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明晰夢

作者: 弐兎月 冬夜

 僕が明晰夢を見る時は大体決まって同じ場所へ行く。

 大体が自宅だ。

本文にも書いたが、自宅なのにそこは自宅ではない。夢の中でだけ棲んでいる自宅である。時には廃屋の高いビルの一室だったりするときもある。

 大抵そこへ行くときは精神が不安定な時が多いように思います。ビルの場合は寒いし、床が斜めで揺れていたりするから。

 明晰夢と言う物をご存じだろうか?

 夢を見ている時、それが夢だと自覚している夢の事である。


 僕はほとんど夢を見ない。それでもたまに見る夢はある。

つい先日の事だ。それが明晰夢だった。


 最初にシロがいた。

どういう状況かは思い出せないのだが、シロの顔だけは覚えている。


 そして突然シーンが変わる。

明晰夢を見る時は、大体決まって同じ場所へ行く。その場所は自宅である。自宅なのだが、それは自宅ではない。建て替える前の古い家のような気もするが、それとも違う。

 ともかく夢の話をしよう。

その自宅から、白い軽ワゴン車にのって母が出かけようとしていた。運転も出来ないのに運転席にチャッカリと座っている。

 自宅の前の道路に黒っぽいセダンが止まっていて、そこから父が母の乗った白い軽ワゴン車に向かって歩いて来るのを僕は軽ワゴンのずっと後ろから見ていた。まるで映画のワンシーンのように。

 僕が驚いたのは、父の容姿をよく覚えていたという事だ。夢なのに父の容姿をこんなにはっきりと覚えているとは思わなかった。いや、夢だからなのであろうか?


 そして突然シーンが変わる。

理由は分からないが、その父の生首がコンクリートの地面の上にちょこんと乗っかっていた。

 血は既に渇き、青黒い肌には生気が無く、ゴムのような質感である。目はしっかりと見開いていて、どこか遠くを見ていた。


 ここで夢は終わる。

シロは飼い猫で一月ほど前に交通事故で死んだ。そして父も1年以上前に亡くなっている。

 どうしてこんな夢を見たのか? しかも明晰夢である。

だけど後日、何となくその夢の意味を悟った。


 夢を見てから数日後である。

ちょっと気になってシロの墓を見に行くと、何か他の動物がシロの墓を掘り返していた。遺体を探すと3m程離れたところにシロの遺体はあった。

 シロの自慢のツヤツヤした毛は既に無く、ゴムのような青黒い肌はグンニャリとしていて、シロの顔が食い荒らされていた。

 下顎の骨は見つからなかったが、もう一度穴を更に深く掘りシロを埋めた。さすがにこの状態のシロはもう素手では触れなかった。どこかやり場のない怒りのようなものが湧いてきたが、本当にやり場が無くて・・・。


 シロはきっと知らせてくれたのだろう。

 また見に来るよ、シロ。父さんもありがとう。


 シロがいなくなって1ヶ月経ちました。明日は1か月ぶりに仕事を休めそうなので、父とシロに手を合わせようかと思います。今日の夕方」シロの墓を見に行ったら、また少し掘っている跡があったので、少し埋めてきました。幸い遺体は掘り出されていませんでしたが、明日はまたもう少し土を盛ってあげようかと。雪が積もれば」もう安心なのだけれど、雪が降るのもあまり楽しくないのでね。複雑です。

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