閑話 リンパオ国 冒険者ギルドマスター バックオール視点
王都のギルドマスターを務めて、10年が過ぎた
着任してから、大きな災害や魔物の襲撃もなく生活が出来ている
ありがたい事だ
だが、少々面白みに欠ける
たまにある大規模討伐も、王都の冒険者ギルドには高ランクの冒険者が常に何組かいるので
大きな問題もなく解決できていた
平和な王都だが、それでもダンジョンからの恩恵は大きく、事務仕事は終わりがない
ここのギルドマスターは誰にでもできる気がするな・・・・
そんな風にさえ感じはじめていた時に、緊急連絡が来た
「Bランク冒険者 ルラ ドラゴンの幼竜を従魔にする」
「本人に野望も野心も無し」
「ドラゴンを誰にも渡すつもりは無く、どこかの国に属するつもりも無し」
「ドラゴンを奪おうとする者がいれば『滅んだ国の事を思い出させてあげる』とのことだ」
「手出し無用、ちょっかいをかけないように指導が必要なモノには周知をお願いしたい」
「本人はいたって平和主義者だ」
隣国のジナールの町から発信された手紙には、そう書かれていた
ドラゴンを従魔に?とんでもない事だ
まだ襲われたと言われた方が信じられる
だが・・・・・みて見たい、ドラゴンを
『滅んだ国の事を思い出させてあげる』とは、実に面白い。みて見たいとさえ思った
単調な毎日の中で「面白い」そう思えたのは久しぶりだ
隣国なら、いつか会えるのでは?そう思うと顔が自然と笑顔になる
王都に居ればいつかは来てくれるんじゃないだろうか
そう淡い期待を持って、単調な書類仕事をこなし、毎日を過ごしいた
その数か月後、また緊急連絡が来た
今度こそどこぞの町が襲われでもしたのか?そう思って開く
アシュミット皇国
ダンジョン都市ゲンガンにて、ダンジョン踏破の報告
Bランクパーティ 『アルラド』
冒険者ルラとガロルドの2人と従魔2匹により踏破されたことをご報告します。
読んだ時に衝撃が走った、『ルラ』この名前を知っている
前に届いた緊急連絡を机から出す。『ルラ』だ、ドラゴンを従魔にした
従魔が2匹?まさかドラゴンが2匹??そんなはずはないか?
いや、それよりもパーティを組んだのか?
ガロルド・・・・聞いた事があるような、無いような・・・・
ゲンガンという事は南下しているな・・・・これはこっちに来る可能性が上がったのでは?
自然と上がる口角、これは期待せずにはいられない
Aランクに昇格か・・・・ダンジョン踏破ならSランクでもいいぐらいだろう
ザンガドもSランク推薦をしているみたいだしな
会った事もないが。推薦をしてみるか?いや、これは切り札として取っておこう
何か依頼を頼みたいと言って、ここまで来てもらえば良い
そして達成できた時にSランク推薦をする。こう言えば良い。完璧だ
年甲斐もなくわくわくしてきた、楽しくもない書類仕事もはかどる
その数か月後、また緊急連絡だ
今度こそ何かあったのか、そう何度も緊急連絡なんて来るもんじゃない
そう思って、緊急連絡の紙を開く
リンパオ国
ダンジョン都市 リンダオパンにて、ダンジョン踏破の報告
Aランクパーティ 『アルラド』によって踏破された事をご報告します。
衝撃だった、前回の踏破から2か月?それぐらいしか経っていないだろう?
しかも、リンダオパンのダンジョンはフィールド型だ
3階層は何か月もかかるほど広いと聞いている
そこを踏破?最下層は地竜?
あまりの事に天を仰いだ
完全に自分の予想を超える事が起きている
しかもだんだんとこちらに近づいているではないか
口角があがり、鼓動が早くなる、いつぶりだろうか
こんなに楽しみなのは・・・
さっそく、彼らに任せたい依頼を吟味する
全ての依頼に目を通したが、ロクな依頼が無い・・・・・
王都が平和すぎる・・・・
ガックリと落ち込んでいたが、その数日後に連絡が入った
「リンカオの近くの山間部にてアンデッドの目撃情報あり」
これは大問題だ・・・・アンデッドが自然に発生することはかなり珍しい
何か近くで問題が起こっているかもしれない
これを彼らに頼もう、即決した
すぐにリンダオパンに手紙を書いて送る
返事はすぐに帰ってきたが、どうやら町から出かけているらしい
戻ってきた時に、伝えて欲しいと返信して待つことにした
もしかしたら、王都に遊びに来るかもしれない
アンデッドの目撃情報はそれ以上来る事はなかったので
数はそんなに多くはないのだろう、そもそも人が行くような所では無い
しばらくして、リンダオパンから手紙が届く
『アルラド』がそちらに向かった
この手紙を読んで、椅子から立ちあがった
やっと会える!ドラゴンに!!
そう思った翌日、もうアルラドが来た
嬉しくて堪らなかったが、我慢して、極力冷静に、極めて紳士的に務めた
応接セットへ移動して、ゆっくりと話を聞こうと促した
ずっと会いたかった『ルラ』は見た目は16か17才ほどに見える
だが、実際は13才、もうすぐ14才だ・・・・
想像よりも大人びてはいるが、まだ子供だ
ガロルドは思っていたよりもデカい、がっしりとした男だ
なぜ一緒にパーティを組む事になったのか、ドラゴンはどこなのか、聞きたい事は山ほどあったが
我慢だ、まずは依頼の話だ
依頼の内容と条件を話すと、「もし、解決して帰ってきた場合はどうなる?」と、聞かれた
アンデッドを倒すのはかなり難しい、元から調査のみを頼む予定だったのでびっくりした
何か対抗策があるのか?と聞けば、「たぶん倒せる」と返ってきた
驚いた、深くは聞かないが、十分に注意するように言っておいた
依頼の話が終わったところで、仲良く「買い物する?」と話はじめた
かなり親密な関係なように見える、彼女はまだ未成年だが、早熟な子もいるだろう
そう思う事にして、一番気になっていた「従魔はどこにいるんだ?」と聞いた
彼女が「ここにいますよ」と言って呼びかけると、彼女のフードからひょっこりと出て来た
その小ささにも驚いたが、まさしくドラゴンだ
小さくともドラゴン、はじめて見るドラゴンは小さくて可愛らしいが確かな強者感があった
その強さの話を聞くと、「キマイラを一撃」そう返ってきた
さすが、ドラゴンだ・・・・・
念願のドラゴンも見れたので、依頼を頼むとお願いすると
「はい、楽しんできます」と返ってきた
た、たのしむ?まさかの返事だ
見たことがないので楽しみ、そう話す彼女は本当に嬉しそうだった
大物だ、彼女は、さすがドラゴンを従魔にするだけはある
楽しそうに出発する2人を見送って、一か月を期間にしたがもっと早く帰ってくるかも知れない
そう思っていた
彼らが出発して10日も経たないうちに、パリパンから連絡が来た
ここは今、ヒトデの大量発生で大規模討伐をしているはずだ
王都からも物資の支援を送ったばかりだ、何かあったのか?
そう思って急いで手紙を確認すると、予想の斜め上、驚きで固まった
「パリパンで大規模討伐中にシーサーペントの襲撃にあったが、討伐に参加してくれていたAランクパーティの『アルラド』が討伐に成功。ヒトデの駆除も収束。シーサーペントの素材の買取希望受付中。」
・・・・・・・・・は?
『アルラド』が?
まさか依頼をほったらかしで、海へ行ったのか?は?
どういう事だ??????????
訳が分からない、理解もできない
そんな状態だったが、どうする事もできずに2日が経った
そこで、なんと『アルラド』が帰ってきたのだ
ますます訳が分からない・・・・・
仕方ないので、話を聞く事にした
応接セットへ座り、報告を聞く
アンデッドを発見して、周辺を探索
遺跡を発見して、遺跡を探索、多数のアンデッドとリッチを発見
リッチから話を聞いて、邪教の神殿と発覚
証拠として、ブレスレットと燭台を持って帰ってきた
遺跡は再利用されるかも知れないから、壊して、瓦礫の山にしてきた
テーブルの上には、邪教の紋章が入った、ブレスレットと燭台
証拠までバッチリだ
ここまでどうしていたのか聞くと
依頼が終わったのは2日、その後は温泉地で休憩
どうしてすぐに帰って来なかったか聞けば「早すぎると不審に思われると思って」
確かに・・・・・
休憩でシーサーペントを討伐するのか聞けば
「たまたまシーサーペントがでたので」だ
そりゃあそうか
だが、さすがに依頼中に寄り道するのは頂けない
シーサーペントを討伐した報告があって2日で帰って来る。そこまで余裕がある理由を聞けば
「空を飛んで」
ドラゴンか聞けば「ドラゴンだな」と返ってくる
なんっっっって羨ましい・・・・
言葉を飲み込んで、事実確認をしなければ・・・・
ありがとござした!
長くなってしまったーー
2つに分けます




