表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/67

そろそろ購入したい




「待って、あの、服の購入がまだなので、もうちょっと待って!」

「ああああああ、えりに、えりにあれを聞かれてたなんて・・・!!!!」


私が墓穴を掘ったせいで、武田さんが半泣きになりつつワケが分からない言葉を発しながらイスから立って部屋から出て行こうとしている。そして私が今それを必死に止めている。逃げられないように武田さんの手首を両手で握って。今ここで逃がしたら、服を改めて購入するまでに時間がかかる。それではいつ服が届くのか分からない。

こんなことなら話を脱線させずに、さっさと服を購入しておけばよかった!


「絶対えりに変態って思われた!もう一緒にいられないかもしれない!顔を合わせられない!!」

「あー変態なんて思ってないですって!私気にしてないですし!」

「嘘だあー!そんなわけない!友だちにも、絶対見せたら駄目だって言われてたのに!どん引きされるって言われてたんだ!!」


友だちには武田さんの初心なところを知られているんだね。変態なんて思わないし、むしろこれって傍観者でいるなら初心すぎて面白いからいいと思うよ。出来れば傍観者になりたい。初心を発揮する対象になっていると、どう反応していいのか分からん。


「どん引きしてないから!取りあえず落ち着いて座ろう!?」

「うあああ、折角、折角えりと結婚したのに・・・これからだったのに・・・!」


何全て終わったみたいなことを言っているんだ。

終わってないから。気にしてないし。

これからってことがあったのかわからないけど、終わってはないから!

気まずい結婚生活は嫌だからな!!


「女の人をあんまり見たことないんでしょ?ああいう反応は、理由分かってるから何とも思わないし!」


むしろ私の脛ごときで悶えさせて申し訳ないくらいなんだから!


「で、でも・・・気持ち悪いって思ったでしょ・・・?」

「思ってないよ。」

「ほんとに?俺、えりの脛を見て、どきどきしてたんだよ?」

「いや、初めて見たらどきどきするんじゃないの?」


私は物心ついたころから父親の素っ裸見てたから何とも思わないけどさ。あーでも引き締まった三人の身体を見た時は綺麗な造形物だなあとは思ったけど。


「えり、俺のこと嫌いにならない・・・?」

「ならないよ。大丈夫だから。」


なので、捨てられそうな子犬みたいにこちらを伺ってくるのはやめていただきたい。

武田さんって一応成人しているよね・・・?ぐすぐすと泣きそうなのをこらえながら、私の顔色を伺ってくる。嫌われたくない。マイナスなイメージを持たれたくない。昨日の三人の会話を聞いていて分かったんだけど、本気で私のことを嫁として大切に思っているんだと思う。その分、私にどう思われているのか気になるんだろう。


私は、私の反応一つでこれほどかき乱される男の人を初めて見た。


いつも男の人の機嫌を気にして家で過ごしてきたし、彼氏も気性の荒い人が多かったから、ちょっとだけ新鮮だ。ただし、相手をコントロールしたいわけではないので、戸惑いの方が強い。


そして、このままの関係で良いのか、少し疑問に思ってしまう。


私は優位に立ちたいわけではない。私の顔色を伺ってほしいわけでもない。一緒に暮らしていくのだったら、できる限り対等でいたい。


この社会じゃ難しいのかもしれないけど・・・。

どうしたらいいんだろう。



「えり、ごめんね、俺、男らしくなくて」

「うーん。男らしいとからしくないとか分からないけど、私はそういうの気にしないし、謝らなくていいから。」


むしろ、男らしかったらどうなんだ。何か変わるのか。少なくとも、怒っている人より武田さんみたいな反応している人の方がいい。

これが武田さんの普通なら、共同生活ましてや夫婦なのだから、慣れていく方がお互いにとって良い事なんじゃないだろうか。

って、これはきっと私が言わないといけないことだよね。

むしろ、私しか言えないことだ。私のことで悩んでいるんだから。

このままうやむやにして今後気まずくなるのは避けたい。


武田さんの、掴んでいない方の手首を引き寄せて、逃げられないように両手で両手首を握る。

ちょっとだけビクッと手が動いたけど、少しだけ我慢してもらう。

ちゃんと目を見て、逃げられないようにして聞いて貰いたい。


「これが普段の武田さんなら、それでいいと思うよ。むしろ、無理してかっこつけられても、お互いしんどいでしょ。一緒に住んでるんだから、無理はせずにお互い慣れていけばいいんじゃないかな。」


家族以外と暮らしたことないけど、多分大丈夫。度が過ぎたスキンシップなんかは遠慮したいけど、武田さんは初心だしそんなことしないだろう。

うん、悲しそうな顔が、どんどん穏やかになっていく。

どうやら私の選択は間違っていなかったようだ。そして、うまく落ち着けることができたみたい。


「えり・・・。ありがとう・・・。」


やっとふにゃりと笑ってくれた。

もう必要ないだろうと思い、そっと手を離す。

うん、いつまでも握っているのは恥ずかしいもんね。


というか私よく躊躇なく手首握れたな。

勢いってすごい。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ