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スマートフォンの使い方



食器の片付けを終えると、もうお昼の時間になっていた。


お昼ご飯は、朝ご飯と同じように石川さんがメインで作り、今度は武田さんがお手伝いを買って出た。

私がお昼ご飯を作ろうと主張したところで、向井さんからストップがかかったからだ。


これが、危ないからなんて理由なら拒否したところだったのだけど、そうではなかった。


「えり、田中さんにもらったスマートフォンに、俺たちの連絡先を登録してください。」


田中さんの連絡先も登録していない。そして、言われて気がつく。

私、夫たちの連絡先知らないじゃん・・・。


「登録の仕方と、簡単な操作方法を私の方から説明させていただきます。」

「有り難いです。部屋に置いてあるので、取ってきますね。」


昨日はばたばたしていたし、頭も新しい情報でいっぱいいっぱいだったから、もらったスマートフォンは全く見て居なかった。

確か、ベット脇のテーブルに置いているはずだ。


「えーっと、電源は・・・入ってないよね。」


貰ったものをそのままベット脇に置いたから、電源もついていなかった。多分付け方はどこかのボタンを長押しなんだろうけど・・・そういう操作方法も含めて、向井さんに尋ねよう。



リビングに戻ってくると、向井さんがテーブルの上に紅茶を置いたところだった。


「昼食ができるまでまだ時間がありますので、紅茶でも飲みながらに致しましょう。」

「ありがとうございます。」


私たちだけくつろいで、ご飯を作っている二人にはちょっと悪い気はするけど、もう紅茶を入れて貰っているのだし、頂くことにする。


そして、スマートフォンプチ講座が始まった。





前の世界でもスマートフォンを使いこなせていたかと言われると疑問だし、必要最低限の機能しか理解していなかった私としては、向井さんの説明は簡単な操作方法の域を超えているように感じた。

前の世界のスマートフォンにも同じような機能がついているのか今になっては確かめようがないけど、もっとちゃんと機械の使い方をマスターしておくべきだったなぁ・・・。

写真って、スマートフォンで加工とかできたんだな・・・。

使いそうにない機能だから、使わないうちに忘れてしまうことになるんだろう。

説明書とかないのか・・・。


「また、分からなくなったり、忘れてしまったりしたら、いつでも聞いてくださいね。」


説明書はもらえそうにないデスネ。

ハイ。




「それと、スマートフォンの毎月の使用料なのですが・・・。」


あ!そうだ、忘れてた!

インターネットの通信環境や光熱費なんかは家賃とともに国が負担してくれるけど、こういうスマートフォンの使用なんかは自分で払うんだった!

いくらなのかね。あんまりかからないといいんだけど・・・。


「基本の金額はこちらになります。」


向井さんが、契約書を取り出した。

ん!?

なんで私のスマートフォンの契約書を向井さんが持っているの!?


「今朝田中さんにお会いした時に、クレジットカードの暗証番号とともに預りました。」


あ、武田さんが言ってたな。向井さんが朝のうちに田中さんに、私のクレジットカードの暗証番号が書かれた紙が入っている封筒を受け取ったって。

そっかーその流れでね、一緒に貰ったんだね。

うん。



って、納得できるか!!

クレジットカードの暗証番号に関しては、急いでいたし、仕方ないのかなーと思っていたけど、スマートフォンの契約書まで!?

なんで私の個人情報とか人にあんまり知られたくないお金に関することを、私に断りもなく他人同士が手渡ししているんだ!?正確に言えば他人じゃないけど!!片方は夫だけど!!それとこれとは話が別でしょう!!

私の人権はないの!?未成年じゃあるまいし!これ完全に管理されてるよね!?私の気持ちを無視してるよね!


「あの、これって、私のスマートフォンの契約書ですよね?」

「はい、もちろんそうですよ。えりの今持っているスマートフォンの、月額料金や機種名などが書かれていまして。あと、こちらなのですが・・・」


ああ、駄目だ。

気付いてない。私が怒ると思ってない。怒る可能性すら頭の中にないみたい。

面倒くさいなー。正直流してしまいたいけど、何も言わなければ今後、同じようなことが平気で行われるだろうし、私が購入したものや連絡した先なんかも管理されたりするんじゃないの?こわいこわいこわい!!!

向井さんの説明を途中で遮るのは悪いけど、ちょっと今腹立ってるから、許してください。


「あの!ちょっと良いでしょうか。」


思わず大きめの声が出たので、向井さんだけじゃなくて、台所にいる武田さんや石川さんまで動きが止まった、ように見えた。ご飯作ってるところに悪いね。でも、ついでにお二人も聞いておいてください。


「これ、私の個人情報ですよね。」

「は、はい・・・。」


びくり、と向井さんが身体を固まらせる。私の不機嫌な様子を察したようだ。

あー結婚して二日目にして、二回目の話し合いかぁ・・・。仲良くなれるんでしょうか、私達・・・。



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