冷蔵庫に食材を入れましょう2
「お待たせしました!えり、怪我をしていませんか!?」
帰ってきて早々、向井さんは過保護を発揮。
このたった数分、家の中にいて怪我をすることがあるのか・・・?
リビングに入ってきた彼は、ちょっとだけ息が切れていた。
走ってきたのかね。
「俺がついてて怪我させねぇよ。」
何そのかっこいい言葉。
女の子赤面ものの台詞なんだけど。
いきなり言わないで、びっくりしたわ。
ときめきはないけど、さらっとその台詞を吐いた石川さんに驚愕した。
けど、このたった数分で怪我をすることなんて無かったし、石川さんがいてもいなくても怪我はないよ。
「えりー俺も冷蔵庫の整理するからねー」
「ああ、冷蔵庫に食材入れるのは、俺とえりでするから、武田はトイレットペーパーを整理してきてくれないか?」
「あーそっか、冷蔵庫にそんなに人員いらないんだね。じゃあ仕方ないかあー」
ちょっと残念そうにして、武田さんは持っていた袋を置いて、トイレットペーパーを両手に持つ。
余分に2袋買っていたみたいで、武田さんはそれらを抱えてリビングから出た。
「それでは、私は購入した食器類を直していきますね。」
向井さんは重いであろう食器類が入った箱をすんなりと持ち、台所の奥に向かう。
台所は広く場所をとっているため、冷蔵庫と食器棚は少々離れている。
また、食器棚はあまり高くなく、一番上も私が背伸びすればとれる程度だ。
私の身長は、女性平均より少し低いくらいだけど、それでも一番上に届くくらいの低さである。その分、横に場所を取っているのだけど・・・。向井さんなら、それほど苦労せずに食器を入れることができるだろう。
「それじゃあ、次は冷蔵庫に入れる物を渡してくれるか?」
「はい、わかりました。」
ひょいひょいと冷蔵庫に入れる調味料、乳製品、飲み物等を渡していく。
それを、石川さんが自らの基準で冷蔵庫に収めていくのを、覚えていく。
というか、物を置く場所が私の基準とあまり変わりがないので、新ためて覚えることもないのだけど・・・。
その後は、野菜室に食材を入れて、入れ忘れたものがないかチェックして、冷蔵庫の整理を問題なく終えた。
丁度そのタイミングで武田さんが戻ってきて、トイレットペーパーをどこに置いているのか、私に教えてくれた。
「切らさないようにはするけど、一応何かあった時のために知っておいてね。」と言われても、何かあるのでしょうか・・・。知っていて損はないので、教えてくれるのは有り難いけど。
「それじゃあ、向井さんのお手伝いをしましょうか?」
向井さん、一人で食器棚を整理してくれているけど、よく考えたら購入した食器って一度洗ったりと手間だったよね。そっちを手伝えば良かったか・・・。うん、今から手伝おう。
「いや、割れ物だからな。一気に倒れたら大怪我をすることになるから、えりはイスにでも座って休憩していてくれ。」
いや、だから・・・。
「えり、ちゃっちゃと終わらせるから、もし手持ちぶさただったら、食材が入ってた袋をまとめておいてくれるかな?」
「んー・・・。わかった。」
怪我をするようなことはしないって約束したしなあ。
ここは引いておこう。袋の整理も誰かがしなきゃいけないことだもんね。
それに、一度使った袋を無駄にしない、という考え方は好きだ。使えるものは使うべきだよねー。
武田さんが言っていた、食材が入っていたビニール袋をまとめようと目を向けると、10ほどあった。
袋のまとめ方ってどうすれば良いのかわからない。あれかな、三角形に丸めるまとめ方で良いのかな。
くるくると丸めていくと、慣れている分、さっさと終わってしまった。
向井さんの方を見れば、そちらもそろそろ終わりそうだった。
「えり、もう終わったのか?」
「はい、終わりましたよ。」
「こちらももうすぐ終わりますので、少しお待ちください。」
「あ、いえ、ゆっくりで大丈夫ですよ。」
私を待たせまいと向井さんが急ぎだした。
あああ、申し訳ない、そんな急がなくていいからね!普通に待ってるし!慌てなくても、そっちには行かないからさ!
「向井さんが急ぐと、えりが慌てるよ。」
「そ、そうですか?わかりました・・・。」
武田さんが私の代わりにフォローしてくれた。武田さんナイス!
向井さんも、急ぐのをやめて、丁寧に食器を戻している。
再び慌てさせるのは申し訳ないので、テーブルに座って、みんなの作業が終わるのを待つことにした。
こういう時って、みんなが終わるのに合わせて飲み物を用意すると良いんだろうけど、生憎必要なコップは彼らのそばにあって近づくことができない。
私にできるのは待つのみ、だ。




