嫁の圧勝
「そ、そうじゃなくって・・・!そんな可愛い女の子が言うような理由じゃないし!」
やめてー!!「恥ずかしかったの~」って理由じゃないんだって!そっちに受け止めないで!!
「だから、私の使用済みの下着を洗って貰うのが申し訳なかったし、それで何かあって不潔な女って思われるのも嫌だし、べ、別に不潔にしてるわけじゃないけど、万が一のことを考えて、三人にわざわざ知られる必要もないことだし、だから、恥ずかしいとかじゃなくて・・・!」
あああああ話せば話すほど、墓穴にはまっていってる・・・!
言わなくてもいいことがどんどん出てくるよ!
というか何を言っているのかも訳分からないし!
三人も、なんだか少し恥ずかしそうにしてる。そんな反応しないでよ!不潔じゃないんだから!トイレもキチンと拭いてるよ!!誤解しないでよ!一丁前に恥じらってるわけでもないことを説明しようとしたら、また別に言い繕わないといけないことが出てきたじゃん!向井さん、妙な解釈しないで!
せめて、女の端くれとしての尊厳だけは守りたいんだけど・・・!
「えっと、えりのことを不潔とかは一切思ってないから、安心して?ただ・・・」
ただ、何だ!言葉を止めないでさっさと言ってよ!こっちは今すぐ部屋に戻って引きこもりたい気分なんだから!
「やっぱり、恥ずかしがってるってことなんじゃないのかな、って・・・」
「違う!そうじゃないんだって!そうじゃなくて・・・!!なんて言うか、私なんかの下着を、イケメンに触られたのが・・・!」って、あれ?これって・・・。
「やっぱり、恥ずかしいってことなんじゃないのか?」
石川さんにまでそう指摘され、三人にそう解釈されたところで、私も反論する余地も言葉も無く、思考が停止した。
「羞恥心で死ぬ!って言っていたが、要は恥ずかしいってことだろう?」
そ、そんな事、言ってしまってたっけ・・・。
「私たちのことを、意識してくれていたということでしょうか・・・。」
そうじゃないし。別に、胸がときめいたりはしてないし!
「俺たちがえりの下着を触るのに、恥ずかしいって思ってくれたんだ。」
そんなわけないよ!普通誰でも人に下着を触られると恥ずかしいもんなんだから。
「なんだそれ。」
その一言で、身体がびくりと固まった。
思い出す、この感覚。慣れ親しんだ、恐怖。
・・・やっぱり、気持ち悪いよね。
私なんかがこんな、恥ずかしがってたなんて可愛こぶって。ただし美女に限るってことでしょ。私みたいな平凡顔がこんな状況を招いても面倒くさいだけだもんね。寝不足にしてしまった理由がコレかって、怒られるのかな。あきれられる?ため息つかれるのかな。
やっぱり、こんな女性が優遇される世界であっても、気持ち悪いものは気持ち悪いもんね。
調子乗ってたかも。優しくしてくれるから、図に乗ってたんだよ。
早く取り繕わなきゃ。もう男に、面倒な女と思われたくない。
「あはは、不潔って思ってなかったらいいよ。ただ、触らせるのは申し訳ないしねー。これからは私が洗濯物を・・・」
顔に力を入れて、いつものように軽く笑いながら三人にそう提案しようと顔を上げると、三人ともこちらを見ずに顔を手で覆っていた。
「嫁って、こんな爆弾発言をするようなものだったか?」
「いいえ、こんな、こんなこと、知りませんでしたし、見たこともありませんよ・・・。」
「えりがそんなことを言う人だったなんて・・・ううん。発言だけじゃないよ、仕草も声も全部さ、ありえない・・・。」
呆れやため息どころか、失望されてない?
そんなに酷い有様だった?修復できないほど?新婚生活2日目にして、夫に見限られるの?
早く訂正しなきゃ。冗談だって言って、笑い飛ばして、
「あ・・・、ち、違う、そうじゃなくて・・・」
ああ、こんなことなら下着を触られてても何も言わなければよかった・・・
「なんつー破壊力だよ。理性失うくらい本気で可愛いと思ったの初めてだ。」
・・・・・・・・・・・・はい?
「ああ、どうしましょう・・・可愛い、可愛すぎますッ・・・!」
「これって夢を見てたりしないよね?俺の願望じゃないよね?一生懸命話すえりが可愛いんだけど、俺を殺しにきてるの?俺あっさり殺されちゃうよ!!」
ビデオ撮っとけばよかったな・・・。いや、忘れるつもりはねぇけど。
あああ可愛い可愛い可愛いどうしましょうえりを愛でたくて仕方ありません・・・!触る許可をいただければ手の甲に口づけをしたい!
もっと恥じらってる顔が見たい、俺のこと意識してくれるなんて本当に嬉しいうああ可愛いこの衝動をどうやって抑えたらいいのかわかんない!
カオス。三人がそれぞれ悶えだしました。
その瞬間、取り繕おうとした表情も言葉も全てが無に帰して、私の行動に対する感想を述べる彼らを、気がつけば静まるまで眺めていた。




