大規模討伐 他視点 タイタン
タイタンはいつも通り依頼をこなしてギルドに帰ってきた
完了報告をしていると、ギルドから緊急依頼だと言われた
なんでも町から離れた場所ではあるが、虫系魔物の大群が発生しているらしい
虫系の魔物の大群はかなり厄介で、一日で町が食いつくされたなんて話もあるくらいだ
その大規模討伐のリーダーをしてほしいと言われた
まじか。 初めての事だった
だが、Bランクになる為には通らないといけない道だ
「わかった、精一杯やるよ」と、返事した
討伐にはできるだけ人数を集めてくれるらしい
ありがたい。
明朝に出発だ、急いで準備をして当日を迎えた
朝早くに町の門へ集合して馬車で現場に向かう
討伐には28人も集まってくれた
馬車の用意をしてくれたギルド職員が一人遅れて参加するが自力で合流すると言われ
「もしかしてルラか?」と聞くと 「よくわかりましたね、そうです」
と、返って来た。
やっぱりな、他にそんな奴は聞いた事がないもんな
馬車に乗っている2人にも教えてやると、喜んでいた
野営の前に食事も作ってもらえないだろうか・・・・なんて言っていた
そうだな、聞くだけ聞いてみるかということになった
俺もあの飯が食えるなら大賛成だ
馬車3台で現場に向かう、28人も集まったとはいえ
大規模討伐で虫の大群だ、正直不安だったがルラが参加すると聞いて安心した
これで誰かが死ぬことはないだろう
そんな事を漠然と思った。別に彼女がすべてを助けてくれるとは思っていない
だがなぜだろうか、なんとも言えない安心感がある。不思議だ
2人も心なしか明るくなった気がする。
順調に進みもうすぐ昼で現場まで近いという時に声が聞こえて来た
「こんにちはー、討伐隊のみなさんですかーーー?」
ルラだ、 「おう!来たか!こっちだ!!」
すぐに先頭の馬車に呼んだ、走ってくるルラを馬車へ引き上げる
同乗者は驚いていたが、気持ちはすごくわかる。うんうん
あえて説明はしないが・・・・・・。
「ガッツさんもいたんですねー!よろしくお願いしますーー。」
なんて本人は呑気なもんだ
しかも俺たちがいるのは知らなかったらしい、討伐隊のリーダーだと教えると驚いていた
「おお!リーダー!カッコイイー。」だと、いい気分だ
馬車の中は広くはない隣に座らせる
サンが走って来たのか尋ねる、確かに走るにしてもかなり遠い
モンスロスよりも遠いんだ、すると「飛んできた」と、返ってきた
予想外の返答に驚く、ボイルなんて「ついに空まで支配したのか・・・。」
なんて言っている、冗談に聞こえない
信じられなくて、例えの話ではないのか尋ねると
「はい、実は翼を手に入れまして、こうビューーーーーんって飛べるようになったんです」
だと
本当に天使になったのか聞いてみたら「今度見せてあげますね」ときた
まじか、天使の羽根ってか
ボイルが俺たちも飛べるようになるか?と聞けば
「翼を貸せば飛べるけど、落ちたら死んじゃうかも?」なんて可愛く言う
言ってることは悪魔だが・・・・・。
もうすぐ目的地だ、座っていてもらう
俺たちの話が途切れると 「子供じゃねえか、大丈夫なのか?」と聞いて来る
気持ちはわかる
「何も心配はないぞ、俺より強いしな。何よりCランクだ。」 信じられんだろうがな
「はあ?こんな子供が?冗談だろう?」 と返ってきた
まあ、そうなるだろう。だがこれ以上は説明するだけ無駄だ実際みてもらわんとな
2人も「冗談じゃないですよ、戦闘中は近づかない方がいいですよ。」
「ああ、間違えて切られちまうかもな。」 なんて言ってやがる。
俺も同意だ
「たぶん敵の心配より味方をやっちまうかの心配してるぜ。」と援護射撃をしておく
ほら、本人もうんうん頷いてるだろう。 近づくと危ねえんだ
「まじかよ、信じらんねえぜ。」 まあ仕方ない、それが普通の反応だろう
その後も何人かにルラへの質問が続いたが、適当に返しておいた
詳しく言ったところで信じてもらえんだろうし、ルラがこっちを見て
「どうしようか?」みたいな顔してたんでな。
代わりにやんわり本当の事を言っておいた、嘘はねえ。
信じるかはそっちの問題だからな
目的地について馬車を降りる、ルラは一人で戦うつもりだろうが
一応確認しておく、思った通り「そのつもり」と返ってきた
軽い作戦だけ伝える、味方を傷つけるのが怖いから近接で攻撃しようかな?なんて言っていた
サンが「かなり汚れるし、虫の体液はドロドロだと」説明すると
叫んで「いやだ!!」と言っていた。やっぱりか
ボイルが終わったら洗ってもらえるか交渉して「いいですよ」とOKをもらった
良くやったボイル!!
みんなをお集めて軽く討伐の注意を伝えて進軍する
草がたくさん生えた平原に突然現れる食いつくされた平原、あいつらだ
先の方を見ればうじゃうじゃいるわいるわ、一体何匹いるんだか・・・・
「さあ!行くぞ。やれるだけヤレ!!」 この声を合図に冒険者の集団が走っていく
俺たちは先頭を行く、横に広がってもうすぐ接敵するという時に
頭の上を行く一人
走る俺たちを飛び越えて、遥か先を行く。
バッタたちを踏み台にさらに先にいってしまった ルラだ!
まったく驚かせてくれるぜ
2人と目くばせして笑いあう 「負けてらんねえぜ!!」
「「おう!!」」
こうして大量のバッタどもを相手に戦闘が始まった
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大規模討伐に参加して虫なんて嫌だなあなんて思っていた
目的地に向かう馬車に途中で乗って来た不思議でかわいい女の子
討伐リーダーが言うには自分より強く、Cランクだと言う
信じられなかったが、女の子も否定するそぶりを見せない
何人かに質問されていたけど、全部討伐リーダーが答えていた
どれも信じられないような内容だったけど、女の子が無事で討伐が終わればいいな
そんな風に思っていた
いざ、討伐が始まる。冒険者全員で走って敵に向かっている時に
頭上を何かが跳んでいった、それはバッタを踏み台にさらに先へ、先へ
バッタの海へ飛び込んでしまった
あの髪色はあの子?心配になったが、敵が多すぎてもうどこにいるのかもわからない
どうか無事で、そう祈った
パーティメンバーと戦ううちに、あまりの敵の多さに陣形が崩れて
足に攻撃を受けて動けなくなってしまった
しかもメンバーもバラバラで混戦状態だ
これはヤバい・・・・・そう思った時にはバッタが私を襲おうとしていた
なぜかゆっくりにみえたバッタの攻撃 「きゃああああ」
自然とでた悲鳴、つぎの瞬間 目の前のバッタは死んでいた
なにが?起こったの? 理解が追い付く前に声がした
「だーいじょぶですかあ?」 あの女の子がバッタを倒しながらこっちに来る
い、一体どうやって? そんな簡単に・・・?
とりあえずお礼を言う
「お姉さんポーションは持っていますか?」
「ええ、あるわ。治すから援護をお願い。」 そう答えていた
こんな小さな子に何を頼んでいるんだ・・・と後で思ったが
目の前の現実は想像を越える
「はい、お任せを」 そう言って私の前に立ち
かまえた手から何かを撃ちだし、バッタを次々に倒していく
何がおこっているのか?彼女は何者なのか?
手に持ったポーションを飲む、うん。まずい
コレは夢じゃない
彼女はついでとばかりに苦しめられている仲間の周りも倒していく
簡単に
「もう大丈夫そう?」
「え、ええ。助かったわありがとう・・・・・。」
なんとかそう返す。
立ち上がり再び戦闘に加わる。
もう走っていって見えなくなった、彼女はまるで夢みたいだった
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バッタに囲まれ苦戦していたパーティはみんな彼女を見た
ケガをして苦戦をしていると現れて敵を蹴散らす
しかも一匹一発だ
ある時は、囲まれているところの真ん中に立って
双剣から攻撃を飛ばし広範囲を一気に切り裂く
恐ろしいほどの攻撃力
挙句には
カマキリの鎌に苦戦している所に現れて
真正面から突っ込んでいき
鎌での攻撃にやられる!と思った時には鎌は切り落とされ
次の瞬間にはカマキリの首が切れている
人は驚きすぎると動きが止まる、見ていた全員が止まっていた
「ほら!バッタがきてますよ!!」
その声に我に返る
「ケガをしているひとは治して!周りは倒しておきます!!」
子供で少女だった
でも誰も止めなかった
彼女になら任せて大丈夫だと思った
ケガを治して戦闘に戻る
大規模討伐なのに安定感があった
ケガをしても助けにすぐに来てくれる
誰も倒れることのない大規模討伐だった
参加者はみんな必死だったが
途中からなんとも言えない安心感を感じた
みんなで無事に帰れる
そうみんな思っていた
ありがとござした!




