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服を購入したけど






向井さんと石川さんが買い出しに出かけたところで、武田さんを部屋に呼んだ。

パソコンを持ってリビングに行くのは面倒だし、どうせならクローゼットとタンスの中を確認しながら衣服を買いたいしね。

あれ、男の人を部屋に呼ぶのって、いいのかな・・・。

正直彼氏がいた時は男の人との接触を減らしていたけど、彼氏がいないときは普通に遊んでた。でも家族と会わせたくなかったから、部屋に友だちを呼ぶこともなかったし、こういうのが分からない。

でもきっと、初心な武田さんのことだから、赤面とかするんだろうなあ。


「え、えりの部屋!?」


ほら、やっぱり。

武田さんってあれだね。歳が近いのもそうなんだけど、反応がいちいち新鮮で親しみを持てるから、弟に欲しいと思っちゃう。あ、これ本人には言わないでおこう。一応私の旦那様だし。男の人ってプライドが高いイメージがあるからなあ。ま、私の周囲だけかもしれないけどさ。


「はい。パソコンを移動させるのが面倒ですし。駄目ですか?」

「え!い、いや、うんと、だめじゃないけど・・・。」


えりの部屋に、入ってもいいの?

とお伺いを立てられました。


「いいですよ。流石に寝ている時には遠慮したいですけど、今後も、いつでも来てください。」


嫁の部屋に夫が立ち入り禁止ってほうがおかしいもんね。

普段から気にする方でもなかったし。

見られて困るものもないし。


武田さんからの返答がないと思って、そちらを伺うと、顔が真っ赤っかでした。


なんでや。


おっと思わず関西弁が。







「それで、ネットで購入する時って、いつもどういう風にしているんですか?」

「ああ、えっとね。」


私がパソコンを起動するのを待って、武田さんがインターネットの検索ページを開く。うん、やっぱり私の世界と似ているところはあっても、こういうところは違うんだな。ちょっとずつ名称が違ったりする。


「俺が知っているところでいい?」

「はい。それでかまいません。」


というより、知っているところの方が安心だよね。ぼったくりのところがあるかもしれないし、詐欺に遭う危険性だってあるし。私はネットより実際店に足を運んで見て買うタイプだったから、余計ネット購入が良く分からない。武田さんに聞いてよかった。


「ここの店は、女の人の衣服から小物、だいたいいろんなものを扱ってるし、値段も幅広いから買いやすいよ。」


さっと開いたページを見せてくれた。おおう、たくさん項目があるな・・・。ついでにそのページをブックマークもしておいてくれた。さらに、ブックマークの開き方も教わった。有り難い。


武田さんが立ったまま、私の方を伺うように見てきたので、そちらに視線を移す。

あ、そうだった。


「ごめんなさい武田さん。立ったままでしたね。そちらのイスに座って下さい。」

「え!あ、いや!別に俺は立ったままでいいんだけど・・・」


どうやら、座っても良いかな?っていう視線ではなかったみたいだ。いやでも座ってください。立ったまま前屈みにパソコンいじるのしんどいでしょ。まだ武田さんに購入の仕方聞いてないから帰す気ないぞ。


「あのね、異世界からきた女の人って記憶がないから、服とか雑貨なんかは、夫が用意するんだ。買い方が分からないのはもちろんだけど、生活に何が必要で、何がいらないのか分からないことが多いからね。」


なるほど、そう言われればそうだよね。生活のサポートとしても夫がいるんだから、衣食住の衣も夫が用意してくれないと、どうしていいかも分からないもんなー。あれ、じゃあ、私の分も皆が用意するの?私記憶あるから、全部面倒見て貰うなんて申し訳ないし、自分の必要なものを自分で買うくらいは自立したいよ。


「でも、えりって記憶があるでしょ?それに、自分のことは自分でしたいって言ってたから、えりは自分で買いたいと思うんだろうな、って思ってたんだけど・・・。」


出会ってまだ24時間経ってないのに、私のことよく分かってるな!

でも、何その微妙な語尾。嫌な話ですか?


「俺たちとしては、えりに自分たちが服を買ってあげたいんだよね。えりに何でもしてあげたいし、お世話もしたいしお話もしたい。それに、俺たちはえりのことが心配なんだ。何でもえりが自分でしたら、怪我をしてしまうかもしれない。えりがいなくなっちゃうかもしれない。」


過保護と思ってたけど、武田さんもここまで思っていたとは・・・。

これほど大切にしてもらえて喜ぶべきか、でもこれって私に惚れてるというよりは、嫁って存在に惚れてるようなもんだろう。素直に喜べない。

そんな私の心境を置いて、武田さんは言葉を続ける。


「でも、えりは自分のことは自分でするって言ってたから、世界の違いって常識の違いなんだなって昨日すごく実感したんだ。えりがこのマンションでだけででも自由過ごせるようになってもらいたいけど、反面俺たちは自由にさせるのに抵抗があるし、えりがどこまで自分でしたいのか、まだまったく分かってないからさ。だから、昨日は怒らせたり嫌な思いさせちゃったと思う。ごめんね。」


まさかここで謝罪がくるとは思わなかった。

悪いのは武田さんではないし、もちろん向井さんでも石川さんでもない。

武田さんの言うとおり、常識、認識の違いだと思う。

三人からすれば、私の意見や考えはやりづらいものだと思うので、話の途中までは余計なことはするなっていう釘を刺すつもりなのかな、と思ったけど。武田さんの様子を見ると、これ以上何かを言うつもりはないようだ。

俺らも気を遣ってるんだぞ、って感じる言葉ではなかったけど・・・。ええ、これ本当に謝罪するつもりの会話だよね?

じゃあこれ私も謝らなきゃだ。


「いえ、私こそ、意地を張って、よく知らない世界で三人に助けて貰わないといけないのに、我が儘を言ってごめんなさい。」


自分では我が儘とは思ってない。自分なりの、当たり前の主張だと思っている。でも、この三人からすれば、私の発言は我が儘だし、引かないところは意地っ張りと取られても仕方が無い。

これから一緒に生活していくのだし先は長い。

向こうが謝ってくれたのなら、私も謝る。


「えりは悪くないよ。俺たちの世界に来させられたんだ。えりに幸せになってもらいたい。そのために、俺たち精一杯サポートするから!だから、これからもえりにとって嫌なことを言うと思うけど・・・昨日みたいに、えりの考えをちゃんと聞きたいから、どんな些細なことでもいいから、頼ってね!」


最後の方は、すごく必死そうに食い気味に言ってきたので、思わずのけぞってしまったけど・・・。

なんだ、ようは、これからもよろしくってことだよね。

いつでも頼って欲しい。頑張ってサポートする。

そうやって、私のためにそこまで言ってくれた男の人って今までいただろうか。

否、いなかった。

昨日の田中さんとの会話なんかでは、私を怒らせないように取りあえず都合が良いことを並べていたのかと思っていたけど・・・この三人の様子を見て、どうやら真実のようだ。

本当に女の人を大切にしている。

そして、その大切にする対象に、私も含まれている。


居心地は悪いし、私ではなく嫁という存在を尊重しているようで、あまり好かないけど・・・。


この人達と接していたら、男の人に対する私の考え方が少し変わってくるかもしれないな・・・。



「ありがとうございます。困った時は頼らせてもらいますね。」

「うん!」


いいお返事だ。


元気に返事をしてくれたところで、イスに座ってもらった。


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