ガロルドの話 6
翌日に呼ばれた通りにギルドマスターに会いに行くと
買い取り拒否の理由を聞かれた
ルラはあった事をそのまま伝えたが、査定の紙を見せるまで信じていない風だった
しかも、当事者のはずの女は同席していない
口だけは「悪かった」とは言ってはいるが
何だこの扱いは?
よくよく話を聞いてみると
そもそもルラが一人で狩った事自体を、この男も信じていない
俺がルラのランクを上げたがっていると思っているようだ
何故、俺がそんな事をすると思うのか?
ルラは俺と同じランクで、ルラだけのランクを上げたいと思う意味がわからない
「どうやって狩ったんだ?」とまで聞いてくる始末だ
ルラが若いからか?嘘を言って何になる?
内心は怒りでいっぱいだったが、ルラが冷静に話をしている
俺が暴れる訳にはいかない
俺たちがパーティを組む意味もわからないとか言い出したギルドマスター
こいつは一体どうしたいんだ?ただ俺たちを苛立たせたいだけか?頭が悪いだけか?
そこで、ルラが「もういいです」と立ち上がった
説明はした、これ以上の話に付き合う意味はない。その通りだ
しかしギルドマスターが食い下がる
「謝罪をするからビックホーンブルを売って欲しいに決まっているだろうが」と言い出した
「こんな話をする所に売ると思いますか?」
ルラの言う通りだ、立ち上がろうとした時に
例の女がやって来た
入ってくるなり、ルラを指さして声を上げる
「こいつです!」まるで自分が被害者のような口ぶりだ
ギルドマスターが女を横に座らせて、査定価格について聞いている
査定金額に間違いはないのか確認して、女は間違いないと返した
明らかに動揺している
ギルドマスターが査定担当を呼んでくるように言った
ルラがため息をつくと
「なによ!その態度!しかもなんでガロルド様の隣に座ってるのよ!」
激昂してルラに突っかかってくる
ギルドマスターが止めているが
もし、襲ってくるのならぶっ飛ばす
拳を握った
そこでギルドマスターが2人でパーティを組んだ事を言うと、さらに激昂した
この女は頭がおかしいのか?なぜ怒られないといけない
正直気分が悪い、もう出て行こうと思った時に
査定担当の男が入ってきた
そして、査定の金額が間違っている、ゼロがひとつ足りない
しかも自分が書いたものではない、誰かが書き換えていると証言した
それを聞いて、明らかにおかしい女、爪を噛んで目は泳いでいる
そしてルラが嘘をついている、俺が騙されているだけだと主張し始めた
俺はルラが狩る所を見ていたし、嘘はない事
ロビーに銀龍もいるから聞いてみればいいと言った
ギルドマスターが今度は銀龍を呼びに行かせた
完全におかしい雰囲気の女の話をどこまで信じているのか
ルラが立たないので、大人しく待つ
間もなくアーバンが来て、ルラが一人でビックホーンブルを狩った事を証言してくれた
そこで初めて「疑って悪かった」とギルドマスターが謝罪した
その時、女が飛び掛かってきた
ルラに向かって来るのはわかっていた、腕で女を弾き飛ばした
「こんな狂った女を雇っているのか?」
こんなに腹が立つことは久しぶりだ
ぐっと拳を握ってギルドマスターを睨んだ
少し怯えた表情を見せて、衛兵を呼ばせた
「では、お話は終わりですね」
そう言ってルラが出て行こうとすると
ギルドマスターがまだ食い下がる、謝罪をするからビックホーンブルを売ってくれ、と
「は?さっき言いましたよね?こんな所には売らないと」
「どういう事だ!ちゃんと謝罪しているじゃないか!」
どの口が言っているんだ・・・
「これをちゃんと謝罪したというのなら、少し勉強しなおした方がよろしいかと思います」
「黙って聞いていれば、言い過ぎじゃないか?」
そこからルラは、理路整然とギルドの落ち度と不手際を説明した
こちらの話をはなから信じていなかった、当事者もここに呼んでいなかった
結局そちらが全部悪かったのに、謝るから売ってくれの一点張りで
査定も他所よりも低い、どう見ても職員の管理ができていない
図星を突かれて、だんだんとイラついているギルドマスター
最後に
「査定を安くつけて、冒険者から巻き上げようとした。冒険者ギルドが冒険者の敵になるのならきっとこのギルドには冒険者はいなくなるでしょう。私はしったこっちゃないですが」
そう言って部屋を出て行った
ルラの後ろへついて行く
ルラの言う通りだ、他の冒険者に「ここのギルドでは職員が不正をして、素材を他所よりも安く買い叩こうとしている」と言えば、冒険者は他の町へ行くだろう
トップがバカだと腐るのも早いだろう
ロビーにいる銀龍には「アーバンに話を聞いてくれ」と言って
ルラと宿に戻ってきた、明らかに落ち込んでいる様子で心配だったが
部屋で休むと言って、こもってしまった
さっきまでは、気丈に振舞っていただけなのか・・・
俺がいる事で、ルラの実力が認めてもらえないかもしれない・・・・
かと言って、離れたくない・・・・
ルラがパーティを組むのを辞めようと言い出すかもしれない・・・
不安が押し寄せてきた
もしそうなったら・・・嫌な予感でいっぱいになっていると
アーバンが戻ってきた、ギルドマスターを連れて
あの後、説教してくれたらしく
ルラに謝らせるために連れてきたらしい
ルラが許さなかったとしても、文句を言わない、ただ謝罪だけをしにきた
そう確認を取ってから、ルラの部屋へ一緒に行った
ノックをして出て来たルラは、明らかに元気がない
無表情でギルドマスターの謝罪を聞いていた
全てを聞いても、一言も返さなかった
アーバン「別に許さなくていいぜ。全部こいつが悪いからな、じゃあな邪魔したな」
そう言って、ギルドマスターを連れて行った
ルラの顔色が悪い、心配で「大丈夫か?」と聞くと
「うん」と返ってきたが、元気がない
「何かして欲しい事はないか?」
「・・・・話、聞いて欲しい」
嫌な予感だ、ルラの部屋に入って2人でベッドへ腰かける
「あのね・・・やっぱりパーティやめようかなって」
嫌な予感的中だ、ギルドマスターを一生恨むぞ
そこから理由を聞こうとした、すると
「今回の事は自分のせいかもしれない」そう言いだした
さらに理由を聞いていくと
邪神から気に入られている自分は、周りの人間の悪意を増幅する事
今までも、家族や、自分に悪意を持つ人間に苦しめられてきたことを話してくれた
聞いていて胸が痛くなるような過去だった、が
それでは俺が一緒にいてはいけない理由にはならない
もし、ルラに悪意が向けられる事があるのなら
そんな時こそ一緒にいたい
俺が助けになりたい
苦しそうに、自分の過去を話すルラを守りたいと思った
一緒に居ない方がいい
そういうルラは本心ではないように見えた
だから
もう仲間だし、捨てないでくれ
そう言ってみた
俺が助ける
そばにいれば助けにもなれる
それから邪神に呪いを受けて生活している人間がいる事も言ってみた
多くはないが、実際に居るし、邪教だってある
ルラだけじゃない
だから、捨てないで欲しい
そう言うと
「傷つけたりしたくないだけで・・・・」
ぽろぽろと泣き出してしまった
「じゃあ、俺と一緒だ。ルラに傷ついて欲しくない。ルラに捨てられたら俺は傷つく」
ぽろぽろと泣くルラの頭を撫でる
いつもよりもっと幼くなったルラ
これまで一人で耐えて来たことを思うと胸が痛い
もっとそばに居たいと思った
俺が出来る事はしたい
頼りにして欲しい
「俺を捨てないでくれ」
そう懇願した
「うん・・・うん・・・」
泣きながら了承してくれた
これで消えてしまう事はないかな?
ダメ押しで約束をした
破ったら、剣100本飲ますって
知らない言い回しらしく、ちょっと笑ってくれた
少し落ち着いたので、屋台でご飯を買ってくると言って部屋を出た
良かった・・・・・
ルラが消えてしまわなくて・・・
これからも、こういう事があるかもしれない
俺が守らないと
賢くて、聡明、強くて、しっかりしている
でも、心は子供だ
俺が理解者になりたい
そう心から思った
ありがとござした!




