幸せな朝、不安な就職
天音のいる世界は地球と同じく一日は24時間で一週間は7日、一年は365日ですが曜日などはないといった世界です。
私の中に昨日の夜6時から今日の朝の6時までの内容が流れ込んでくる。全ての記憶を把握したとき、私は人知れず泣いていた。私のたった1人の姉が、半年前に事故で亡くなった姉が私の中で生きかえったのだった。
直接姉と話すことはできないが姉は事故で亡くなったとき即死だったため話すことができなかった分、間接的に話せるだけでもとても嬉しかった。私はしばらく静かに泣いて、落ち着いた後また姉の手紙を読んで号泣してというのを繰り返した。そして気づいたら朝の7時だった。私は落ち着いてからいろいろと身だしなみなどを整えてアリサおばさんとクロウおじさんのもとへ行き、朝食を食べた。朝食を食べ終えるとクロウおじさんが近づいてきた。
「今日の夜に試すからな。かなり体力がいるから昼のうちに歩き回りすぎて疲れすぎないようにしとけよ。」
「はい、わかりました。私の仕事内容はお皿洗いでしたよね。」
「ああ、ただもし余裕があれば他の仕事もやっていいぞ。体力勝負になるから早めに帰ってきて休んでおいたほうがいいかもな」
「アドバイスありがとうございます。できるだけ体力は残しておくようにしますね」
「ああ、まぁとりあえず冒険者ギルドに行ってきな。」
私はそう言われて、返事を返した後洗濯をしていないことを思い出してアリサおばさんに相談したらアリサおばさんが今日の夜働く分だと言って代わりにやってもらえることになった。荷物とかは全部アイテムボックスに入れ、アリサおばさんから借りたかごに洗濯物を入れてお願いし、冒険者ギルドの場所を教えてもらった。アリサおばさんは地図も書こうかと心配してくれたけど私は完全に記憶しているため、大丈夫であることを伝えて、冒険者ギルドへ向かった。
冒険者ギルドの外見はまさに本で出てくるような建物そのものだった。中には制服らしきものを着て依頼を受け付けている受付嬢の人と冒険者らしき人のグループがいくつかあった。私が受付嬢の人にカレナさんに会いに来ましたと伝えると、すぐにカレナさんを呼んでもらえた。
「あなたがアリサおばさんの紹介のアマネちゃんであってる?」
「はい、そうです。」
「文字の読み書きとかはできるのよね。じゃあ大丈夫ね。とりあえずここで彼女たちの仕事を見ておいてもらえる?ちょっと今手がはなせないのよ。」
「わかりました。何か手伝えることってありますか」
「だったら、お給料とかは出ないけど中には字が読めない冒険者も時々いるからその人達に依頼書の内容を読んであげてくれないかしら。依頼書は向こうの壁に張り出してあるやつね。」
「その仕事やらせてください。」
「それならよろしくね。」
そう言ってカレナさんは去っていった。とりあえずは頼まれた仕事を完璧にこなそうと思って私は依頼が張り出された紙をずっと見ている人に声をかけた。
「すみません。大丈夫ですか?必要であれば内容をお読みしますよ。」
「なら、読んでもらおうかな。私は農村出身だから読めないことはないんだけどなかなか理解できなくてね。ちなみに私はソロのブロンズランク冒険者のチャーリーだけど、君は?あまり見ないような人な気がするんだけど。」
「私はアマネです。最近この街に来て、今はどの仕事に就くか考え中ですが、受付嬢になろうかなと思っています。」
「そうなんだ。受付嬢になれるといいね。君みたいな子がいたらより冒険者ギルド内の雰囲気が明るくなりそうだね」
「ありがとうございます。それでは内容を読んでいきますね。」
そう言って、私は若干恥ずかしような気持ちを抱きつつ次々と依頼内容を読んでいく。チャーリーさんは自分にあった仕事を見つけて選んで、受付嬢の人に渡しに行った。その間も冒険者の人たちが来たが、その人達はグループで中に読める人がいたり、普通に読める人がほとんどで私の仕事はなかった。その間、私は受付嬢の人の仕事を見ていたのだが、受付嬢の人の仕事は依頼内容を読み上げて確認をとり、冒険者の人に何か書いてもらってそれを確認したらスタンプのようなものを押して引き出しの中に入れて終わりだった。しかし、とにかく来る人が多いため、とにかく大変そうだった。
「どうだい、ある程度は受付嬢の仕事がどんな感じかわかったかい。」
「はい、依頼内容を読み上げて確認をとるといった感じですよね。」
「それ以外にも、依頼を出しに来た人の話を聞いてどのランクの人に依頼するかや期間、報酬金額などを相談して決めて依頼書を作成し、ランクに対応した依頼ボードへ張り出したり、冒険者証を作成したり、依頼を終えた人に報酬を渡したり、冒険者が魔物を持ってきたら解体所ヘ持っていって査定してもらって買い取り金額を伝えたりと他にも色々とあるんだよ。中には買取金額にいちゃもんをつけてくるやつもいるしね。」
「すみませんが時給とか働く時間とかも教えていただけますか。」
「時給は働く時間によって異なるわね。1時間当たり朝の7時から9時と夜の4時から8時は銅貨1枚と小銅貨5枚、朝の9時から夜の4時までは銅貨1枚、夜の8時から朝の7時までは銅貨1枚と小銅貨7枚ね。休みを取るときは基本的には事前に申告が必要だけど緊急の場合は当日伝えてくれてもいいわよ。休みを取れるのは1ヶ月に5回程度ね。ただ必ず休みを取らないといけないというわけではないのよ。」
「それでしたらここで働かせていただいてもよろしいですか。」
「まだここが見て回るのは初めてでしょ。他のところは見なくていいの?」
「はい、大丈夫です。私ができる仕事となると限られてきますし、書類仕事系などは大好きなので。」
「そこまで言うなら大丈夫そうね。それならいろいろと準備しないとね。あなたの制服や冒険者証など色々と必要な物は多そうね。」
「そういったものって今日全て用意するんですか?」
「制服とかは流石に無理だけど、それ以外はできる限り今日揃えるつもりよ。あ、冒険者証を作るのにあなたの場合は小銅貨5枚必要なんだけど今持ってるかしら、なければ明日でも大丈夫なのだけど。」
「小銅貨5枚でしたら持ってますので大丈夫です。」
「じゃあ、冒険者証も作って渡せそうね。筆記具とかも必要なんだけどこれは用意できるまでギルドの分を貸してあげるわ。それじゃあまずは採寸ね。働く時間とかは後で相談しましょう。」
私はカレナさんに服飾系のお店へ連れて行ってもらい、そこで採寸してもらった。制服はギルドからの貸与ということになるそうなので、お金はギルドから出してもらえるらしい。そしてやめる時にもらえるそうだ。
その後、カレナさんと一緒に冒険者ギルドに戻りながら色々と冒険者ギルドなどについて聞いた。冒険者証を作るときの注意点や依頼書の作り方、常設依頼と発注依頼の違い、冒険者ランクなど色々とあり、忘れやすいから忘れたら周囲の先輩に聞くように言われたけど、私は忘れることがないのでその点は大丈夫そうだ。
ブックマーク、いいねありがとうございます。駅のホームで気づいて「よっしゃっあ!」ってガッツポーズして周囲からなんなんだとみられていることに気づかないくらいうれしかったです。←あとからこの様子を見ていた友達に伝えられてめっちゃ恥ずかしかったです(=_=)。
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今後も投稿間隔が空きすぎないように気を付けようと思います。何かない限り(異世界に飛ばされる・ネットが使えなくなるなど)最後まで書ききるつもりですので今後も読み続けてもらえると嬉しいです。