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第四話

「だいたいね。革命派がやってることは、かつてのフリードリヒ=ヴィルヘルムといっしょだよ」

 とは、法官貴族のマグナスがいった言葉だ。

 フリードリヒ=ヴィルヘルム、すなわちフリードリヒ大王の父親であるが、彼は相当な悪者だった。

 プロイセン国王になったころから巨人たち(身長が180以上の男)を集め、従わない者には制裁を与えた。

 つまり、殺していったのだった。

 フリードリヒ大王の大事な部下カッテという騎兵隊の兵士も、裏切り者としてやはり首を切り落とされ、フリードリヒ大王はやがて、陰鬱な青年時代を送る。

 この兵隊たちは結果として、父親時代でなく、息子の代で活躍したのが何とも皮肉。

 しかしフリードリヒが残した功績は立派と言えよう。

 だからこそ、ヴォルテールも従ったのだろうか、とラファエルはぼんやり考えた。

「おまえさんが何を考えているか、ワシには、よぉくわかるよ」

 マグナスが唇だけ持ち上げ笑んでいた。

「フリードリヒ=デァ=グロース。偉大な功績者だからな」

「ええ、まあ」

 ラファエルはいささか、ふてくされて答えた。

 マグナスはラファエルの肩をやさしくたたき、

「ワシはおまえさんのパトロンだ。おまえを出世させることができたのも、ひとえに国王さまのおかげと言うことを、忘れるな」

「だから王党派に寝返れば、ですか」

 ラファエルは瞼を押さえて苦笑した。

「まあ、そうだ」

「よしてくれ。たしかにあんたは、法官貴族だが・・・・・・俺のパトロンだが・・・・・・」

 マグナスは眉を八の字にまげた。

 貧しくて喰うこともままならなかったパリ大学の田舎小僧。

 それをこのマグナスが拾い、哲学思想という道を与えたのだった。

 そしてラファエルは、マグナスを傷つけるかもしれないと恐れ、その台詞を飲み込んでかわりにこう口に出した。

「俺は絵描きになったらよかったかもしれませんがね」

 運命の皮肉にラファエルは隠れて涙を流し続ける。

「ラファエロ=サンツィオ・・・・・・レオナルド=ダヴィンチ、ミケランジェロ=ブオナロティ! ルネサンスの星は、少なくとも俺より、ましな生活をしていた・・・・・・」

「よしな・・・・・・」

 マグナスはラファエルを落ち着かせる言葉を選んでいた。

 そして、深く呼吸するとこういうのだった。

「たしかに、彼らは充実した生活を営んだかもしれぬ。だが、この十八世紀という時代では絵画など通用しない。ましてや、フリードリヒ二世はこの世にはすでにいないんだぞ。今さらプロイセンへ行ったとしても、おまえのようなアマちゃんは追い返されるか殺される」

 フリードリヒ二世はただでさえ、男色家で芸術オタクで、戦争マニアだった。

 そして何よりも力を注いだのが――錬金術だった。

「あんなキチガイじみた王になど、従わなくてよかったな。ラファエル」

 ラファエルは何も言わずに、出されたコーヒーを一気に飲み干した。


 ラファエルが恐れたある台詞、それは――。


「マグナスさん、あなた達法官貴族など、成り上がりにすぎない。メディチ家と一緒じゃないか」


 ※法官貴族というのは、大市民が貴族になった者を指していった。たとえば十七世紀にはデカルトの父とアントワーヌ=アルノーなど、職務としては裁判官などであったが、多くの思想家も含まれ、その法官たちは文学者や哲学者だけでなく、宗教家も育成していった。

 アントワーヌ=アルノーの場合、修道院の設立に熱を上げ、あまりに乱れきった宗教者たちの態度に腹を立てた彼は、幼い娘を院長にしてしまうほど潔癖だったという(笑。

 


『メディチ家と一緒じゃないか』・・・


 

 メディチ家はフランス王家と結んで勢力を拡大していった一族である。

 だがじっさいは、ただの銀行家だったため、フランス貴族からは煙たがられたようだ。

(ユグノー教徒のサン・バルテルミ虐殺・さらに三十年戦争が関連しているため、ここで話すと長くなるので省略^^;) 

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― 新着の感想 ―
作品に関しては順番が間違っており、小説というより歴史文書のように書かれています。
革命や反乱の後で自分自身に疑問を抱くのは無責任だ。
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