全力の謝罪
怒りと羞恥心で思わず怒鳴ってしまってから、放心状態の三人を放置して、さっさと部屋に引き上げてあっさりと眠ってから、
今、朝5時である。
夫たちが昨夜どのように過ごしたのかは分からなかったけれど、昨日はそんなことお構いなしにさっさと眠ってしまった。
が、今目が覚めてから思うことは、「もう少しちゃんと説明するべきだったのではないか」ということだった。寝ている間に少し気になっていたのか、いつも起きる時間よりも遙かに早い時間に目が覚めてしまった。
寝たら頭もすっきりして余裕ができるのか、昨日のことを思い出して羞恥心は確かに湧くけれども、それよりも罪悪感の方が大きい。寝る前に私の服を洗濯しようとしてくれた人に対して言う言葉ではなかった。常識が違うのだから、互いに説明しながら理解していくべきだって考えたばかりだったのに。夫たちも、私の常識を知りたがっていたし、家の中で済むことで妥協できることならしても良いと言ったことのように、私の感情を優先してくれただろうに。こちらが一方的に感情をぶつけてしまった。
悪いことをした。
そして、さらに悪い予感がするのだ。
そう、あの三人、特に向井さんと武田さんは・・・。
ラフな服に着替えて、化粧室で顔だけさっと洗ってから、リビングに向かった。
すると、リビングに繋がるドアから漏れる声で、私の予感が当たっていたことを知る。
「えりに、嫌われたかもしれません・・・。」
「えりの服を洗っちゃいけないって・・・やっぱり、俺のこと変態って思ってたのかな・・・。」
「その発言、もう何千回も言ってるじゃねぇか。ちゃんとえりに話を聞かないと分からないだろ。取りあえず、もう日が昇り始めてるからちょっと仮眠しろ。」
「いやです。えりが起きてきたら謝らないと・・・。えりに嫌われたままなんて、生きていけません。」
「許してくれるかな・・・。せっかくちょっと仲良くなれたのに・・・。」
ものすごく落ち込んでいた。
というか寝てないの!?
武田さん、昨日も目の下に隈があったよね!?
しかも変態とか思ってないし、嫌ってもないし、そんな誤解をしてからおよそ6時間も落ち込んでたの!?
石川さんは、私の話をまず聞こうって言ってくれてるけど・・・。向井さんも武田さんも聞く耳を持っていない感じだ。
あー罪悪感がさらに増えるよ・・・。
こんなことなら、昨日寝る前にさっさと説明しておけば良かった・・・。
別に嫌ったりしないし、変態とか思ってもないし、私の反応を気にしてびくびくしなくても離婚しないよ・・・。そんな感情だけで夫の人生を潰したりしないし。
「あの・・・。」
恐る恐るリビングに入ると、三人は一斉にこちらを見た。
この反応、何度目だよ・・・。
さっさと謝ってしまおうと、私が口を開こうとしたら、これまたどこかで見たことのある光景を見た。
「申し訳ありませんでした・・・!!」
土下座。ものすごい勢いで頭を下げ、ゴンッとすさまじい音が聞こえた。これ絶対額を床にぶつけてる。
いやいや、謝るのは私の方なんだってば。一瞬見えた顔が、かなり酷かったもの。すんごい隈を作ってた。向井さんの横にいる武田さんと石川さんもなぜか正座。武田さんは昨日よりも隈が酷くなっているし、石川さんも隈ができていた。
二人に寝るように勧めていたから、てっきり石川さんは寝たのかと思ったけど、そうではないようで・・・。
この三人、私のあの「デリカシーがない」発言を、眠れないほど気にしたってこと・・・?
この世界ってのは、本当男の人にとって生きづらい世界なんだな。私の機嫌を伺って気にしながら生活しないといけないなんて。
「あの、ちょっと待ってください。顔を上げて・・・正座も辞めてください。」
取り合えず私にできることは、この三人の状態を少しでも改善することだと思った。
向井さんの前に慌ててしゃがみ、頭を上げさせる。
全力で頭を振って頭を上げない向井さんと、頭を上げさせようとする私の攻防が暫く繰り広げられたが、本気で困っている私の反応に気付いた武田さんと石川さんの手によって(多少強引に)向井さんの顔を上げさせることに成功し、そのまま三人をほとんど無理矢理ソファに座らせた。




