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コメに携わる者たち

受付「ポルモットさん!至急会いたいという方がいらしてます!!」

事務仕事最中に来た突然の知らせ

ポルモット「もしやアルノーラさんですか?」

すぐに立ち上がり移動しながら聞く

受付「はい!どうも急いでいるようでしたので至急お知らせしました!」

ポルモット「それはいい判断ですね、ありがとうございます。急ぎで向かいますので業務に戻って大丈夫ですよ。」

受付「はい、では戻ります。いつもの部屋にお通ししてますので!」

ポルモット「わかりましたー!」

すでに期待でドキドキしていた

アルノーラさんが急ぐほどの事だきっと大きな仕事になるに違いない

廊下を走りながら緩む顔を止められなかった


部屋に着くころにはアルノーラさんがちょうど部屋に入ろうとしている所だった

2人で部屋に入り椅子に座る

あいさつもそこそこに今回の登録商品について聞く


なんでも、コメを普及するために魔道具と調理方法などその他を一気に登録したいのだとか

それだけを聞くだけでも多くの登録になるだろうとは思ったが

「コメを食べる?しかも美味しく?」という疑問はあった、が

アルノーラさんなら可能なのだろうと何故かすんなり思えた

普及には魔道具が必須とのことだったので魔道具担当をすぐに連れてきて

説明の続きをしてもらった


アルノーラさんの説明はわかりやすく

試食で出されたコメは今までに食べたことのあるものとはまったく違った


まず白い、淡白な味なのになぜか旨味を感じる

コレは売れると思った

この白い状態にまで持ってくるにはセイマイなる工程が必要らしいのだが

それも問題なさそうだ、なぜなら魔道具が完成品としてすでにあるのだ


大きいというソレを見るために倉庫に移動して出してもらう

目の前に現れたそれは思ったよりも大きかったが

魔道具担当のギルギスが言うには「作れる」とのことだ


しかも魔道具を説明してもらううちにさらに明らかになるコメの活用法

コメをセイマイする際に出るカスでさえ活用できるという

「捨てる所がない」そう言っても過言ではない

コメが金貨に見えて来た


もう走るしかない、ギルギスと手分けして会議室に関係者を集めた

アルノーラさんには仕様書をかけるだけ書いてもらい

関係者には説明をしつつ動けるところは動かした

コメの流通体制を整える所から、セイマイを行う場所、人、卸先

同時に調理法の説明

セイマイで出るカスも農業関係者に回すことも

全てを繋げていく。


これは食品革命だ

これから変わっていくであろう食事事情を思うと身震いした


ここに居れたことを心から幸福に思う


関係者に説明し、連携の取り方を話し合いめどがたった

ギルドマスターからコメ担当へと任命してもらい正式に携われることが決まった

光栄なことだ、なにも異論はない


いったん会議は終わり

ギルドマスターがアルノーラさんに利益率の相談に入った

これは大変重要な話になる

これからの流通は大陸規模だ

この利率によってはアルノーラさんは国家予算を手にするほどになるかも知れない

だが・・・・


「私はゼロでいいです」


全員が止まった

何を言っているんだ、理解が追い付かない


「あの、私。本当にコメが流通してほしいだけなんです。どこでも買えるようになったらいいなあって。」


ガゼテロ「それでもいくらなんでもゼロは・・・。」


ギルドマスターもさすがに止めに入った

たとえ0.1割でも貰っておけば一生働くことなく生きれるはずだ


なのに


「じゃあ、こんなのはどうでしょうか?コメに関する今回登録したものはすべて一番小さい利率でいいんです、それを国内すべての孤児院に寄付します。商業ギルドからできませんか?」


ガゼテロ「それは可能だが・・・・。」

「ではそれで!で、コメを食べれば孤児院への寄付にもなるって宣伝するんです。どうですか?」


人間は驚きすぎるとしゃべれなくなる


黄金の女神は私達の考えなど及ばない所にある

思い知らされた


止まる私たちとは違いギルドマスターは返事を返した


「あの、駄目ですか?」


ガゼテロ「いや、素晴らしい考えだ。感動した。君が望むならそうしよう。」


「わあ!ありがとうございます。」


最後にコメ料理を教えてもらう約束をして

彼女は帰って行った



彼女のいなくなった会議室でしばらく話す者は誰もおらず


大きな息を吐き

深く椅子に座ったまま動けずにいた



ガゼテロ「またしても想像を越えてきたな・・・・・。」


ポルモット「・・・・・はい。飲み込むのに時間が必要です。」


ノーラリエ「ええ、初めてお会いしたけども。衝撃的でした・・・・。」


ギルギス「俺もだ・・・・・。」



ポルモット「ですが彼女はいつも利益の為に動いているわけではなく、生活が豊かになればいいとか、美味しいモノが普及すればいいな、とか。そういうことの為に動いています、なので今回のこともその延長でしかないのでしょうね・・・・・・・彼女にとっては。」


ガゼテロ「そうだな・・・・だが孤児院に寄付をまわすとなれば貴族がこぞって買いに来るだろう、メンツが命だからな。流通が安定するまでは購入制限を設けよう。そして利率が低い分普及も早まるだろう輸入を増やすのと同時に増産も申し入れておくように。代わりに隣国にはセイマイの魔道具の輸出交渉を、ギルギス忙しくなるぞ。」


ギルギス「ははっ望む所ですよ。おまかせ下さい。」


ガゼテロ「ははは、それは頼もしいな。さあ、忙しくなるぞ。我がギルドの力を見せてやろう。」


「「「「「はい」」」」」



こうしてコメ流通に向けて動き出した商業ギルド

パンに並ぶ主食になる日もそう遠くない未来の話だ

なお、ポルモットはコメにハマりにハマり自身の体重も増量してしまう・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔道具担当 ギルギス


魔道具担当を長年やってはいるが、忙しくした事はほとんどない

新しい魔道具などそうそう生まれないからだ

自身でも開発などもしているが、国中が欲しがる魔道具などは開発できたことはない

最近できた「洗濯機」なる魔道具はなかなかの売り上げだ

だが、作るためのコストが高くかなり機構も複雑で魔石もそこそこ使う

富裕層のためのものだ

これからだんだんと普及していくだろうが、数は知れている


だが、今日突然の呼び出しだ。

なんでも急ぎだという、しかもあのポルモットが走っている

どれだけ急ぎなのだと思ってついていくと、部屋に居たのは少女だ

疑問しかなかったが、彼女の説明を聞くにつれて気持ちはすぐに変わった

コメのための魔道具と聞いても少しも刺さらなかったが

彼女が出してくれた試食は驚くほど美味しかった


あのコメがこれになる?疑問だらけだ

食べながら聞いた説明はコメの表皮を取ってキレイにしたものがコレだと

その為の魔道具は自分で作って使っているものがすでにある、と


は?


自分で魔道具を作ってこのセイマイなることをしている?と?

驚いているのは自分だけでポルモットは真剣に話を聞いている

とりあえず魔道具を見て見ないことには信じられないしわからん

見せて欲しいというと、「大きいからここでは無理だ」という

そんなに大きい魔道具をこの少女が?


もう早く見たくて倉庫へとすぐに案内する

走りたい気分だったが我慢した、ポルモットが走っていた理由がここで初めてわかった


倉庫について出て来た魔道具は想像を越える大きさだった

だが説明を聞くうちに「この大きさが妥当だ」と理解した

しかも少女の説明は作り方から内部の動き魔道回路までしっかりしたもので

作ったものにしかわからないものだった


彼女は本物だ


最初から最後まで真剣に話を聞き

これなら再現は可能だし、コメの流通の為には急いで作る必要があると判断した


ポルモットと手分けして関係者を会議室へ集め

話を詰めていく

俺はそこまですることもないので彼女が書いた仕様書を読み込んで

どうやって生産体制をつくるかを考えては書き出していた


話はまとまり会議は終わりを迎えたが

ギルドマスターが彼女との利益率の話をするのを見て

好奇心から少し見ていることにした


彼女は利益はいらないと言い出し

ついには、利益はすべて孤児院に寄付し

コメを買えば孤児院への寄付になると宣伝すればいいとまで言い出した


あまりの事に俺は天を仰いだ


これが本物の「黄金の女神」か


噂には聞いていたがこれほどとは


面白い。


女神が微笑むのなら全力でやらせてもらおう

俺はそう思って笑った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


とある穀物屋の店主 テス


いつもコメを買いに来る不思議な少女


ある日、興味が勝り

ついに「自分で食べているのか?」と聞いた

彼女は食べているし大好きだ、と返してきた

ますます興味が勝る


試食させてくれと願い、何とか食べさせてもらったソレは

私が食べたことのないコメだった


聞けば彼女は自分でセイマイなる物をしてこの状態にしていると

手間も暇もかかるものだから、と説明してくれた


なるほど


彼女のコメへの情熱を感じ取り、交渉してみた


最後の一押しとばかりに、テラリア商会の名前を出しVIPを約束したら

「乗った!」と引っ掛かってくれた


やった


騙すつもりもだましたつもりもないが

コメが普及すればうちも儲かるし彼女も買えるようになって

どちらにも理があると思ったのだ

そして純粋に彼女のコメ料理が美味しかった

上手く行けば儲けもの、上手く行かなくても流通が少しでも増えれば

それで良し。そう思っていただけなんだ


なのに


翌日



商業ギルドから買い付けの連絡に

輸入拡大と隣国へ増産を頼んでくれ橋渡しを頼む、と

懇願された

代わりにコメを美味しくする魔道具を輸出しよう、という交換条件つきだ


「彼女なのか?」


いや、彼女以外に考えられない

そんなタイミングがいいはずがない


彼女がやったのだ


一体何者だったのだろうか・・・・・。


店主テスは困惑しまくった


だが彼は切り替えが早かった

コメを売るためにテラリア商会と商業ギルドをつなぎ

国の橋渡しをして、輸出入をささえた


モンスロスの町にコメが行きわたる日もきっと近い


彼女が早く店に来ないだろうか?と待っていた

来月が楽しみだ・・・・・

ありがとござした!

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