誘拐現場を探そう
シゼ君を抱っこして、孤児院まで走って戻って来た
一緒について来た衛兵さんは急に走った事により、ぜえぜえとかなり苦しそうだった
ちゃんと訓練してる?ダイジョブそ?
「衛兵さんなら鍛えていると思って・・・・何かごめんね?」って声をかけると
急にシャキッとして「ええ、日ごろから鍛錬していますので。全然平気です。それでは失礼します」
そう言って、振り返って戻っていったけど
少し進んだところでめちゃくちゃゴホゴホ咳き込んでいた
息切れしてるのに、無理やり止めるから・・・
お茶目な衛兵さんを見送って、孤児院の中へ入っていく
シスターと司祭さんに町中であった事を報告
司祭「そうですか・・・お恥ずかしい話ですが、ここでは未だに『人族至上主義』を掲げる人間も少なからずいて、特に特権階級の貴族はその傾向がありまして・・・その隊長さんもその考えをお持ちの方かも知れません。ほとんどの者はそのような考えはしないのですがね、自分たちは特別だと思いたいのでしょうね。とにかくシゼを連れ戻して頂いてありがとうございました。シゼ、もう外に出てはいけませんよ。今は我慢の時です」
「やだ!おれはルラねーちゃんとマルリねーちゃんを探しに行くんだ!」
司祭「ダメですよ。邪魔になってしまいます。お2人に任せておきましょう」
「やだーーーー!!」
「あの、シゼ君と一緒に行方不明者を探したいんです。必ず守りますから、許可を頂けないでしょうか?子供の事は子供に聞くのが一番だと思いますし。シゼ君をここに閉じ込めていても、きっとまた一人で町へ行ってしまうでしょう。それなら、最初から一緒にいれば安心ですし・・・ダメですか?」
「ほら!おれの力がひつようって言ってる!」
困った顔でシゼ君を見る司祭さん
司祭「・・・そうですね。止めても聞いてはくれないでしょう・・・シゼ?これは遊びではないのです。この方たちのいう事は絶対に聞いて下さいね。あなたの命に係わる事です・・・わかりましたか?」
しゃがんでシゼ君の目線に合わせてゆっくりと話をする司祭さん
シゼ「うん・・・・わかった・・・」
ガロルド「今日はもう遅いから、明日の朝に来よう。シゼ、脱走するなよ」
シゼ「うん、ぜったいきてね」
「明日の朝に来るから、ちゃんと起きて、待っててね」
シゼ「まってる!」
司祭「ありがとうございます・・・感謝します」
深くお辞儀をする司祭さん
「いえ、私たちも協力してくれる人が居る方が助かりますから。では、また明日」
シゼ君と司祭さんに手を振ってバイバイした
「ふう、『人族至上主義』ねぇ」
ガロルド「どこの国にもある事だ、獣人を獣と同列だと思っている」
「酷い話だね、傲慢な考えだよ」
ガロルド「そうだな、でも、衛兵の調査が進まない理由がわかったな。それにグルになっている事も考えた方が良いかも知れない」
「衛兵が誘拐に加担しているって事だよね・・・シゼを連れて行こうとしてたもんね」
ガロルド「ああ、保護しようとしている様には見えなかったな」
「うん、とりあえず宿を取って町の人に話を聞いてみようか。ご飯でも食べて」
ガロルド「そうするか、孤児院に近い宿を取ろう」
「うん」
孤児院近くの宿を探して、部屋を取った
そして、屋台で食べ歩きをして、行方不明者について話を聞き込みしてみた
「近所の子供が遊びに行ってから、帰ってこないらしい」
「お使いにいったけど、それっきり・・・」
「友達と遊びに行くと言って・・・」
聞き出した情報はみんな
出かけたまま帰って来ないという話だった
でも、1人ってわけじゃなくて
友達と一緒に消えた・・・そんな話もあった
その半分以上が獣人の子供、そして一緒にいた女性も・・・という感じだ
男性が単独でいなくなるって話はない
これは確実に意図的なものを感じる
そして、連れ去りの瞬間を見たと言う人は一人もいなかった
あの建物が怪しいという話さえも出て来ない
ガロルド「いなくなる前の共通点がないな、ひとりって訳じゃないみたいだしな」
「うん、もしかして自分からどこかへ行った?」
ガロルド「なるほど・・・だが、店なら、あそこの店に入ったら出て来ない・・・なんて話になっていそうだけどな・・・」
「うん、店じゃなくて、子供が行きそうな・・・公園とか?」
ガロルド「公園というよりも広場だがな・・・人も多い」
「そうなんだよね・・・・あんな人が多いところでは無理だよね・・・」
広場にはベンチが置いてあって、中心には銅像がたっている
回りには屋台が集まっていて、子供が遊ぶ広さはあるが、人も多いところだ
連れ込める建物も隣接していない
誘拐できるとは考えられない
「明日、シゼ君に子供が行きそうなところを聞いてみようか」
ガロルド「そうだな、大人が知らない場所もありそうだ」
そうだ、秘密基地・・・この広い王都ならあるかもしれない
続きは明日にする事にして、宿に戻った
翌朝、軽く朝ごはんを食べたあとに出発して
孤児院へ行くと、シゼ君が走ってきた
シゼ「きたーーー!」
朝から元気いっぱいだ
「おはよう」
ガロルド「おはよう」
シゼ「おそい!まってたんだぞ!」
「え?ほんと?シゼ君は早起きだねー」
シゼ「あたりまえだろう!早くいこう!」
ヤル気満々だ
「じゃあ、夕方までにはここに戻ってきますので」
司祭「よろしくお願いします。シゼ、ちゃんという事を聞いて下さいね」
シゼ「はーい」
ガロルド「行こう」
「では、また」
シゼ君の手をつないで、孤児院を出た
「シゼ君、さっそくなんだけどね、シゼ君がいつも遊んでいる所ってどこ?」
シゼ「えー?遊んでいる所?孤児院のひろばかー、町のひろばかな」
「そっか、どこか秘密の場所とかない?」
シゼ「ひ、ひみつのばしょ?」
明らかにビクッとして、キョドキョドしている
「うん、秘密基地とか・・・」
シゼ「な!ないない!ひっひみつきちなんて、しらないー」
「ほんと?大事な事だよ?そこでマルリちゃんが居なくなったかもしれない」
シゼ「え?マルリねーちゃんはあそこには行かないと思うけどな・・・」
「やっぱり・・・あるんだね?秘密基地が」
シゼ「あ・・・」
やってしまったという顔のシゼ君
「マルリちゃんは秘密基地には行かない?どうして?」
シゼ「・・・・・ひみつきちの話はひみつなんだ・・・」
「そっか・・・でも、私も子供だから教えてくれない?」
シゼ「え?ルラねーちゃんが子供?」
「うん、子供だよ。まだ成人してない、14才だもん」
シゼ「え?え?え?」
ガロルド「本当だ、ルラは成人していないぞ」
シゼ「ええーーー!じゃ、じゃあひみつきちの事は誰にも言わないか?」
「あー、それは約束できないかも知れない・・・もしかしたらそこで子供たちが攫われているかもしれない」
シゼ「え?!あそこは大人は知らないんだぞ!子供しか入れない!」
「うん、だから狙われたんだと思うよ。事件があってからシゼは行ったりした?」
シゼ「ううん、シスターもしさい様も外に出たらダメだっていうから・・・」
やっぱり、かなり怪しい
ガロルド「シゼ、もしかしたら、そこに行った子たちが攫われているのかもしれない」
シゼ「で、でも、マルリねーちゃんはもう子供じゃないから行かないって言ってた!」
なるほど?だからマルリねーちゃんは行かないって言ってたのか
「でも、もしかして、そこに来いって誰かから言われたら?例えば『シゼを捕まえた、会いたかったら来い』みたいな事を言われていたら?」
シゼ「そ、そんな・・・マルリねーちゃん・・・」
「ね?シゼ君・・・私はみんなを助けたいんだ、みんなには秘密にしておかなきゃダメだって決まりかもしれないけど、場所がわからないとマルリちゃんを助けられない、お願い、場所を教えて?」
シゼ「・・・・教えたら、みんなはたすかる?」
「絶対にたすけるよ、約束する」
ガロルド「ああ、任せておけ」
シゼ「・・・・・わかった・・・・しんじる」
こうして、シゼ君に秘密基地の場所を教えてもらう事に成功した
走るシゼ君の後ろについて行く事しばらく
貴族街のはずれにその屋敷はあった
「廃墟だね・・・」
シゼ「こっち、ここから入れるんだ」
ぐるっと囲う塀沿いを行くと、下に穴が開いた場所があった
子供が一人入れるぐらいの穴だ、ガロルドは絶対に入れないだろう
「ここか・・・わかったよ。ありがとう」
シゼ「え?中に入らないの?」
「敵がいるかも知れないでしょ?まずは準備しなきゃ・・・」
ひそひそとわざと声を落として話をする
ガロルド「さあ、ここからどうする?」
とりあえず怪しまれないように屋敷から離れる
「おそらくあそこが犯行現場に使われているのは間違いないと思うんだ。でも、問題は子供たちをどうやって、どこに?って所だから、まずは屋敷の作りとか、周辺の建物を調べる所からだね」
ガロルド「そうだな・・・ギルマスに協力してもらおう。何か伝手があるかもしれない」
「うん、一度冒険者ギルドへ行こう」
シゼ「ぼうけんしゃギルド?おれ行ってみたかったんだ!」
「ふふっ、良かったねー。ギルドマスターって偉いおじさんに会うからね」
シゼ「ギルドマスター!?やったー!かっけえーー!」
無邪気なシゼ君と手をつないで冒険者ギルドへ向かう
これからが問題なんだけどね
シゼ君みたいな元気な子がいると癒されるな
きっと何とかしてみせよう
秘密基地を教えるって勇気のいる事だったと思う
期待に応えよう、そう強く思った
ありがとござした!




