16話
月曜の朝、ケンジは自由が丘の防災倉庫にいた。
連盟の新プロジェクト「ヒーロー・アクション・ユニット」が始動したのだ。
目的は、地域の“声”に応えるだけでなく、現場に入り、支援の手を差し伸べること。
「今日は高齢者宅への防災グッズ配布と、保育園の避難訓練補助。午後は介護施設の送迎支援です」
ミナミがタブレットを見ながら指示を出す。
ケンジは、元オーロラブラックのタカヤ、サンシャインピンク、そして地域ボランティアと共にチームを組んでいた。
午前中、高齢者宅を訪問したケンジは、足の悪い男性に声をかけた。
「こんにちは。防災グッズをお届けに来ました。階段、手伝ってもいいですか?」
「ヒーローが、こんなことまでしてくれるのかい?」
「ええ。戦うだけがヒーローじゃないですから」
午後、保育園では避難訓練が行われた。
サンシャインピンクが子どもたちを誘導し、ケンジは園庭の安全確認を担当した。
「先生、ヒーローって、地震のときも来てくれるの?」
「もちろん。困ってる人がいたら、どこにでも行くよ」
その言葉に、子どもたちは笑顔で頷いた。
夕方、介護施設の送迎では、タカヤが車椅子の操作を担当し、ケンジが付き添いをした。
利用者の女性がぽつりとつぶやいた。
「昔、テレビでヒーロー見てたけど、今は目の前にいるのね」
ケンジは、少し照れながら答えた。
「テレビには出ないけど、ここにはいます」
その夜、連盟の活動報告がSNSで拡散された。
「#動くヒーロー」「#地域支援」「#ケンジの実働」がトレンド入りする。
一方、オーロラ戦隊本部では、プラチナ長官が報告書を破り捨てていた。
「“ヒーロー”の定義を奪われるわけにはいかない。次の一手を打つ」
その言葉と同時に、長官は新たなプロジェクトを立ち上げた。
「AI戦隊・秩序強化部隊」――街頭での“無許可活動”を監視・排除する部隊だった。




