表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/67

めちゃくちゃ心配された




泣いた時に目が腫れるのって、強くこすったりして涙を拭うからだって聞いたことがある。

そして、今回の私は、恥ずかしいことだけど気がついたら泣いていたし、そのまま寝ていたみたいで、不幸中の幸いというか、化粧室で顔を洗った時には、腫れているように見えなかった。


そう、毎日自分の顔を確認している私が、いつも通りの顔だと認識していた。


むしろ顔を洗ってすっきりしていて、今日一日すっぴんでも気にしないと心を強く持ってリビングに向かった。



すると・・・。



「えり・・・。目が腫れてるな・・・。」


三人が私を見て、ハッと息をのんだ。声が出たのは石川さんだったけど、向井さんも武田さんも、私を視界に入れてから"罪悪感"と顔に書いているような表情をしていた。言葉で説明しにくいけど、まさにそんな感じの顔。


「え、腫れてますか?」


しかし、顔の持ち主である私は腫れていると認識していない。

あ、いや、もしかして・・・。


「多分、寝ちゃったからだと思いますよ。水分をとってから寝たので、それでだと思います。」


美容に気を遣ってる人って、寝る前に水分をあまり取らないっていうもんね。

美容にほとんど気を遣わないので、気付かなかったわ。うん。

寝てしまったから、ってことにしてください。

27歳にして、泣いて目が腫れたなんて、恥ずかしいわ。

元彼にも泣いた姿見せたことないのに。

だいたい、こういう時に泣いて心配される女の子って、可愛くて愛されるようなよい子なイメージなんだから。うわぁ、私とかけ離れすぎてる。私が泣いても、痛い女にしか見られないよ。か弱ぶってるみたいな。

ひゃー!寝ちゃったから腫れたってことにして!そっちの方が傷は浅い!!

三人の罪悪感が全面に出てる表情と、さっきの私の退出の仕方を考えると、「えりを泣かせた」って認識してそうで怖い!!


「えり・・・。」


気がつけば武田さんがすぐ横まで来ていて、心配そうに私の目元を見ている。


「でも、目が少し赤いよ?」

「それはさっき顔を洗ったからだと思いますよ?」


詮索しないでーこのまま逃げ切らせてー


「えり、えり・・・正直に答えてください。もしかして・・・さっきのあの話が原因で、泣いてしまわれたり・・・。」


泣いてしまった?って聞いている本人が一番泣きそうな顔してるよ。えええ、これ、「泣きましたー」って言える?泣いたって言ったらこの三人、すんごい取り乱しそう。

もしかして、私が泣いたらこの人達、離縁+職無し状態になるわけ?

それなら尚のこと絶対に「泣いた」なんて言えるわけないわ。


「泣いてないですよ?って、あれで泣くと思ったんですか?確かにびっくりしましたけど、むしろ私の我が儘に三人を振り回してしまったんですから、泣きたいのは三人ですよね!すみません、暢気に寝ちゃって。」


一気にまくし立てると、向井さんはちょっと疑いながらも、「お疲れだったのですね。気がつかず、すみませんでした。」と引き下がってくれた。

うーん、疲れてたのは確かかもしれないけど、向井さんに謝られることじゃないんだけどなぁ・・・。


「いえ、自己管理ができていなかっただけですので。ご心配をおかけしました。」


あんまり心配かけさせないようにしないとなぁ。




「えり、夕食は食べられそうか?」


私がさっさと話を終わらせようとしていることを察したのだろう。石川さんが、話を変えてくれた。

夕食かぁ。昼食後にさっさと寝ちゃったから、あんまりお腹はすいていないんだよね・・・。


「すみません、あんまりお腹がすいていなくて・・・。でも、皆さんは食べますよね?何を作りましょうか?」


三人の間を通り過ぎて、台所の方に向かって歩いて行く。

その私を武田さんが追いかけてきた。


「えり、一緒に夕食作ろうー?」

「いいよ。何を作ろっか。」


向井さんと石川さんもこちらに近づいてくる。二人も夕食を作るのかな。でも、昼食は作れなかったし、夕食は私が作りたい。

しかし、二人はちょっと近づいただけで、私と武田さんから距離を置いてとまった。二人で作っていいってことなんだろう。


「うーん、何がいいかなぁ。」


冷蔵庫の野菜室を開けて、武田さんが食材の確認をする。

今日買い出ししてたし、大きめの冷蔵庫だけど、野菜はたくさんある。

お昼は和風だったし、夜は洋風がいいかなぁ。野菜はたくさんあるし、牛乳も結構あるし。

あ。


「シチューとかはどうかな?」

「シチューか!それだったら、えりもちょっとだけよそって食べられるね!」


シチューに必要な材料を、武田さんが野菜室から取り出していく。

にんじん、ブロッコリー、あとはたまねぎとじゃがいも。牛肉はたしか買ってたはずだし、材料は十分だね。


「牛乳がたくさんあるし、丁度よかったね!」


武田さんも、牛乳の多さをちょっと気にしていたみたいだ。



「じゃあ、私はフランスパンを買ってきますね。」


向井さんがさっとリビングから出て行こうとする。

え、別にフランスパンじゃなくてもいいんだけど・・・。


「向井、食パンもあるから、それで代用しよう。」

「そうですか?わかりました・・・。」


向井さんの中で、シチューの時はフランスパンって決まってるのかな。

それは悪いことをした。次シチューにする時は、フランスパンがある時にしよう。


「えり、俺と向井でパンの用意しとくから。シチューは任せてもいいか?」

「はい。」

「俺も作るからね!」


石川さんに名前を呼ばれなかった武田さんが抗議すると、「悪い悪い」と苦笑いして、石川さんは向井さんと、リビングのテーブルで作業をはじめた。




うん、気まずくならずにやっていけそうだ。

いつも通り、何もなかったかのように過ごすなんてこと、前の世界の家族といたときは日常だったから、特別苦も無くこなせる。

三人とも、私に気を遣って突っ込まずに夕食の準備をしてくれたけど、

泣いたりして、今後の関係が悪化するようなことは避けたほうがいいから、このまま流してもらおう。

このまま、問題を起こさないように過ごす方が、四人にとっていいんだ。

ちょっと寂しいけど、慣れる時がくる。

大丈夫。





さあ、夕食作りを始めよう。


私が今許されていること、精一杯頑張ろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ