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武田side 2






えりは、今まで会ってきた女性の中で、一番優しそうな雰囲気をまとっていた。






国に指定された部屋まで行くと、俺の他に男の人が2人いた。

2人とも年上みたいで、ああまた面接落ちるのかなと思ったけど、面接は無く、ここにいる3人が「高野えり」の夫になることが説明された。

え、ええええ!!

面接無しって、書類選考だけでってこと!?


だいたいは面接をするのだけど、面接をしないのって・・・。


「面接をしないってことは、異世界の女性か?」


横にいる石川さんが、俺も抱いていた疑問を投げかけてくれた。


そう、この世界の女性は好みの男性を指定して、面接と書類で夫を選べるのだけど、異世界の女性は記憶が無いので選べない。そういう場合は、記憶のないその女性の年齢や話した感じの雰囲気で、担当した人がランダムで夫を選ぶらしい。


「その通りです。」


なるほど、だから面接がなかったのか・・・

って、ええ!?

俺、異世界の女性の夫にはなることなさそうと思って勉強ちょっとサボってたよ!どうしよう!!

というか、異世界の女性の夫は、かなり優秀じゃないとなれないんじゃなかった!?なんで俺なの!?

慌てそうになるが、頑張ってポーカーフェイスでごまかす。


「しかし、今回は特殊な例でして・・・。高野様は、記憶を失ってはいません。」


記憶を失っていない女性なんて、聞いたことない。

ということは、あんまり分からないことがないからサポートも普通の女性と同じようにしたらいいのかな・・・いや、反対に・・・


「それじゃあ、かなり混乱するだろうな。」


石川さんの呟きに、思わず頷いた。


記憶がある状態で異世界に来て、結婚して、って・・・

異世界がどんな世界か分からないけど、この世界と文化が同じなのだろうか。

もし違っていたら、とても混乱しているだろうし、下手したら記憶がない状態の女性よりもサポートって大変なんじゃ・・・


「その女性の夫となる上で、注意しておかなければならないことなどありますか?」


向井さん?が、慎重そうに言葉を紡いで質問する。

注意しておかないといけないこと、って・・・一番初めの質問がそれ?

いや・・・確かに記憶がある異世界の女性ってだけで、注意しないといけないことは多いだろうけど・・・。


「向井さん。前のようなことはおそらくありませんよ。高野様は、まだお若いですし、何より・・・」


そこで言葉を切って、眉間にしわをよせた。

え、何?何かあるの?

というか、向井さんって、一回結婚してたんだね。何があったのか分からないけど・・・。また機会があればいろいろ聞いてみようかな。

って今はその話じゃないよね。

説明役の話に集中しないと。


「高野様は、結婚に対して消極的なのです。」



・・・・・・ん?


結婚に対して・・・消極的!?


「おいそれ、結婚したくなってことじゃねえのか?」


大丈夫かそれ、っと、石川さんが両手を組んで棘のある声でそう言った。

そうだよね、結婚したくなって・・・そんな女性いるの!?


「なんで結婚に対して消極的なんですか?」


思わず聞いてしまったが、向井さんも石川さんも、同じように疑問を感じていたようで、3人して説明役の人にじっと視線を向けた。

結婚が嫌って女の人、初めて聞いた。

生活をサポートしてくれる夫がいらないって・・・。

女性は1人で暮らしていけないだろうに、どういうことだろうか。



「理由は教えてはくれませんでした。ただ・・・田中が、この世界の常識であると説得し、なんとか結婚を承諾してもらったのです・・・。」


田中さんが説得した・・・。田中さんは、俺も何度かお世話になったし、知っているけど・・・。

田中さんがなんとか承諾を貰った、って・・・。それ結構大変だったんじゃないの・・・?


「そして、私なりに高野様と田中の会話、高野様のおおよその年齢、理解力、等を考慮して、あなた達3人を選びました。」

3人なのは、夫は最小限が良い、との要望でして・・・。


「おい、まさか・・・。俺たちの経歴書なんかは、高野えりは見てないなんてことは・・・。」


まさかそんなことはないよね、夫は最小限が良いなんて言っているくらいなんだから、俺たちのことは結構まじめに選んだんじゃないかな。嫌な人と結婚したくないもんね。顔もしっかり見ないと・・・うう。過去の経験が・・・なんか悲しくなってきた。


しかし、説明役の人は「そのまさかです」と返事した。


え!嘘でしょ!?


「本当に、結婚に対して消極的なのですね・・・。」


向井さんは、心底驚いたというように目を見開いていた。

気持ちはすごくわかる。

夫は3人だけ。どんな人でもいい。年齢も経歴も気にし無い。

消極的っていうよりむしろ・・・


「結婚が嫌そうだな。」


「後々のことを考えると、ごまかさないほうが良さそうですね。・・・はい、その通りです。」


えりは結婚をしたくないけど、この世界の決まりだから、田中さんに説得されて結婚を決めた。結婚相手に興味がないから、誰でも良い。これ、仲良くする気がないんじゃ・・・。

それに・・・


「投げやりになっているようですね・・・」


「ええ。仕方が無いのかもしれませんが・・・。」


結婚生活、大丈夫かな・・・。


「ですので、スキンシップは少し控えめにしていただいて・・・、それ以外は、皆さん、普通に接してください。」


え!


「普通でいいんですか?」


「ええ、おそらく、それで問題はないと思います。」


説明役の人が、少し悲しそうに微笑んで俺の質問に答えた。


本当に、普通でいいの・・・?

普通っていうと、女性に対してどう接したら良いかって学んだことをそのまま実践したらいいってことだよね。


「説明は以上になります。そろそろ高野様に来ていただきますので、今日からさっそく、”夫”として、よろしくお願いしますね。」


説明役の人がそう言ってから、すぐに、部屋に田中さんに連れられて、俺たちの嫁が現われた。











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