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意外なところで昨日の話




あれから下着や肌着を選んで(武田さんは後ろを向いていた)、小物はまあ今急いで買うものではないので置いておいて、購入画面に移ることにした。


「あ、えり、あの・・・えりの寝間着なんだけど・・・。」


忘れてた。その寝間着と、部屋着がいるんだった。お風呂上がってから寝るまでの部屋着と、寝る時の寝間着。この二種類の服は買っておかないといけない。替えも含めて、4着ずつ必要かな。あー結構な買い物になるなあ・・・。先に貰っているお金が十分あるので、足りるのは足りるんだけど・・・。他に必要なものが出てきた用に、多少は残しておかないと心配である。

昨晩着ていた寝間着を1つと数えて、購入する寝間着は3着だけでいいかな。


あ、武田さんの話の続きだった。


「寝間着も買わないといけませんよね。」


忘れていました、ありがとうございます。と伝え、寝間着のページに移る。


「あ、ううん、えっと、そうじゃなくて・・・。」


言葉を濁すので、何事だろうと思って武田さんの方を向くと、なぜか赤面していた。

あ、そうだった。

脛のことか!


「えりの昨日の寝間着、なんだけど・・・。」

「やっぱり、あれだと過ごしづらいでしょうか。」


女の人の脛をおそらくあまり見たことがないために、武田さんが脛を見て動揺したアレだ。

この様子だと、本当に綺麗な脛を見たら鼻血流すんじゃないの?

私の脛が、世の女性の脛の中でも下位に分類することをいつか伝えないといけない。だましているみたいで居心地が悪いし。

って、下位に分類する脛ってなんだ。考えてるだけでも虚しいわ。


「ううん。えりの過ごしやすい服装でいいんだけどね!でも、あれは、露出が・・・。」


正直あれで露出云々言っていたら、露出度をクリアーする服の方が少ないんじゃないの?

夏場とか掃除の時とかは最低膝は出したい。

でも、さっきからいろんな服を見ているけど、さすがにミニスカはないけど膝くらいまでのスカートとか、半そでの服はあったよ。脛はOKじゃないの?


「あの服で、露出が気になるラインなのでしょうか。」

「いや、世間一般では気にならないんだけどね。膝丈のスカートとかズボンもあるし。えっと、そうじゃなくて・・・。」


そうじゃないなら何なんだ。

武田さんは、暫く狼狽えた後、意を決したように目を合わせてきた。うーん。顔はやっぱりイケメンだから、そう整った顔で真剣な表情をされるとちょっとギクリとする。


「他の二人は分からないけど、あの、俺はほとんど女の人と会ったことがないし、見たことがある女の人の肌は顔と手だけだから、あんまり免疫がないんだ。」


ああ、やっぱりそうか。

女の人に対する免疫がないから、あの行動だったんだな。

じゃあこれからは慣れていってもらおう。元々そのつもりではあったけど、これを聞いてちょっと遠慮がなくなった。

貴重な情報ありがとう。

それにしても、ほとんど会ったことがない、ってところが気になる。ほとんど、ってことは会ったことがあるのか。結婚するまでは会うことがないと思っていたんだけど。

話が変わってしまうけど、聞いてしまおう。


「何度か女の人と会ったというのは、一体どういった場面の時なのですか?」


状況によれば、私も他の女の人に会えるかもしれないし。

行事とかで会えたりするのかね。


「ああ、旦那を選ぶ時、えりは多分俺たちの選出を田中サンに任せたんだよね。」


うっ。痛いところを突かれた。あの時は頭に血がのぼっていたとはいえ、旦那選びを他人に任せて、初対面で即結婚なんて、本人たちからすれば気分の良いものじゃないと思う。

ああ、そう考えると、彼らが私のことを嫁という対象で優しくしてくれるのに、文句も言えないな。

自分の方がよっぽど酷いことをしている。

選ぶ権利のあった私の方が、誰でも良い、という選択だったのだから。


「あ!えっと、別にそれはいいんだ!異世界から来る女の人の夫は、基本国で定められている役職の人、えりの場合は田中サンだったけど、そういう人が決めるからさ!もともとこの世界で育った女の人は、好み重視で選ぶけど、それは気にしてないよ!」


私は記憶もあるから、三人を選ぼうと思えば選べたんだけどなあ・・・。

まあ、心理状態が状況に追いついていなかったから、あのときは心理的に選べる状態ではなかったけど。


「そう、それでね。この世界で育った女の人は、好みで夫を選ぶから、書類選考と面接があるんだよ。」


それは就職活動でしょうか・・・。

なるほど、そのときに女の人と会う機会があるんだね。

それじゃあ、私が他の女の人と会う機会はやっぱりないんだなあ。


「女の人は、経歴とか、印象や顔、体格や声なんか、いろんなもので夫を選ぶんだ。だから、その時に会っただけで、それ以外では女の人を見たことないし、男の人は女の人を見る機会がない。それで、俺、昨日えりの脛を見て変な反応しちゃって、えりをびっくりさせちゃったから・・・。」


あ、話が戻った。そうだよね、武田さんの話したいことってこれだもんね。話逸らしちゃってごめんなさい。


「え、えりにどん引きされたら嫌だなって思って、俺、昨日の夜結構悩んでて・・・!」


目をぎゅっと閉じて、必死に話している。うーん、そんな、どん引きされたかもしれないって気にしなくていいのに。

というか、気付いてしまった。目の下にうっすら隈があるんだけど。

もしかして昨晩眠れなかったとか、言わないよね・・・?

それほど私に気を遣ってくれなくていいんだけど・・・。


「えりに変態だと思われたまま一緒に過ごしていくなんて、俺耐えられないから・・・!!」

「いや、脛見て感想述べられても、何とも思わなかったから!」


昨日のことくらいでどん引きしたり変態だと思ったりしないからね!!


「え、感想?」

「あ・・・。」



墓穴を掘りました。

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