冷蔵庫に食材を入れましょう1
武田さんと共に部屋から出て、リビングに着いたところで、もう11時になっていたことが分かった。
服の買い物に結構時間をとられたみたいだ。
長時間付き合わせてしまって、武田さんに申し訳なかったな。
「服を買うのに結構時間かかっちゃってごめんね。」
「ううん!えりの服を一緒に選べて、嬉しかったし!」
一緒に選べて嬉しかったって、これは気遣いか?他人の服を選ぶの付き合うって結構暇だと思うんだけど・・・。ましてや男の人って、そういうの苦手な人多いよね。私の出会ってきた男の人たちは絶対買い物に付き合うことはなかったし。
次は付き合わせないようにしよう。
こういうストレスの積重ねで共同生活に支障を来すのは避けなければいけない。
「次からは自分で買えると思うから。ありがとうね。」
「う、うん・・・。当たり前のことだよ・・・。」
そこで、カギの開く音がした。
石川さんと向井さんが帰ってきたようだ。
車で出かけていたし、結構な大荷物と予想できるので、玄関まで迎えに行こうか。
冷蔵庫の整理は、購入した物を入れながらすることになりそうだ。
「えり?」
「荷物を運ぶの大変かもしれないから、ここまで荷物を運ぶ手伝いしてくるよ。」
「え!えりに重い物持たせられないよ!俺も行くから!」
重たいものを持って怪我して欲しくないから、俺たちを頼ってくれ!って言われてたね。
うん、じゃあ頼ろうかな・・・。約束破りたくないし。
重たくないものだけ運ぶことにしようか。
リビングから廊下に出て、廊下を少し歩いて玄関に着く。
と、ドアを開けたまま向井さんと石川さんが両手に荷物を持って、玄関に袋ごと並べ置いていたところだった。
「おかえりなさい。」
「え!!あ、え、えり!」
「ただいま。」
向井さんはなぜか挙動不審。石川さんはちょっと目を大きく見開いてから、返事をした。
うん、いきなり”おかえりなさい”なんて言ったからっぽいな。でしゃばりましたかね。ごめんなさいね。こういうのってお家で可愛いお嫁さんがエプロンつけて言うとポイントが高いんだろうけど、生憎動きやすい服を着た平凡顔の好きでもない昨日会ったばかりの女に言われても微妙な感じだよね。
まあいいや。帰ってきた人に対して何も言わないってのもおかしな話だし、慣れて下さい。
「荷物を運ぶの、手伝いますね。」
「あ、でも重い物は持たないで下さいね!」
向井さんが拒否しなかった!でも、重い物は持つなと言われたので、おとなしく言うことを聞いておきます。ぱっと見た感じ、重そうではないもの・・・。ティッシュの箱があった。トイレットペーパーもある。これを持とう。
私が手にした荷物を見て、三人とも止めなかった。持ってもいいってことで解釈するからね!
私の横で、食材が入った袋を武田さんが手に取る。
「まだ車の中に荷物が残っているので、取ってきますね。」
「あ、じゃあ俺も取ってくるよ。」
武田さんが手に取った袋を石川さんに渡す。
ああ、冷蔵庫に食材を直していくとき、石川さんが入れていった方がいいもんね。
「じゃあ俺は冷蔵庫に買ってきたもん入れとくわ。」
「すぐに戻って手伝います。」
向井さんがそう言って、慌ててドアから出て行った。それを武田さんが追いかける。
おおう、慌ただしいな・・・。私と石川さんに任せるのが不安なのかね。あ、私達二人というより、私か!心配なんだね、でも大丈夫。料理もある程度できるし、食材の管理も確認も整理もできる。
「それじゃあ、これ全部リビングに持って行っても良いですか?」
「ああ、軽い物だけでいいからな。後は俺が運ぶから。」
「わかりました。」
流石男の人というか・・・。片手に二つずつ、大きな袋を計四つを軽々と一気に持って、てきぱきと荷物を運んでいく。運ぶときに、重そうなものから運ぶ辺り、私が間違っても重い物を運ばないようにという配慮なのかな。
うーん。これは胸キュンする場面だね!私の胸は動かないけど!
だけど、昔のことを、一人暮らしだった彼氏の家で買ってきた食材を運んだり冷蔵庫に入れたりしたことを思い出した。買い物の袋は、人通りが多いところでは持ってくれていたけど、人通りが少ない道まで来たら「疲れた」って言うから私が持っていた。冷蔵庫に入れるのも私がしていたし。入れている場所が悪いって後で文句を言われたなあ・・・
ああ、それじゃあ冷蔵庫の中に入れるのも、石川さんは私に丸投げなんてしなさそうだし、私が買って出て妙なところに食材を直して後で嫌な雰囲気になるもの避けたいので、石川さんの指示を仰ぎながら冷蔵庫に入れていこう。
任せてしまって申し訳ないけど、今回どこに何を置くのかを見せて貰ってそれを覚えておいて、今後は覚えた場所に私が直していけばいいよね。
よろしくおねがいしまーす。
「えり、荷物運んで疲れただろ?飲み物でも飲んで休んでいてくれ。」
え!トイレットペーパーとティッシュと軽い袋を3往復しただけなんだけど!!
「いえ、荷物をリビングに運び入れただけなので、まったく疲れていませんが・・・。」
「そうか?無理はするなよ?」
玄関からリビングまでの3往復で無理している可能性をもたれるとは・・・そんなにか弱いと思われている?いや、この世界は女性にこういうことをさせないって言ってたもんな。私がどれくらいできるか分からないから、一つ一つに気を遣うのだろう。
「冷蔵庫に食材を入れるんですよね?手伝います。」
「ああ、それじゃあ俺に手渡してくれ。」
「わかりました。」
食材の入った袋は冷蔵庫のそばに置いている。
そこに石川さんが立ち、私はしゃがんで袋をあけた。
まずは冷凍庫にいれるものから渡していこうかな・・・。
氷の入った袋から食材を出して、石川さんに渡していく。私から受け取ったところから、石川さんが冷蔵庫に直していった。
そして、冷凍庫に入れるものが無くなったところで、武田さんと向井さんが帰ってきた。




