もう一人の私?それとも・・・
不定期ではありますが今後も投稿を頑張らさせていただく所存です。
「神様から事前にある程度説明は聞いていたけどこんな感じなのね。」
私は急に流れてきた天音の今日の朝の6時から夜の6時までの記憶を見て天音のおかれた状況を把握する。記憶は第三者視点で見る感じで、その時本人が考えていることまで知ることはできなかったけど、私は彼女の表情から大体彼女がどんなことを考えているのか分かるため、問題はなかった。
「まだ、私の死んだときのことをトラウマに思ってるのか。でもまぁ確かに私が死んだのは今年の3月だったんだし仕方ないかな。神様から今から『今からあなたをあなたの妹の元へ送ります。もう一人の彼女として彼女を支えてあげてください。』って言われたあとに急に色々と説明されたときは慌てたけどまぁ大体把握できたし大丈夫かな。」
私は辺りを見渡す。記憶通り、辺りは片付いていていつでも食べにいけるようにお金だけを別に用意してあった。私はお金を持って宿の食堂へ行く。すると、そこは多くの人で溢れかえっていた。中ではおじさんが料理を作り、サリーさんと思われる女性が注文を受けたり、料理を提供したりしていた。
「あ、天音ちゃんやっと来たんだね。悪いけど今、人が多いから、料理は自分の部屋で食べてもらってもいいかな。」
「はい、わかりました。朝もいつもこんな感じなんですか?」
「いや、人が多いのは夜だけだよ。」
「そうなんですね。なにか私にもお手伝いできることってありますか。」
「いや、大丈夫だから食べてきていいよ。」
何か手伝おうかと思ったけど、何も知らない私にできることなんてほとんどないから私は一旦食事をとることにした。とはいえこんな大変そうな状況で頼みづらかった私は外に出て食べることにした。まだ外は明るかったので普通に見て回れた。私は何となくで決めたお店でお肉の串焼きとまた別のお店でパンを買って自分の部屋で食べた。理想を言えばサラダとかが欲しかったが見つからなかったため仕方ない。私の直感はこの世界でもあたるようで買ったお肉の串焼きとパンはどちらもおいしかった。
「あそこでお手伝いするとして、私に何ができるかな。注文を受けて伝えたり、机を拭いたり、お皿を片づけたりかな。」
私はこの宿屋の食堂で働くとしたら何ができるのかを考えていた。私はおそらく夜にしか行動できないが天音に稼がせてそのお金でご飯を食べるというのはあり得ないため、私は何とか夜に働く方法を考えていた。そしてここで夜働かせてもらえばと思い考え中だ。とはいえ客の回転率が上がれば収入は増えるとはいえサリーさんの仕事を奪ってしまうような形になるのが懸念点だ。
「ここで働く以外の方法というと内職…いや、手先が不器用な私に内職は厳しいかな。もしサリーさんが今の状況がかなり大変で人手を欲しているのだったら働かせてもらおうかな。うん、それで行こう。」
この世界ではお風呂などないため、私はおばあさんに許可をもらってタオルを濡らして体を拭いたりしたりして時間をつぶしたりした。そして人が少なくなったタイミングでサリーさんに声をかけた。
「すみません、サリーさんですよね。今日からこの宿に泊まっているアマネです。よろしくお願いします。」
「あなたがアマネちゃんね。アリサおばさんから聞いてるよ。これからよろしくね。」
「サリーさんすごいですね。あれだけの人数を1人で捌かれるのってかなり大変ですよね。」
「まぁ確かに大変ね。これでも入りたての頃に比べたら体力とかもついたし慣れてきたから早くはなってるんだけどね。もう一人くらい増やしてくれたら楽なんだけど、アリサおばさんたちの審査が厳しいから増やせないんだよね。いい人はやっぱり冒険者になっちゃうからね。」
「もし、私がここで働きたいって言ったら雇ってもらえると思います?」
「うーん、夜だけなら二人が審査してオッケー出せば雇ってもらえると思うよ。ただ、悪いけど審査の内容は言えないよ。私も働くのは夜だけで午前中とかは別のところで働いてるんだ。朝は来る人が少ないからね。もしかしたら明日、会うことになるかもしれないな。」
「もしかして冒険者ギルドで働かれているんですか?」
「そうだよ。といっても私がやってるのは冒険者が持ってきた魔物の解体とかだから働く場所は別になるけどね。まぁこのあたりで一旦この話は置いておいて、一旦、アリサおばさんにここで働かせて貰えないか聞いてみたら?」
「はい、聞いてみます。ありがとうございました。」
とりあえず、サリーさんからはオッケーはもらえたからあとはアリサおばさんからだけだ。私はそのままの勢いでアリサおばさんのところへお願いに行った。
「すみません。私も明日からここで夜だけ働かせてもらいたいんですけどいいですか?」
「お、あんたもサリーと似たような感じになってきそうだね。それじゃあ明日の夜審査してあげよう。審査の内容は旦那から聞きな。」
「はい、ありがとうございます。」
「まだ、雇うと決めたわけじゃないよ。」
「いえ、審査していただけるだけでもありがたいので。」
「ほぉ~しっかりしてるね。まぁとりあえず審査の内容を聞いてきな。」
「はい。」
私はさっそく厨房で洗い物をしているクロウおじさんのところへとむかった。
「すみません、審査の内容についてお聞きしたいんですけどいいですか。」
「君が今日から泊まってるアマネちゃんかい?」
「あ、はい。そうです。それでここで夜だけ働かせてもらいたいとアリサおばさんにお伝えしたらクロウおじさんに審査の内容を教えてもらえと言われて来たんですけど、どうすればいいですか。」
「それじゃあ明日の夜普通に働いてもらってその仕事量で判断する。まだ、わからないことが多いだろうから明日は皿洗いをやってくれ。サリーには私の方からこのことは伝えておくよ。」
「はい。ありがとうございます。すみませんが今のうちに普段どこでどういうふうに洗ったりしているか教えてもらってもいいですか。」
「ああ。ついてきな。」
そう言ってクロウおじさんは私に洗う場所と何を使って洗えばいいか教えてくれた。植物の繊維を用いて作られたと思われるスポンジと植物の成分を利用して作られた洗剤があり、日本と同じような感じだったので大丈夫そうだった。私は体力だけはあるから、きっとやり遂げられる。そんなことを考えながらクロウおじさんの説明が終わったあと自分の部屋に戻った。
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