そのころあの人たちは (異世界と地球の様々な人視点)
今回は一日目の夜の様々な人視点となっています。出すタイミングについてはかなり悩みいましたが、実はあの時裏ではこんな会話が行われていたんだと感じるほうがおもしろいと思ってこのタイミングにしました。
side門番
「はぁ~、今日も疲れた。毎日出る人や入る人を確認するのって簡単な仕事と思われやすいけど実際はたいへんなんだよな。そういえば今日来たあの子、あの年で一人暮らしってすごいよな。」
「ああ、市民証をなくしたっていう子か。あの子なら、一応火緋色の守護鳥を紹介しといてやったぞ。」
「あ~、確か元ゴールド冒険者の夫婦が経営している宿屋だっけ。まあ確かにあそこなら安心だな。今度食事に行ってみるか?あの子の様子を見てみるためにもな。」
「いや、行ったって会えるとは限らないしそんなに余裕ないから俺は遠慮するわ。」
「つれねーな。まあ確かにあそこうまいけど高いしそう簡単にはいけないよな。」
「まあ、どこかで会えるだろ。俺らは門番だから街を出入りする際は会うわけだし仲間に伝えとけば誰かが見かけたら教えてくれるだろう。」」
「それもそうだな。あの子の無事を祈って乾杯」
「ああ、乾杯」
side火緋色の守護鳥(宿屋内)
「クロウおじさん、例の試験はやっぱりやるの?」
「ああ、あの子の状況を考えると雇ってやりたい気持ちはあるがそうしないと今までついていけなかったことを理由に辞めさせた奴らに何も言えないどころか、あの子に危険が及ぶ可能性があるからな。サリーも試験の内容は伝えるなよ。」
「わかってるよ、ただ最近慣れてきたから少し余裕ができちゃうかもしれないけどそしたら自由っていうことでもいい?」
「そこはお前の判断に任せる。」
「了解でーす。そういえばアリサおばさんの判断さすがだね。あそこで即座に冒険者ギルドの受付嬢を勧めるなんてね。」
「ちょうどサリーからカレンが人手不足で困っているっていう話を聞いたのをおもいだしてね。まあ足りないって言ってたのは朝の時間帯であの子が働くことになるのは昼の時間帯だろうがそれでもその分他の子の負担が減るだろうしね。うちも人手が足りない時にあなたに来てもらったからね。最初は人が多い間だけっていう話だったけど結局減らずにここで働き続けてもらうことになったんだよね。あの頃が懐かしいね、だいぶ昔のはずなのについ最近のように鮮明に思い出せるねえ。他の奴らは体力がないっていうことで全員却下になったからね。」
「そりゃ仕方ないよ。体力がある人はみんな冒険者になるもん。私はお姉ちゃんに止められてこういう形になってるけどね。冒険者ギルドの解体所のほうもそこそこ人手不足なんだよ。まだ一応給金が高いから人はいるけどいつ限界に陥ってもおかしくない状態なんだよね。」
「どこも人手が少ないのは一緒だろうな。それじゃあサリーはカレナへの連絡を頼んだぞ。」
「はーい、それじゃあそろそろ私も帰りますね。」
「気をつけろよ」
「ランタンには魔力補充しといてあげといたよ、はい」
「ありがとうございます。明日はばれないように頑張りますね。」
羽田留美
私はひたすら勉強することにした。今までは天音にいろいろと分からないところがあったら教えてもらっていたけど今後はしばらくできないだろうしそれどころか天音が戻ってきたときに支えられるような状態でいないといけないからね。親友のためだ、なんだってやってやるさ。それにこっちの世界から呼び出すことができるかもしれないしね。でもまあこれは最終手段かな。急に呼び出したら大変かもしれないからね。今の目標はとりあえず天音がいつ戻ってきても一生養えるようなお金を用意すること!そして戻ってきた天音に向こうの世界の話を聞きながらこっちの世界の変化もいろいろと話し合うことだ。
海舟家
「おい、天音はどうなったんだ。線路に転落したって本当なのか。」
「あなた、落ち着いて、近所中に聞こえてしまうわ。」
「ああ、すまない。それでどうなんだ」
「簡潔に言うと天音が生きている可能性は高いわ、いえ、きっと生きているはずよ。留美ちゃんの教えてくれた内容によると、どうやら今日あの子寒気がしたそうなのよ。それで留美ちゃんが帰ることを提案してくれたんだけどあの子は行くって言ったらしくて、それで周囲の誰かが危険そうだったらすぐに助けるつもりだったそうなのよ。それで駅で電車を待っているときにおそらく誰かにぶつかった感じで、天音が線路に落ちたそうなのよ。しかもすぐに電車が来ていてブレーキはかけたそうなのだけど誰の目から見てもぶつかったのは明確だったそうよ。ただそこには血痕とかも何もなく、騒然になったらしいわ。それでそのあと留美ちゃんが警察署で当時の状況を話しているときにどこからか天音の声を聞いたらしくてその時に天音が異世界に転移させてもらえることになったって言ってたそよ。どうやら地球は無理だったらしいわ。ただ異世界で地球に戻る方法を探すとも言ってたそうよ。」
「なるほどな、それなら生きていると考えよう。もしかしたら、いやあいつはないな。あいつの場合は普通というかおかしな点はなかったからな。ただ転生という可能性は残っているか。」
「あの子の姉の美香のことね。まあ天音が異世界転移したのなら美香も転生している可能性もあるわね。彼女たちがいつ戻ってきてもいいようにしましょう。」
「ああ、そうだな。しかしあいつの寒気を感じ取る能力は嘘であってほしかったんだがな。」
「確かに誰かの不幸が事前に気づけるのだったらあの子は全力で助けようとするでしょうし、それでたすけられなかったときのつらさは私たちは二人ともよく知っていますしね。」
「ただ、真実である以上目を背けることはできないから天音が助けようとするのを俺らも助けるしかないな。」
「二人が戻ってきても大丈夫なように今のうちから頑張りましょう。」
「ああ、そうだな。今は二人だがまた家族4人全員がそろう日を祈って頑張ろう。」
次回、もう一本sideストーリーを投稿します。次は果たして誰の視点なのでしょうか?(ヒントは今回sideストーリーとして出てきていない人?です。)答えが気になる人は次話も読んでいただけると嬉しいです。(今週中に投稿します。)