シャーロックホームズは存在しないと知ったのはいつだっただろう。それは多分サンタクロースが存在しないことを知った時よりは後であろう。同じ作り物なのにここまで気づくのが遅くなること...その「リアル」が、推理作家達が賞賛されるべき1つの理由であることは触れるまでもないだろう。だがその「リアル」は、時として非常に厄介なものを生み出してしまう。その最たる一例が「彼女」である。彼女は探偵である。
「私は"名"探偵だよ助手くん。」
と、こんなことを彼女はいうのだろうがそんなこと言う奴は大抵"迷"探偵である。だが、彼女は迷探偵ではない。なぜなら彼女は迷わないからである。迷わず、疑わず、推理小説だけのリアルを現実に侵食させようとする。今回筆を取ったのはこの私...彼女の探偵助手、気田葵気田葵の苦悩を読んでいるものに少しでも伝えるためである。文を書くのは不得手で、多少読み苦しいところがあっても流していただけると重畳である。
PS.本作には作劇の都合上、探偵が事件を解決する場面が含まれています。しかしこれはフィクションなので有事の際は探偵ではなく警察に連絡し、警察に解決してもらうことを強く勧めます。