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折衷案

仕事の方が大分片付きましたので、再開しました。






家事をしたい私と、させたくない向井さん。

私の意見を尊重しようとしてくれるけど、あまり危ない目にはあってほしくない(家事をして欲しくない)武田さんと石川さん。


話し合いは、難航するかに見えて、意外とあっさり話がまとまった。



結論から言えば、家事をしても良いことになった。




ただし・・・


「ただし、怪我をしたらすぐに伝えること、重い物や熱い物を無理して持ったりしないこと。使い方が分からないものを分からないまま使わないこと。どんなときでも遠慮せずに俺たちを頼ること。この四つを守っていただけるのであれば、えりの家事参加を反対しません。」


結構条件があるけれど、要は、怪我をする危険性があることはするな、ってことだよね。

うん、過保護ではあるけど・・・。

これはかなり譲歩してくれた。


恐らく、武田さんと石川さんが向井さんを説得してくれたんだろう。

確かに、説得してくれてなかったら、さっき私がホットミルクを運んで来た時も、あの後私に注意してきていただろうし。家事を止めないと決めた後だったからなのかもしれない。


かなり譲歩してくれたので、これ以上は望まない方が良い。

これ以上を求めると、この条件さえ無くなりそうだし、平行線をたどるだろう。


「分かりました。その条件で大丈夫です。」


私が了承したら、三人とも、ホッと安心したように息を吐いた。


「俺たちの反応と話から分かったと思うが・・・この世界で女性は家事をしない。だからって、えりがしたい事を俺たちは無下にはしたくないからな。」

「えりに何かあったら、ちゃんと報告してくれるって、信じてるからね!」


おおう、釘を刺してきた・・・。

常識ではありえないことを許容するのは、私のことを信用しているからだ、って言いたいんだろうな。

うん、別に信用してないわけじゃないんだけどね。

他に頼れる人いないし・・・

ああ、でも、勝手に行動するのは控えようかな・・・家事任せてもらえなくなると困る。

何度も言うが、別に家事を率先してしたいわけじゃないけど、家にいて給料をもらっているのに働かないニートになるのは、嫌いな父と被るから嫌なだけだ。

出来れば外に出て働きたいし独り身を貫きたいが、それは絶対に通らないと分かっている。

この条件は、お互いの譲れるぎりぎりのラインというものだ。




「信頼してもらえないよりはマシ・・・」


ぼそりと向井さんが呟いた言葉は、残念ながらうまく聞き取れなかった。










「それでは、今日はそろそろお休みしましょうか。」


台所の使い方なんかは、明日説明してくれるらしい。

今日はもう疲れただろうから、早急に寝てしまうこととなった。


「あ、でも、明日の朝ご飯の材料が・・・」


通販で注文したら、食材届くかな。

あれ、この世界も食材を頼めるのだろうか。

そういえば、さっきのホットミルクに使った牛乳もどうやって入手したんだろう。

疑問をあげはじめたらキリがない。

あああ誰かこの思考の渦を止めてください。


「ああ、それは、この部屋に来る時に、俺たちの冷蔵庫に入っていたものをこの家の冷蔵庫に移したからだよ。」


え、そんなことがあったの?

一緒にいた時、冷蔵庫をあける仕草なんて見なかったような・・・。


「俺たちの結婚が決まった段階で、国の奴らが俺たちの許可を取って、使えそうな食材を持ってきて冷蔵庫に入れてくれてんだよ。」

「あーでも、使いかけのものとかは処分してもらったよ。」


ああ、確かに、飲みかけの飲み物とかは嫌だけど・・・

マヨネーズとかケチャップとか、私は別に気にしないけど。

直接口から吸ってない限りは。


「私の家にあった食パン1斤は、あけていなかったので持ってきてもらったのです。」

「俺のところにあったチーズも持ってきてもらったよ。」

「俺は昨夜ちょうど買い出し行ったところだったからな。朝ご飯に使うくらいのものは持ってきてもらっている。」


朝ご飯の材料があるなら、助かったなー。

というか、ここに来て食料確認って、サバイバルみたいだ。

私は何も持っていないので・・・全く役に立たない。


「私は何も持ち合わせがないので・・・」

「えりに持ち合わせがあったら、それはそれで問題だからな。」


この世界に来る人は、基本手ぶらの人ばかりだが、服は着ているしその時につけていた装飾品は付けたままらしい。寝る前の最後の記憶が就寝前だったことから、私は寝ている時にこの世界に来たわけだし、他の女の人も同じなんじゃないかなあ。


「えり、今日はもう寝ようよ。多分、考えてたらきりがないよ。」

「困ったことがあっても、私たちがいますのでいつでも頼ってください。」

「特に、俺たちは一週間仕事休みもらってるしな。一週間で、この家での生活やこの世界のことを、ゆっくり知っていけばいいと思うぞ。」


放っておいたら、私がいつまでも心配事を見つけると思ったのかな。うん、正解だ。

だって、この世界に来て数時間で私の常識と違ったことがたくさんあると知った。一つ一つ不安に思うのは仕方ないと思ってください。

でも、それを分かっているからこその向井さんと石川さんの言葉なんだろう。

うん、話し合っても、分かってくれることがわかったんだし、今日はもう考えずに眠ろう。




「そうですね。もう寝ることにします。」


三人はほっと安心して、向井さんは時計を見る。


「明日の朝食の時間は、決めないでおきましょう。各々、就寝時間や起床時間が異なると思いますので・・・だいたいの者が起きてから、皆で用意しましょうか。」


良いでしょうか?と私に許可を求めてきた。

うん、それで問題ないと思います。

石川さんと武田さんもそれで良さそうだ。


「それでは、えり、また明日。」

「はい、おやすみなさい。」

「おやすみーえり。」

「ゆっくり休めよ。」


おやすみ、と言われると、ふいに眠気が出てきた。

眠たい目をこすりたいのを我慢しながら、三人に見送られてリビングを後にした。







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