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死後の夢  作者: 吉田玲次
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神隠し


新聞記者の仕事は想像以上につらい。



9月8日。夏休みとやらで平日に連休をよこされた。普段取れない睡眠をたっぷりとることができた。


私が入社してから いろいろあった。

熊本地震

オバマ訪問

大きなテロ

天皇生前退位

リオ五輪


ニュースに追われながら。いや追う側でなければならないが、追われてしまった。あっという間に半年が過ぎた。


この連休で祖父の家から持ってきていた。あの原稿用紙を読み進める(解読)することにした。


=============以下本文=============


目がさめると神社の境内で横になっていた。

そとは黄昏時。ぼんやりと暗くなっている。

「ここは…どこだ。 」

「鬼岩神社…なんだか不気味な名前だが、綺麗に手入れがされている。私は神隠しにでもあったのか。 」


「違う。この不快な感覚は 神社の名前のせいではない。寝ている間、今まさに見ていた夢の中でいた場所だ。」


夢の中で、私は少女と話していた。 綺麗な巫女さん。 彼女に恋をしているようだった。自分でも何を書いているのかよくわからないが。この理解不能な状況を整理したい。



そもそも、私は 下関で 大きなサメが網にかかったというので、取材に向かっていたところだった。

前の日、山城亭で飲みすぎたせいで酷く吐き気が止まらなかった。


潮の香りで、余計に吐き気を催したものだから、屈んで蹲ったところから 記憶が途切れている。気づいたら 夢の中にいた。

そこで、少女と出会い。恋をした。 夢の記憶も定かではないが。その夢の中でいた神社に今、私はいる。 下関にこんな神社はない。 これもまた夢なのか。 状況が理解できないでいた。


とにかく、神社から出て 千段はあるであろう階段を下ることにした。


階段の一段おきに立派な灯篭が建てられている。空も見えないほど、鬱蒼とした森の中だった。 赤いハンカチのようなものがたまに灯篭に結ばれている。夏だというのに 寒い。寒すぎる。 階段を下りきり、少し道無き道を下りたところに、団子屋が見えた。 2人の若い男が座っている。


「こんにちは」声をかけた。



「どうも。ご苦労さんです。

修行ですか? 将軍様も酷いことをされるものです。」

なんの話だか、わからないが 調子を合わせておいた。


「すみません」


「はい?」


「ここは下関じゃないよな」



「吉永だ。お前さんどちらから」


山口県だ。と言いかけたが、面倒になる予感がしたので 町から来たとだけ言い残して。駅までの道を聞きその場を後にした。


駅の名前からするに、ここは静岡県だ。 名前しかわからない。 知り合いもいない。もはや別の国のようなものだ。



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