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子供の喧嘩に親が出る

このお話は【合縁奇縁】の[好きで子孫なわけじゃないのに][父からの不思議な提案]の間のお話になります。主人公・乃木幾久の父、古雪ふるゆきのお話です。

 校長室に呼ばれた時、幾久の父、乃木古雪ふるゆきは、不思議な気持ちを抱えていた。

 何の面倒も起こさなかった、大人しいあの息子が、よりにもよって他人を殴った。

 しかも二発も!

 よっぽど腹にすえかねたことがあったのか、それとも自分が知らなかっただけで乱暴者だったのか。

 ただの乱暴ものなら矯正する必要がある。

 他人に暴力を振るった、ということは許しがたい。

 ただ、息子だからというわけではないが、ひょっとして、という予想はあった。


 最近放送されている、乃木希典が出てくるドラマのせいだろう。

 乃木希典の子孫である自分にとっても、正直頭痛の種だ。

 本気で歴史を調べている、いわゆるマニアックな人であれば、あの内容をドラマとして認識してくれるのだが、小説やマンガやドラマに影響されて、それを史実と思い込んでいる種類の『歴史好き』はかなり困る。

 誤解だけなら笑ってすますが、やれ、これだから無能なやつの血筋は、とか申し訳ないとか思わないのかとか、なんかあったら切腹すんの?とか言われればさすがに時々かちんとくる。

 多分に息子も似たような目にあったに違いないとそう考えると、なんとなく同情心と申し訳ない、という気持ちがわく。

 こういった事を間違って意識させるのも嫌だったし、妻は面倒を嫌がる。メジャーな人物でないのだから、あえて説明もしなかった。

 興味を持てばもちろん教えるつもりだったが、やっぱりきちんと意識させるべきだったか。

 そんな事を考えながら、古雪は校長室のドアをノックし、返事があったので静かに開けた。


「失礼いたします」


 私学らしい贅沢なつくりのこの学校の校長室は、校長室よりむしろ映画に出てくるプレジデント・ルームにイメージが近い。

 良い部屋だな、趣味がいいかは別として。そんな風に古雪は思いながら、当然そんなことは一切表情に出さずに顔を上げた。


 校長室にはがっぷくのいい男性の校長、若い男性担任教師、殴られた子と、殴られた子の母親が待っていた。

 ソファーに座っている面々をそのままに、古雪は深々と頭を下げる。


「この度は、ご迷惑をおかけしまして、大変申し訳ありませんでした。私、乃木幾久の父です」

 簡単に自己紹介し、再び頭を下げる。

 校長は「これはこれは、お忙しいところを」と言いながら近づき古雪に握手する。

 どうぞお座り下さい、と促されるままにソファーに座った。


 内容は勿論、自分の息子が相馬という目の前の少年を殴ったこと、幾久は理由を喋らず、相馬君もまた、それを言わない、ということ。

 相馬少年の母は、じろりとこっちをにらみつけている。当然の反応だろう。

 古雪は言った。

「しかし、私も全く事情がのみこめないのですが、理由はどういったものか、教えてませんか?」

 丁寧にそう尋ねるが、相馬少年は目をそらしている。

 担任が相馬少年を促した。

「相馬君、なにが原因なんだ?君が説明して欲しい」

 多分担任はほかのクラスメイトや息子の幾久からは理由を聞いているだろう。多分、幾久がなにも喋らないだろうことは想像がつく。そして相馬少年がなにをしたのか、この担任は知っている。だからこそ、こうして促すのだ。しかし相馬少年はそれを判っていないらしい。

「乃木君が勝手に殴りかかってきました。一方的に」

 そう言った相馬少年の言葉に担任が苦笑して否定した。

「いや、そうじゃないだろう?相馬君。きちんと本当の理由を説明しないと」

「俺は悪くないです」

 ふん、と顔を背ける諸馬少年に、古雪は言った。

「わかりました。では、うちの息子は退学と言うことでよろしいですね?」

 え、と全員が驚いて顔を上げる。

「相馬君に問題が無いのであれば、うちの息子のやったことは立派な暴行です。でしたら私は、息子に制裁をくわえねばなりませんが、そんな事をしても相馬君を殴った事実は消えるわけではありません。このまま高等部に行かせるわけにもいきません。退学でよろしいでしょうか?」

 いやいや、と校長が慌てる。

 当然だ、中等部で問題がおきたとなれば自分の立場だって危ういのだ。

 あくまで平等な教育者らしく、校長は言った。

「確かに乃木さんの息子さんが相馬君を殴ったことは事実だが、内容が判らないままでの処分は乱暴ではありませんか」

「そうでしょうか?殴ったことは事実です。相馬君には大変申し訳ないことをした、父として心からお詫びするよ。本当に申し訳なかった。お母様にも、本当に申し訳ありませんでした」

 深々と頭を下げると、こちらは悪くないと言っている相馬君と、それを信じた母親は、途端、自信を持った態度と言葉になった。


「全く、どういうしつけをなさっているの?」

 表情をゆがめて得意げに相馬の母が言う。

「お恥ずかしい限りです」

 頭を深々と下げ、息子の失態を恥じる父親らしく、そううつむく。仕事柄、こういった手合いは慣れている。

 こういった人が何を喋り、何を考え、どんな態度をとるのか、手に取るように判ってしまう。そんなことは当然見せず、静かに父親らしい態度を続けた。

「こちらの不徳と致すところです。息子は私が退学させます。それで許してはいただけませんか」

「しかし……」

 校長がいい淀む。折角問題なく終わりそうだったのに、この時期にわざわざ問題を出すようなことをしたくないのは手に取るように見えた。

 だが、相馬少年が口を開いた。

「それでいいんじゃないの?俺はどうでもいいし」

 勝てる、と思ったときの独特の表情だ。

 担任の教師が言った。

「そうじゃないだろう、相馬君。乃木君は大人しい子だし、いままで素行に問題はなかった。じゃあどうして、こんな事になったのか、説明して」

「意味わかんないです。俺はフツーに話してただけです。そしたら乃木が突然切れたんです。なんか家庭に不満とか、あったんじゃないっすか」

「私もそう思います」

 はっきりと言う古雪に、相馬少年は得意げな表情をした。

「やはり、家庭になにか問題がおありになるのね!」

 理由を見つけた!とばかりに相馬少年の母もくいついてくる。ありがちで判りやすい理由はいつだって、思い込みを加速させる。だけど今はそれでいい。加速してくれなければ、コーナーで調子に乗ってくれない。

「申し訳ない限りです」

「申し訳ないってあなたねえ……あなたの家庭の鬱憤を、うちの子にぶつけたっておっしゃるのでしょう?それを許せとか。退学でもやさしいくらいでしょう!」

 自分の思い込みで勝手に怒り始めた相馬の母に、校長も担任も慌てだす。

 私学で、おまけにもうすぐ卒業だというのに、どうしてこんな問題をおこすのだ。折角静かに治めようとしているのに。だが、母を味方につけた相馬少年は、調子にのって言ってしまった。

「そうそう。あの無能の乃木希典の子孫だぜ。そんくらい、フツーに……」

 そら言った!心の中でガッツしても、古雪はそれを隠し、静かに笑顔で相馬少年を見つめた。

 ふふんと相馬少年が古雪を見上げて言う。

「だっておまえんとこ、先祖が乃木希典だろ。あのスゲー無能の」

「相馬君!」

 担任が慌てて相馬少年を止める。

 ちら、と担任を古雪は見つめた。

 直接自分が伝えたわけではないが、この学校に入学する際の身辺調査で、自分が乃木家の子孫であることはこの学校は知っているはずだ。

 だが、この事は本人が自ら言いもしない限り言わないで欲しいと告げてある。

 実際、この学校に入って今まで、そんな事はみじんもなかったと幾久も言っていた。

 うっかり担任が口を滑らせたせいでメーワク、と幾久は言っていたがその通りだったらしい。

「先生」

 ちらりと見ると、担任がしおしおと肩を落としている。

「申し訳ありません……私がつい、乃木君の事を言ってしまったせいで、生徒がそれを知ってしまって」

 なるほど、それで学校側も担任も、大げさにしたくないというわけか。

 このご時世に個人情報を勝手にばらしたなどと、私学であれば余計にまずい。

「いえ、ばれてしまった事は問題ではありません。問題なのは、うちの息子が相馬君を殴ったという事実ですが」

 ほらみろ、と相馬少年がふんぞりかえる。

「ですが、私も息子が相馬君を殴った理由があると思います。相馬君、正直に言ってくれるかな?君は何を言ったのか。もし言わないのであれば、息子にここで喋らせる事位は許して頂きたいのですが」

 それとも、と古雪は言う。

「なにかまずい事でも言ったのかな?そうじゃないなら、言えるだろう?」

「べっつにまずいことなんか言ってませんよ」

 勝ちを確信しているからこそ、饒舌になる少年の姿にやはりなと納得する。

「じゃあ、説明してくれるね?」

「ほんとの事だろ。俺知ってるぜ。乃木希典が無能で、ハラキリ自殺して、すんげえ迷惑かけて戦争でも味方をいっぱい殺してんだろ。人殺しの子孫のくせに、テレビ局に金貰ってちやほやされて、ふざけてんじゃん。子孫なら申し訳ないとか思って当たり前じゃないの?」

「相馬君!」

 担任が驚きたしなめる。

「テレビ局から金を貰うとは幾久が言ったのですか?」

「はぁ?そんなん金貰うのあたりまえだろ。子孫なら権利あんじゃん」

 全く、だから困るのだ、こういう中途半端な情報は。古雪はため息をつきたいのを我慢して、笑顔のまま静かに『大人たちへ』向けて喋った。


「―――――まず第一に、テレビ局から金銭を受け取っている事実はありませんし、そういった関わりもありません。このドラマがあるときに連絡なども一切ありませんし、ですからちやほやの意味が不明です。もし金銭が発生しているとしたら、それはそのドラマを書いた方や役者さんや関わった方だけでしょう」

 え、と相馬少年が顔を上げる。

「それと、君はなにか勘違いしているようだが、テレビのドラマはあくまでドラマだ。現実じゃない。小説もそうだ。君はアニメと現実の区別がつかない子なのかな?」

 にこっと微笑むが、流石にそれが優しい大人の笑顔でないことは気づいたらしい。

「意味わかんないですけど」

「そうだよね。私も意味が判らない。ドラマを現実と信じて、たまたまモデルになった人の子孫に対して許せないという君の言っていることの意味が」

「……」

 さすがにここまで言えば、少し判ってきたのだろう。

「相馬さん、あなたのご家庭では、ドラマもアニメも現実のものだと教えておられるのですか?」

「そんなはずないでしょう!」

 ヒステリックに相馬の母が言う。まるで妻の嫌な部分を見ているようで、どの女性もヒステリックになると同じ顔になるのだろうかとどうでもいい事を思ってしまった。

「ではなぜ、あなたの息子さんはドラマを現実だと思われているのですか?」

「それは……史実にもとづいたドラマであって、より現実に近いから」

「基づいているだけであって現実ではありませんし、史実であったとしても受け取り方や解釈はそれぞれです」

 さあ、ここからが父としての正念場だ。

 仕事でもない、いや、あるならそれは、父の仕事、というやつか。

 すう、と古雪は息を吸った。

「現実ではないドラマを鵜呑みにして、君は何を幾久に言った?」

 相馬少年の目を真正面から見据えた。

 さすがに大人が真面目に睨めばこたえたのか、表情が一気にこわばった。

 だが、甘えた少年らしい、大人は自分を攻撃しないと信じている彼は、古雪に向って素直に不満をぶつけた。

「べつにふざけただけだろ!」

「いじめをする子はみんなそう言い訳するね」

 いじめをする子、と言われて相馬少年はいきなり饒舌になった。

「いじめなんかしてねーし!せいぜいドラマの金もらってんだろ!とか、神なんだろ!とかその程度じゃんかよ!実際なんか神になってんだろ!事実言ってなにがわりーんだよ!冗談だしからかっただけじゃねーか!」

 やはりな、と納得した。

 だからあんな温厚な、というより面倒くさがりやの子が暴力まで振るったのか。

 今度こそ、古雪はため息を隠さずに吐く。全員の動きが止まってしまった。

「……からかわれれば、怒るのは普通の反応だと思いますが。しかもそれが、自分ではなくよく知らない先祖の、しかも作り物のドラマのことであれば尚の事でしょう」

 古雪の言葉に、相馬親子が黙る。

「結果だけを取り出して、先祖の罪を子孫が被るのが当然、というのであれば、相馬さん、もし、相馬家の方に迷惑を被ったかたがいらっしゃれば、あなたはそれを保護され、要求に答えられるのですね?」

 相馬の母が真っ赤になっている。立場が逆転して怒っているのだろう。

 だが古雪も、引くわけにはいかない。

 この学校に残るかどうかは別として、息子の立場がかかっているのだ。

「い、いいがかりをつけないで下さる!?」

「息子も先ほどのあなたのように、そちらの息子さんに言いがかりをつけられたのではないですか?大人のあなたが不快になるのだから、子供がそうなるのは当たり前でしょう。私も甚だ不快です」


 不快、の部分は一層らしく、表情をゆがめて睨んで見せると、校長も担任も、おろおろしながら様子を見ている。

 そのまま目の前の相馬少年に告げた。

「相馬君、君は現実の乃木希典に、どんな責任をとって欲しいのかな?何の権利があって、そうさせたいのかな?」

「それは……」

 相馬少年はぐっと言葉をつまらせてしまう。


「君になにもしていない息子に、一体君はなにをしたんだい?」

「ちょっとからかっただけだろ!冗談じゃねーか!」


 逆切れする相馬少年に古雪は告げた。


「君と幾久が友人なら、君の冗談に幾久も怒ったりはしなかったろう。君の言う、『ちょっとしたからかい』や『冗談』というものはね、信頼する関係の中でしか、時にはそれですら通用しない、大人だって扱いに困る難しいものだ。親しくない仲で一方的に相手をからかったり冗談を言うのは冗談でもからかいでもない。ただの嘲りだ。嘲りは立派な暴力だ。もう一度尋ねようか。君はうちの息子になにをしたんだい?」


 親としてこちらも引き下がるつもりはない。

 大人としてのプライドもある。多少、大人げないとも思うけれど。


「……」

 相馬少年は答えなかった。

 しん、と水をうったように静かになった校長室で、古雪は言った。

「では、双方、両成敗で、停学でどうでしょうか、皆様方。お互いに悪いところがあった、ということで」

 ほっとして校長がそれがいい、と頷いた。

「卒業を残すまでのことですし、それでいいじゃありませんか」

「そうですね、式まで二人とも、停学という事で」

 担任と校長が喜んでいるのに、相馬少年の母親だけが不満顔だ。

「そんな……うちの息子は悪くないのに」

 相馬の母は停学、という言葉に引っかかったらしいが、こちらとしても大譲歩だ。

「うちの息子も、悪くないのにからかわれたわけですから。勿論その後の行為は誉められたものじゃありません。いくらでもお詫び致します。それとも相馬君、うちの子だけが悪いのかな?」

 相馬少年は消え入るような小さな声で呟いた。

「……べつに、」

「それと相馬さん。息子さんは何も言っていないうちの息子に文句をつけるとは、なにかおたくの家庭に問題でもおありになるのでは?」

「まあっ!!いくらなんでも、言いすぎでしょう!」

 怒鳴った相馬の母に、古雪も笑顔で答えた。

「私もそう思いますよ、相馬さん。お母さんは礼儀をご存知なのですから、息子さんにもよく教えて差し上げてください」


 相馬の母も子も、もう何も言い返せなかった。



 相馬の母と子が帰され、しばらく校長と担任との話が続いた。名ばかりの停学なので、高等部には詳しく説明して問題がないようにすること、お互い、というよりこちらに言いがかりをつけられたこと、幾久へのからかいを気付けずに申し訳ない、と担任が言ったこと。

 上っ面だけでも、整えようとするだけまだマシだろ。

 昔の友人が言った言葉を思い出して苦笑する。


「しかし、歴史の上に名がある人物は、気苦労が多いですなあ」

「どうしようもないことですし、私はまだ、軽いほうです」

 最近までそんなこと、世間は気づきもしなかったというのに。

「息子も今までなかったことを急に言われてびっくりしたのでしょう。よく話して聞かせます」

 そういえばこんな事を話したことはなかった。

 自分が誰と繋がりがあって、その人がどういう人だったのか。知っていれば反論もできただろうに、そうでなければ混乱するだけだ。


 世間話を二、三して、校長室を出ると息子の幾久が廊下の向こうで心配そうに見つめていた。

「父さん、あの」

 心配そうな息子の頭を撫でてやると驚いた顔で見上げている。

 いつまでも可愛い息子だと思っていたけれど、いつのまに、こんなに大きくなったのだろう。

「心配することなんかなにもない。大丈夫だよ」

 でも、と泣きそうな顔の息子に古雪は告げた。

「お前が相馬君を殴ったことは、私が先方に謝罪した。先方もそれを納得したし、こちらへの非礼の詫びも、まあ、一応済んだ」

 だから、もうこの事は終わったことだよ、と告げるとそれでもまだ心配そうだ。

「母さんに、なんて言えばいいんだろう」

「……」

 ヒステリックになることが増えた妻には、自分も考えるところがあった。

 仕事に夢中になっていたし、それでもいいと思っていたが、どうも考え直す必要があるようだ。

 そしてきっと、この先も、今回みたいなことから息子は逃れることができないだろう。


「なあ、幾久。ちょっと父さんと飯でも食って帰らないか?」

 そう訪ねると、え、本当に?と嬉しそうな顔になる。この年齢の子供は、普通親とは嫌がるものじゃないのかな、と思ったがそれでもないらしい。

「さっき何を話したか聞きたいだろ?」

 ふざけた調子でそう言うと、息子の表情は途端明るいものに変わった。

「じゃあ、一緒に帰ろうか。父さんはこっちから出るから」

「待ってて!オレ、靴とってくる!」

 そう言うと廊下を走り出した。やれやれ、まるで子供のままだと苦笑して、廊下は走っちゃダメだろ、と言うと放課後だから!と返事があった。

 なんだそれ、と笑って息子の背を見つめた。


 ああもう、自分があの頃、あの学校で学んだ頃と、同じ年齢になったのか。


 スマホにメッセージが届いた。

 さっき旧友に問い合わせた件の連絡だった。


『受験可能、試験日は三月○日午前九時から。飛行機の到着時間が決まったら知らせること。おれはすごいだろ。あと、おごれな』


 ふざけながらもありがたい内容に笑いながら、了解、と返しておいた。

 まだ息子には何も話していない。何も知らない。

 きっとこの提案に驚くだろうし嫌がるかもしれない。


 でもひょっとしたら。

 ひょっとしたら、息子の運命がこれで大きく変わるのかもしれない。

 自分のことではないはずなのに古雪は、子供のようにドキドキしていた。



[子供の喧嘩に親が出る]終わり

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