リオーリオの町 ガロルドの育った孤児院
ガロルドの住んでいた町の近くに野営をした翌日
いつも通り起きて、軽く朝ごはんを食べたあとに町へ向かう
ガロルドのいた町の名前はリオーリオというらしい
特にこれと言って目立ったものもないと言っていたが
醤油を作っている町らしいので、立派な特産品だ
それに醤油を作っているという事は、大豆が特産でしょう
きな粉でも作ろうかな、っていうかすでにあるかも
ちょっとその辺を期待しつつ町へ向かった
「まずは孤児院?」
ガロルド「そうだな・・・・先に行ってもいいか?」
「もちろん!何か差し入れもっていかなくていい?」
ガロルド「差し入れ・・・なあ・・・菓子でも買っていけばいいか?」
「いつも買って帰らないの?」
ガロルド「・・・・顔を見せて寄付して終わりだな・・・・」
「えー?それでいいんだ・・・」
ガロルド「どうだろうか?たまに顔を見せろと言われているから行っている。他に何をすればいいかわからない」
「そっか・・・ガロが元気なら嬉しいんだろうね。とりあえずクッキーがたくさんあるからそれをあげてもいい?」
ガロルド「そういうものだろうか?菓子なら何でも喜ぶと思う、いいのか?」
「もちろん、何人ぐらいいるの?」
ガロルド「30・・・ぐらいかな?」
「わかった、ひとり5枚だとして150枚か、たぶん足りる」
ガロルド「ありがとう」
「どういたしまして、ガロが育った場所を見るのが楽しみー。冒険者ギルドにも行く?」
ガロルド「ああ、実はここのギルドマスターはエルフでな。もしかしたらエリクサーの事も知っているかもしれない」
「エルフ!はじめて会う!確かに知ってそうだね」
ガロルド「そうなんだが・・・ちょっと苦手なんだ」
「え?ガロが苦手な人?どうして?」
ガロルド「・・・・・子供扱いしてくるからだ」
「へー、今も?」
ガロルド「3年ほど前にも会ったが、子供の時と扱いが変わらないな」
「ふふっ、ガロがずっと子供に見えてるのかな?じゃあSランクの推薦はもらえないかもしれないねー」
ガロルド「それは困るな、アイツならくれると踏んでいたんだがな」
「ガロが子供っぽくお願いしたら聞いてくれるかもしれないよ?」
ガロルド「・・・・・なんで子供っぽくなんだ・・・・」
「だって可愛いじゃない?」
ガロルド「難しい・・・」
困った顔をしたガロルドと一緒に町へと入って行った
ガロルドの案内で孤児院に向かう
しばらく歩くと、教会が見えてきた
ガロルド「あれが俺のいた孤児院だ」
「わー、あれが・・・・」
立派な教会の横には小さな小学校のようなものが建っていた
あそこが孤児院のようだ
ガロルドへついて行くと、教会じゃなくて、孤児院らしき所へ入って行く
「あ!ガロルド兄ちゃんじゃないか!?」
「ほんとだーー!」
「にいちゃーーん!」
ガロルドに気づいた子供たちが元気よく走ってくる
ガロルド「元気にしてたか?」
しゃがんでみんなの頭を撫でている
「元気に決まってるだろ?」
「にいちゃんかっこよくなった?」
「ぼさぼさじゃなーい」
ガロルド「俺はいいからシスターを呼んでくれないか?」
「わかった!」
「シスター!!」
「ガロルドにいちゃんきたーー!!」
子供たちは元気に走っていった
ガロルド「行こう」
「うん」
子供たちは元気だし、子供たちからも好かれているみたいだ
嬉しくてにこにこしちゃうな
建物の中に入っていった子供たちが、年配のシスターを引っ張ってきてくれた
「ほらーー!みて、ぼさぼさじゃないの!」
「ね?かっこよくなったー」
シスター「あら・・・まあ、本当ね・・・ガロルドさっぱりしたのね。立派になって・・・元気でしたか?」
ガロルド「ああ、シスターも元気か?」
シスター「もちろん元気ですよ。しかも女性を連れてきたんですか?ガロルドが?驚いたわ・・・初めまして、ここのシスター兼、院長をしております。ハリアルと申します」
とても優しい声をした、年配の女性だ
「初めまして、ガロルドとパーティを組んでいます。ルラといいます。よろしくお願いします」
ハリアル「まあ、パーティを?ガロルドが?これも驚いたわ・・・ぜひお茶でも飲みながら話を聞かせてちょうだい?」
「はい」
少し困った顔のガロルドを無視して、ハリアルさんの後ろについて行く
きっとガロルドは顔を見せたら帰るつもりだったんだろう
建物の中に入って、応接セットへと案内してくれた
ハリアル「今、お茶を入れるわね」
「ありがとうございます」
ガロルド「シスター、何か困っている事はないか?」
ハリアル「ふふふっ、何もないわよ。あなたこそ困っている事はない?最近仕送りが増えたでしょう?無理していないかしら?」
ガロルド「何も困る事はない。ルラとパーティを組んでからランクが上がったんだ、今はAランクだし、もうすぐSランクへ上がるかもしれない」
ハリアル「まあ!Aランクに?それは凄いわ・・・しかもSランクだなんて・・・あんなに小さかったのに・・・大きくなったわね」
私たちの前にお茶がはいったコップを置いてくれた
シスターがガロルドを見る目は慈愛に満ちていた
ガロルドの事を本当の子供のように思っているんだろうな、そう思えた
ガロルド「俺ももう20才になったからな、もっと頼ってくれていい」
ハリアル「本当に大きくなって・・・でも、無理はダメよ。あなたが出来る範囲でいいのよ」
ガロルド「無理はしていない。ダンジョン踏破もしたんだ、山ほど金はある」
ハリアル「まあ、ダンジョンを?だからSランクも近いのかしら?お金がたくさんあるのなら、自分が使いたいように使えばいいのよ。ここは十分に生活できているわ」
ガロルド「もちろん自分でも使っている、俺が言いたいのはここが困らないようにしたいって事だ」
ハリアル「ふふふっ、優しい子ね。大丈夫よ、あなたの寄付も凄く助かっているわ。ルラさん、あなたがガロルドの髪をととのえてくれているのかしら?」
「あ、はい。時々切っています」
ハリアル「あら、やっぱり?ふふふっガロルドは良い人を見つけたのね・・・ねえガロルド、久しぶりだから子供たちとも遊んであげてくれない?」
ガロルド「・・・・・わかった」
少し不服そうな顔をしつつも、外に出て行った
ハリアル「ごめんなさいね、少し2人で話をしてみたくて」
「いえ、私も話を聞きたいです」
ハリアル「あら、ガロルドの?」
「そうですね、どんな子供だったのか・・・とか」
ハリアル「そうねえ・・・とても敏感で無口な子だったわ・・・髪も切らせてくれなくてね?」
「シスターでもダメだったんですか?」
ハリアル「そうなの・・・仕方ないから髪をといたり、結んだりしていたわ」
「そうなんですか・・・」
けっこうすぐ切らせてくれたけどな・・・
ハリアル「少し大きくなってからは自分で切るようになっちゃてね?ふふふっ、いつもザン切りだったのよ」
「確かに初めてあったときはそんな感じでした、目もほとんど見えなくて」
ハリアル「そうなのよ、それがあんなに男前にしてもらって・・・ふふふっ、あなたのお陰だわ」
「なんでなのかは私にもわからないんですけど・・・」
ハリアル「それはあの子にしかわからない事だけど、きっとあなたなら安心して任せておけるのよ・・・いつも緊張していたあの子があんなに優しい顔になっているんだもの・・・」
私は出会ったときからあの感じだったから違いはわからないけど
確かに表情は豊かになった、笑うようになったし
ハリアル「ありがとう、あの子とパーティを組んでくれて。少し心配していたのよ、いつまでも仲間を作らないものだから」
「いえ、私の方こそ感謝しているんです。私も誰ともパーティを組めないと思っていたので」
ハリアル「あら、お互いに惹かれたのね素敵ね。・・・これで安心できるわ」
「そうかもしれません、ガロルドには私がついてますので安心してください」
ハリアル「ふふふっ、なんだか婿に出すような気分だわ、ふふふふ」
「ふふっ、婿に欲しくなったら、また改めてご挨拶に伺いますね」
ハリアル「それは楽しみだわ!長生きしなくてはね」
「そうですね、ぜひ長生きして下さい。・・・・ガロルドのさっきの話ですけども、本当に一生遊んで暮らせるだけのお金は稼ぎましたので、困っている事があればなんでも言って下さい」
ハリアル「そうね・・・本当に困っている事はないの、あの子が十分すぎるくらいに仕送りをしてくれているから。心配になるくらいなの、もっと小さい頃から孤児院に寄付を続けてくれていてね?だから自由にできるお金ができたなら自分の為に使って欲しいの」
なるほど、そういう事か
「何も心配はいらないですよ、ガロルドは好きなだけお金を使ってますし、無理がない寄付をしています。最近は立ち寄った町の孤児院にも2人で寄付して回っています」
ハリアル「まあ!そんな事まで・・・・あの子は本当に優しい子ね・・・」
シスターはきっと、どこまでもガロルドが心配なんだろうな
そしてガロルドも同じ
「大丈夫ですよ、私がついていますから、ガロルドが苦しまないように、楽しいように、いい思い出がたくさんできるように、一緒にお祭りも出て来たんです!ガロルドは腕相撲で優勝したんですよ!一緒に踊って、花を送り合って、同じ色の衣装も着たんです。温泉にも一緒に行って・・・・楽しい事を、美味しいモノを一緒に・・・たくさん・・・だから・・・安心して下さい。ガロルドが幸せなら私も幸せなんです・・・だから・・・安心してください」
ハリアル「・・・・ルラさん・・・・あなたも優しい人ね・・・ありがとう・・・ガロルドをよろしくね」
説明しながら、ちょっと泣いてしまった
シスターも少し泣いていた・・・
ガロルドが戻ってくるまで、ガロルドがどんな子だったかとか
好きな食べ物とか、そんな話を聞いた
本人は「何の話をしてたんだ?」って訝しげな顔だったけど
ここに来れて良かった
シスターが良い人で良かった
ありがとござした!




