防犯用の笛を屋台で売ろう
防犯用の笛を屋台で売り出して、隣の屋台のおばさんが買ってくれた
とても気に入ってくれて、おばさんはさっそく首に下げてくれている
おばさんと話しをしていると、わかってきた事がある
それは、大人も持っておきたいという事だ
今回は子供がどこで連れ去られていたのかはわからなかったが、もし、自分がその場面を見たら
その時にひとりでは立ち向かえないけど、笛を吹いて回りに知らせる事くらいはできる
特に女性は子供と出歩く事もあるが、実際に襲われて対処できるかといえば
できない人の方が多いだろう
護身用にナイフを持ち歩く人もいるけど、一般の主婦が持っているのは少ないだろう
なので、この笛は助けを求めるには最適という事だ
普及していけば、この笛が町中で鳴った時には誰かが駆けつけてくれる
そんな習慣ができれば、犯罪の抑止力にもなりそうだ
おばさんの話を聞いてそう思った
確かに、子供が持つ物というより、熊対策とか、災害時ように持つ人が多かったもんね
自分もキャンプ用だったし
どれくらい売れるかわからないので、とにかく在庫を作って待っていると
ガロルドが戻ってきた、屋台のご飯をたくさん持って
「おかえり、お腹空いたの?」さっき食べたばっかりなのに
ガロルド「いや、見た事がない屋台だったから買ってみた」
「へー、おいしそう」
薄い生地の表面には何かのペーストが塗ってある
味の想像はできないが、ガロルドに一口だけもらった
パクリとかぶり付くと、暖かい、もちっとした生地に甘めのペースト・・・・
美味しいけど・・・どこかで食べた事があるような・・・・
ガロルド「結構美味くないか?」
「うん、おいしい・・・これ、お芋のペーストじゃない?」
ガロルド「よくわかったな。店の人は獣王国から輸入している芋だと言っていたぞ」
「あ!やっぱり!それ買いたい!」きっと、サツマイモだ
ガロルド「そう言うと思って、買える店を聞いておいた」
「ありがとう!ガロわかってるー」
ガロルド「珍しいものはルラが美味しく料理してくれるからな」
「ふふっ、これなら色んな料理にできるから、後で買いにいこうねー」
ガロルド「俺が買って来よう、ルラはこれから忙しくなるぞ」
「え?まだお客さん来てないよ?」
ガロルド「孤児院で、防犯用の笛を売る屋台を始めた話をしたら。すでに子供たちが他所の子供たちに自慢したあとだった。欲しがっている子供たちはかなり多いみたいだったから、これからどんどん買いに来ると思う」
「えー、もう自慢したんだー。子供って凄い」
ガロルド「自分の名前まで入っているって喜んでたからな。きっと親と一緒に買いにくるんじゃないだろうか。シスターや司祭も買いに行こうと言っていたからな」
「ほんとに?凄い売れそうな気がしてきた・・・・もっと大人向けも作っておかないとだ・・・」
ガロルド「そうだな、大人にも欲しい人は多そうだ」
「よっし、気合い入れて作っておくよ」
ガロルド「じゃあ、俺はコレを食べてから買い物に行って来る。何か必要な物はあるか?」
「うーん、お芋以外は特にないかな?」
ガロルド「わかった」
もくもくと笛を作っては模様を描いていく
ときどきガロルドが口におやつを持って来て餌付けしてくれる
2匹も出て来て、食べさせてもらっていた
薄い生地にサツマイモペーストを塗っただけのシンプルな物だけど美味しい
しばらくそうしていると、親子連れが来た
「いらっしゃいませー」
「これだ!ドラゴンが欲しい!」男の子が母親にそう言う
「これね、本当、綺麗ね。これをひとつ下さい」
「ありがとうございます。名前は入れますか?」
「はい、お願いします」
男の子が元気よく自分の名前を教えてくれるので、笛の裏に刻んだ
「ヒモが付けれますが、ネックレスタイプとストラップタイプどっちがいいですか?」
「ネックレス!」
「はい、じゃあ・・・・これで完成です」
ヒモを付けて、子供に渡してあげる
「わーーー!かっこいい!」
「よかったわね・・・・ママも買おうかしら?」
「大人向けのデザインもありますので、ゆっくり見て下さい」
「ありがとう」
母親もお花の模様が入ったものを買ってくれた
「お揃いだね!」と嬉しそうな男の子
この感じだと、親子は一緒に買う人が多いな・・・大人用をもうちょっと増やさないと
そこからはちらほらとお客さんが増えてきた
作り置きをたくさんしておいて良かった
ガロルドは買い物に出かけて、2匹はお昼寝
私はどんどん来るお客さんを捌いていった
だいたいが親子連れだったけど、男性が一人で買いに来る人もいた
お花の模様を選んでいたので、彼女にでも渡すのかもしれない
しばらくすると、ガロルドが戻って来て、お会計とヒモを付けるのをやってくれた
私は名前を刻むだけ
夕方近くなってきて、在庫がとうとうなくなってきた
猫とドラゴンは売り切れだし、他の物も残り少ない
「すみません、在庫が尽きそうなので、今並んでいるお客さんで閉店にします。今、並べてある分で最後なので、ご希望のデザインが無い場合は明日また来てください」
「えー、ドラゴン・・・」「猫はないのかー」「ざんねん」「あたしはお花がいい」
3人ほどは帰っていったので、猫とドラゴンをもっと多めに作っておかないとな・・・
残りのお客さんは、残っているデザインの中で選んで買ってくれた
好みのデザインが残っていて良かった
最後のお客さんの名前を刻んで、本日は屋台終了だ
あー、疲れた
「お疲れさん、凄いお客さんだったねー」
隣の屋台のおばさんがそう言う
「はい、在庫がなくなっちゃいました」
「明日も凄いだろうから、いっぱい作っておかないとねー」
「そうなんですよね・・・がんばろう」
テーブルセットを片付けて、隣のおばさんに挨拶をした
お客さんがたくさん並んでいたお陰で、おばさんの屋台もいつもより売り上げが良かったらしく
お礼を言われてしまった
お客さんを奪ってしまっていないかと、ちょっと心配だったけど良かった
ガロルドとご飯を食べに行って、お疲れ様会をした
お客さんが想像よりも多くて嬉しいやら、大変やらだ
猫人気が意外と高いので、もっと作っておかないとだし、男の子はほぼドラゴン一択だ
「男の子は他に何が好きかな?」
ガロルド「ドラゴン以外か?」
「うん、生き物でも、物でもなんでも」
ガロルド「・・・・・・・剣?とかか?」
「剣かー。でも、それってネックレスにして嬉しい?」
ガロルド「ネックレスに・・・・・俺はネックレスなんかしないからな・・・参考にならないだろう」
「そっかー、お店に来た男の子に聞いておけば良かったかもね」
ガロルド「ドラゴンじゃダメなのか?」
「ダメじゃないんだけど、描くのが大変だから他に簡単な物があればいいなと思ってね。猫も描くのは簡単だし」
ガロルド「なるほどな、だが、難しい話だと思うぞ。男なんて、石や枝を拾ってきて集めるからな。カッコイイものを聞いても、『勇者』とか『聖剣』とか言うと思うぞ」
「なるほど・・・・凄く説得力がある・・・・」
確かに・・・乗り物とかロボットとかもないもんね・・・
頑張ってドラゴンを描くか・・・
ご飯を食べたあとは、宿に戻って笛作りを始める
模様を入れるだけでいいようにして、後でまとめて描いていく
休憩を挟みつつ、大量に作っておいた
これで明日は足りるでしょう
満足です
翌朝、軽くご飯を食べて、ゆっくりしてから屋台の場所に行くと
昨日のおばさんがもう準備をしていた
「おはようございます」
挨拶をして、横に机を出す
ガロルドは2匹を連れて散歩に行ってくれた、運動不足だからね
お昼ごはんもたっぷり渡してあるので、大丈夫でしょう
椅子に座って、商品を並べたら、さっそく昨日の続き
笛にドラゴンを描いていく
ドラゴンの次は猫だ、ふんふんふーん♪
顔だけじゃなくって、たまにお座りしているのも描いちゃったりしてー
と、楽しんでいたら一人目の客さんが来た
小さな子供を連れたお母さんは、子供に猫を選んであげていた
自分にはつる草模様を買うみたい
名前を刻んであげて、ネックレスにしたら完成
笑顔で帰っていった
昨日気づいた事がある、午後は少し大きい子供たちが多い事だ
5才からは幼年学校に行っているから、それが終わり次第、保護者と買いにきているようだった
なので、それまでには作り置きをたくさんしておかないといけない
もくもくと作り置きをして、たまにくるお客さんを捌いて行った
お昼までは順調だったけど、そこからはだんだんとお客さんが増えていった
列ができてきた時にガロルドが戻って来てくれた
ナイスタイミング!
昨日と同じ連携でお客さんを捌いていく
夕方近くなるとお客さんももっと増えて、常に列ができていた
在庫をいっぱい作っていて良かった・・・・
それでも最後の方でドラゴンは完売し、諦めて帰る子供がいた
ごめんねー
猫は途中で作ったので、何とか耐えた
今日はここまでとして、列の最後尾に『終了』と看板を置いた
何とか並んでいるお客さん全てを捌いて、終わった・・・・
ガロルド「今日も多かったな・・・」
「うん、凄かった・・・」
町中の子供たちが来るんじゃないかと思った・・・
今日は良かったけど、明日の在庫がまた無い・・・・
夜ごはんを食べたあとは、また作り置きをしないとだーーー
ありがとござした!




