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謝られる






この世界には、もともとは無理矢理連れて来られる形だった。記憶を失って。


しかし、タイミングが良かったのか悪かったのか、この世界に来るタイミングの時に、私は元彼に首を絞められて殺されるところだった。おかげで、この世界に来ることで命を救われた。記憶を持ったままで。



これは・・・前提が崩れてくる。

理不尽な状況に怒っていたけれど、感謝しなければならなかったのではないか?

いや、いずれにしろ、この世界に来ることで結婚しなければならなくなったのだから、やはり理不尽な扱いをされたと思ってしまう。理不尽なんて感覚、考えたくないから忘れようと思っていたのに、神様のせいで思い出してしまったじゃないか。


「私を怨んでいただいて、結構ですわ。結果はどうであれ、この世界に連れてくるのは、えりさんの同意を得ずに無理矢理だったのですから。」


まあ、そうだよね。言ってることはもっともである。

でも、目の前で私を怨めと言われて怨める人います?

ふっつうに難しいわ。


「あーでも、とりあえず・・・。命を救っていただいて、ありがとうございました。」


お礼は言っておくべきだろう。思惑はどうであれ、命を救われた結果は変わらない。


「いいえ、ほんとうに・・・ごめんなさい。」


お礼を言ったら、神様が泣きそうになって謝ってきました。

なんだよ・・・まだ何かあるの?

怖いよ。お願いだから泣かないで。


「男が嫌いな記憶があったまま、この世界で男に囲まれる生活は、とても苦痛ではないかと・・・あなたに強いていることが、本当に申し訳なくて・・・。」


なぜ神様がそこまで悲しそうにするのか分からないけど、この人かなり分かりやすい表情をする人?だ。ああ、でもわざと悲しそうにしている可能性もあるけどね。私って男運ないけど、女の人の表情を読むのも苦手だし。けど、断言できないけれど、話していることを整理すると、私のことを哀れに思っているってことだよね。


他人に哀れに思われるのって惨めになるからやめて欲しいんだけどなぁ。

ああ神様だから関係ないのかね。


「この世界で生きていかないといけないのは変わらないんですよね?」

「ええ。記憶を消すことも、できそうにないの。もうこの世界に入ってしまったら、私たちの力が及ばないし干渉できないから。」


へえ、神様も万能じゃないんだな。今聞いた話から推測すると、祈って力が溜まったら人を別世界から移動させるってことしかできないことになる。

うん、全ての世界の神様がどうかわからないけど、この世界の神様はこんな感じなのね。


それに、記憶を消しますよーって言われても、どうぞ消して下さいとお願いできるだろうか。

私には到底無理。なので、記憶を消して欲しいなんて要求は、私にはない。

また、干渉できないとなると、この神様に何かをお願いすることもない。

この世界に来た真実を知った。それが収穫だろう。


「話はわかりました。わざわざ説明して頂いて、ありがとうございました。」


神様が申し訳なさそうにうつむき、また謝る。

そう何度も謝られても困る。そんなに謝るくらいなら、異世界から女性を連れてこなかったらいいのに。人口が減っていって、このままじゃ人類滅亡が目に見えているからかもしれないけど、異世界から女性を連れてきても、女の子の出生率が上がらないならば焼け石に水だろうに。


でも、この神様にも何か考えがあるんだろう。

人間じゃ考えが及ばないところにきちんとした理由があるのだったら、私が知る必要はないことだ。

ただ、この神様とコンタクトが取れたことは、私にとって幸いである。

何かあったときに、頼れるかもしれないし。例え祈ることしかできそうになくても、パイプを残しておくに超したことは無い。


「また、こうして会えますか?」

「ええ。あなたが望んだ時に、会いましょう。」


やったー会いたいと思った時に会える権利を手に入れたよ!


「私に会いたい時は、寝る時に枕の下に私の名前を書いた紙を入れて、寝てください。」

「名前ですか?」

「ああ!そうでした。まだお名前をお伝えしていませんでしたわ。」


そう言って、神様は最高の笑顔とともに、名前を教えてくれました。



「この世界に来た女性を、できるだけ手助けしようと思っているの。特に、あなたには酷なことを強いているのですから、いつでも呼んでください。」



そこで、今回のお話は終了した。

神様はすっと消えて、景色も黒く塗りつぶされていく。






そして、はっと気がついたときには、朝だった。


朝日がカーテンの隙間から射して、眩しくて目がしょぼしょぼする。

身体の疲れは取れたけど・・・


「寝た気がしないんだけど。エミめ、覚えてろ・・・。」


メンタルを休ませる時間よ、誰か恵んで下さい。



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