戒解いてくださいよ。


「わ、私がえりの部屋を見ても良いのでしょうか・・・!」


え、緊張してるのってそっち!?部屋を見られても何とも思わないんだけど。

部屋って言っても二日前から使いだした部屋だよ・・・この部屋の景色は、住みだした二日前からまったく変わってないし。

それに私たちって夫婦なんだし、部屋を見るな入るなってのは一緒に暮らしている以上、無理なことだと思うんだよね。


「昼間、武田さんにも言ったのですが、いつでも入って来てくださって結構ですよ。深夜の寝ている時間帯以外なら、問題ありませんので。」

「え!い、いつでも・・・!?」


向井さんがドアの前から動かないため、パソコンの側にあるイス二脚のうち、一つに座る。寝てないんだったら疲れていると思うから、イスに座ってもらいたいんだけどなぁ。

なかなか座ってくれそうにない。


「でも、えりが着替えている時に入ってしまったり、お昼寝をしている時に入ってうっかり起こしてしまうかもしれませんし・・・!」


顔を青くしたり赤くしたり、忙しそうだ。そんなに拒否するなんて、もしかして入りたくないのかな?それなら別に無理して入らなくてもいいよ。部屋に挨拶に来いってわけでもないんだからさ。


「私にそのような権利を与えては、えりを不快にさせてしまうかもしれませんよ・・・!」


っと、そうでした。彼ら夫は、嫁を不快にさせないように気を遣ってくれている(という予想がある)んだった。たまたま向井さんが部屋に入ってきたタイミングが、私にとって都合の悪い場合があるってことだよね。それなら別にさ・・・。


「ノックをしてくれたら、そんなハプニングは起きないと思います。だから、いつでも訪ねてください。」


というか家族でもノックはしてもらいたいから、むしろノックはこちらからお願いしたいな。

私も彼らの部屋に入ることがあるなら、ノックして入ると思うし。

それこそノックしないとプライバシーの侵害だよね。


「分かりました・・・。必ずノックをしてから、部屋に入るようにしますね。」


ノックはそんなに気合いを入れてするものじゃないと思うんだけどな・・・。

まあそれで彼が納得してくれたならいいや。これで、用事がある時に私の部屋の前で彼らが私を出待ちしたり、声を張り上げて私を呼ぶような事態を防げるわけだ。

そんなことをする人はいないと思うんだけど・・・今回、彼らが私が起きるのをリビングで待っていた光景を見て、私の中で可能性がでてきたんだよね。不安の種は早々に排除するべきなんだ。


ちょっとすっきりしたところで、向井さんを再びイスを勧める。遠慮して座ろうとしないのだけど、「私だけが座っている方が、居心地が悪いんです」と言えば、恐る恐る座ってくれた。おしりがちょっとしか乗ってないけど。苦しくないの?空気イスになってない?

彼が辛そうになったら、また声をかければ良いか・・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ