子供たちの為に出来る事
王都に戻って、アジトの詳細を報告
例の女神像も渡してきた
後の尋問は衛兵に任せて、自白薬も残り3本を渡してきた
翌日にまた来る事を約束して宿に戻る事にした
「とりあえず、他の子供たちの居場所がわかるまでは手伝える事はなさそうかな?」
ガロルド「そうだな・・・・花グモの蜜を追加で取りに行くか?残りはまだあるのか?」
「全部使ちゃった。非常事態だもん。明日話を聞いて、手伝える事がなさそうなら取りに行くのも考えたほうがいいね。エリクサーの為にもいくつかは持っておきたいし」
ガロルド「ああ、国同士の連携もあるだろうしな。俺たちが単独で動くのは良くないだろう」
「うん」
他国へはすでに連絡をしているようで
『人族至上主義宗教』による誘拐、人身売買が発生している事と
尋問の結果、他国でもアジトを作って、獣人の子供を攫っては売っている事
誘拐の手口、衛兵側にも共謀者が居た事などを開示したそうだ
誘拐や行方不明が起こる事はあるが、ここまで大規模で連続性のある誘拐は今までにない事で
衛兵さんの話によると、これまでよりも獣人や亜人が活動できる範囲が増えてきている事が
『人族至上主義』を活発化させる事になっているんじゃないか?との話だった
教皇国は『人族至上主義』国家だという事は周知の事実だが
他国での獣人、亜人差別は少ないらしい
貴族や上流階級では奴隷として出回る事が昔はあったので
その名残で差別的な思想を持つ人は残っているそうだが、それもひと昔前の話らしい
今は獣王国とも交流や流通もあるらしく、隣国では獣人も増えてきている
残っている『人族至上主義』は自分たちが特別だと勘違いしている連中だ
「獣人は人と交わった獣だ」って考えらしいが
もし始まりがそうだったとしても、何が悪いのかわからない
教皇国が『人族至上主義』を掲げるのなら勝手にやってればいいのに
他国まできて、誘拐する意味が本当にわからない
「ねえ、ガロ」
ガロルド「どうした?」
「教皇国のトップを引きずり降ろせばおとなしくなったりしないかな?」
ガロルド「・・・・・それは難しいかもしれない。どうせ次のやつが出てくるだろう」
「やっぱりそうか・・・・」
難しい・・・・周辺の国が圧力をかけてもきっと同じ事だろうな
戦争して国を吸収するぐらいしか、変わっていく事が想像できないな
根っこが深い問題だ・・・・
ぐるぐると考えていても出口がなさそうなので
宿で工作でもする事にした
誘拐されない為ににはどうしたらいいのかを考えてたんだけど
外に出ないってのが一番だと思うけど、そうもいかない
子供は遊ぶものだ
なので、防犯で子供が持つ物を思い出してみた
そう、防犯ブザーだ
大きい音が鳴ると、犯人は逃げるらしい
今回の事も、大きな音が出せれば、犯行現場を見つけるのが早かったかもしれない
そう思って、笛を作る事にした
首から下げておけば、子供でも吹ける
でも、子供が持ちたいと思ってくれるような形じゃないと、いつも持っていてはくれないだろう
小型で、エマージェンシーホイッスルってやつにしよう
一つ作って、シールドで防音してから吹いてみる
ピーーーー
「うーん、思ったよりも音が小さいな」
キャンプようで持ってたけど、もっと大きい音だったしな
何度も形を変えつつ、吹いてみる
空気が出る穴が大事って聞いた気がするから、そこを何度も変えた
音の大きさっていうよりかは響きやすい、遠くまで聞こえる音がいいよね
ぴーーーーーっ
「うん、良い感じかもしれない」
音がちゃんと出る構造が作れたら、あとは大きさと形だ
小指ほどの長方形で、子供たちが好きそうな動物や、お花、剣や、ドラゴンの絵を描いた
小さいから難しいけど、これも楽しい
たくさん作って、あとは模様を描いていった
出来たら孤児院の子供達にあげよう、喜んでくれるかな?
そんな事を考えながらたくさん作った
翌朝、軽く朝ごはんを食べて、衛兵本部へ行こうかとなったけど
「あ、その前に孤児院へ行きたいんだ」
ガロルド「何か用事か?」
「うん、昨日部屋で笛を作ったんだ」
ガロルド「ふえ?」
「防犯用だよ、危ない目に合いそうな時とか、知らない人に絡まれたときに吹くの」
ガロルド「なるほど?大きな音が鳴れば相手があきらめてくれるかも知れないって事か」
「そー言う事。シゼ君みたいに脱走しちゃう子もいるしね。自己防衛しないと」
ガロルド「いい考えだな。行こうか」
「うん!」
たくさん作ったので、みんなが気に入るデザインがあるといいなー
シンプルでも綺麗なので無地もいくつか用意したんだけど、いるかな?
孤児院へ着いて、司祭さんとシスターに挨拶をして、防犯笛の説明をした
司祭「それは素晴らしい考えですね!子供たちも喜んでくれると思います」
シスター「綺麗な形ですねー、しかも絵まで描いてありますよ」
司祭「本当に、細かいですね。ルラさんは手先が器用なんですね」
「へへっ、趣味なんです」
司祭「とても素晴らしい趣味ですね」
司祭さんが褒め上手だ、照れちゃう
シスターが子供達を呼んで来てくれた
持ってきた見本を並べて、自分が好きな物を選んでもらう
「え!かわいい!」「おれこれがいい!」「ドラゴン!」「お花かわいいー」
きゃっきゃと楽しそうだ
「自分のが選べたらこっちに持ってきてねー」
「ぼくこれ!」もって来たのはドラゴンの絵が描かれた笛だ
名前を聞いて、笛の裏に刻んで、首から下げれるように紐を付ける
首から下げてあげると、跳ねて喜んでいた
次々と来る子供達にも、名前を聞いて刻んでいく
すでに受け取った子供達が笛を吹きまくって、ちょっとカオスだけど
飽きるまでは仕方ないだろう
40人近い子供達全員に配り終わった頃には、ピーーーピーーーピーーーと大合奏だ
使い方の説明は司祭さんにお任せした
自分たちは衛兵本部へ行かないといけないので
「「「「「ありがとーーー!!」」」」声を揃えてお礼を言ってくれる子供達
シゼ君も凄く喜んでくれたので、マルリちゃんの分も預けておいた
お仕事に行っているからね
元気な子供達とバイバイして孤児院を出た
ガロルド「かなり人気だったな」
「うん、良かった。持ちたくないって言われたら終わりだからね」
ガロルド「売りに出した方がいいんじゃないか?」
「うーん、そうだよね。しばらくは自分で作ってどこかの商店に卸そうかなって思ってたんだけど。作るのはそんなに難しくないけど、絵を描くのが・・・・かなり繊細なんだよね」
ガロルド「確かに・・・この小ささに描くのはなかなかだな・・・」
「刻印にすればいいんだけど、それもこの小ささだと作るのが難しいよね」
ガロルド「確かに・・・」
「模様くらいなら簡単なんだけど・・・それで子供が持ってくれるかどうか・・・」
ガロルド「ドラゴンが描いてあるのとは差があるだろうな・・・」
難しい・・・・
「ちょっと商業ギルドと相談かな」
ガロルド「そうだな、衛兵本部に行って手伝える事がないのなら商業ギルドへ行こう」
「うん」
衛兵本部にいくと、疲れた顔のカーシャさんが迎えてくれた
「大丈夫ですか?もしかして休んでない?」
カーシャ「ああ、昨日から徹夜で尋問をしていた」
ガロルド「で?何か収穫はあったのか?」
カーシャ「それがな・・・・」
人身売買でどこに売られて行ったのかを知っていそうなヤツに、自白薬を使ったけど
仲介役の男に渡して以降は誰も知らないらしい
その仲介役の男も毎回違うらしく、どこで引き渡すのかもあちらからしか連絡がこないから
こちらから連絡を取る手段がないらしい
かなり徹底している
これでは先をたどる事が出来ない・・・・
子供たちの足跡がたどれない代わりに、アジトは全て吐かせて
アジトの捜索にも向かわせているそうだ
カーシャ「今できる事は全てやった、しかしこれ以上は国をまたぐ捜査だ。隣国の協力がないとできない。すでに隣国には事件の情報を開示して協力を仰いでいる。子供の居場所が特定できる事を祈るしかないな・・・・」
「そうですか・・・・何か他に手伝える事がありますか?」
カーシャ「いや、十分に協力してもらった。感謝する。君たちが居なかったら子供達を見つけるまでもっと時間がかかっていただろう。しかも自白薬という貴重なものまで提供してもらって感謝しかない。少ない金額だが、冒険者ギルドへ報酬を支払いさせてもらう。本当にありがとう」
深く頭をさげるカーシャさん
「いえ、自分に出来る事をしただけですから・・・それに全員を救えたわけじゃない」
悔しい・・・・何か探し出せる手立てがあれば・・・
カーシャ「あとは、国と俺たちに任せてくれ。きっと探し出してみせる」
ガロルド「ああ、もし手伝える事があれば冒険者ギルド経由で言ってくれ。駆け付けよう」
カーシャ「ありがとう。じゃあ、仕事に戻るよ」
「あ、ちょっと待ってください。これ・・・・差し入れです。良かったらみんなで分けてください」
収納から適当に出して、カゴに詰めて渡す
カーシャ「こ、これは?ポーション?自白薬じゃないよな?」
「はい、効くかはわかりませんけど。おいしいポーションです。徹夜は良くないですよ」
カーシャ「これはありがたい!しかも軽食まで・・・本当にありがとう」
「いいえ、これくらいしかできないですから。お仕事頑張ってください」
カーシャ「ありがとう!」
衛兵本部から出ていく
「まさかまったく足跡をたどれないなんてね」
ガロルド「ああ、場所さえわかれば飛んでいけるのにな・・・」
頭が回る人間が向こうにもいるみたいだ
こうなる事も予想はしていたけど、子供の事を考えると胸が痛い
でも、できる事をやるしかない
「切り替えていこう」
ガロルド「ああ、他にもできる事はあるだろう」
「うん、まずは商業ギルドだね」
そうだ、出来る事を頑張ろう
ありがとござした!




