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最高級の最下級少女  作者: 剣竜
第五章 復活の魔王軍…!?
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第九十二話 瞬間移動!?

 魔力により以前よりも強化されたシェン。

 至近距離で放たれた『幻影光龍壊 弐壊冥』を受けても、致命傷にはつながらなかった。

 先ほどのお返しとばかりに、シェンがメノウにゆっくりと歩み寄る。


「じゃあ次はこっちのば…」


「させるか!」


 先ほどの攻撃で再生したシェンの右腕。

 一見、傷も完全に治っているようにも見える。

 しかし、よく見るとまだ回復しきっていない部分もあるようだ。

 そこにショーナが攻撃を仕掛けた。

 メノウから特訓中に教えてもらった斬撃波だ。


「疾風の裂脚(あし)!」


 彼からの攻撃は想定外だったのか、その攻撃をシェンは避けることも無く受けた。

 しかし傷に直撃したとはいえ、流石に切断とまではいかなかった。

 多少傷口が広がる程度でしかなかった。

 その攻撃がシェンの逆鱗に触れたのか、技を放った張本人であるショーナに反撃を放つ。


「技名なんか叫んでんじゃねぇよ!ダセェんだよ!」


「お前もさっき幻影光龍壊ってマネしてただろ!」


「皮肉だよわかんねぇのかバーカ!」


 シェンの蹴りを横腹に喰らい、吹き飛ばされるショーナ。

 ただの蹴りとはいえその威力は絶大。

 骨の数本は折れてしまっただろう。

 木に叩きつけられたショーナは苦悶の表情を浮かべている。


「ショーナ!」


「う、うぅ…」


「弱いくせに出しゃばるなよ」


「…許さん!幻影光龍壊!」


 メノウが再び幻影光龍壊を放つ。

 しかし所詮は怒りに任せて放った技、直撃することは無くむなしく空を切る。


「くっ…」


「どうする?今のメノウちゃんじゃあ僕には勝てないと思うけど」


「そっちの役立たずを守りながらの戦いだろ?それじゃあ勝てっこないさ…」


 倒れているショーナを指差しながら嘲笑うように言うシェン。

 それに反論しようとするメノウに対し、さらに追い打ちをかけていく。


「本気で来なよ」


「ずっと本気で戦っておるわ!」


 斬撃波で攻撃を仕掛けるメノウだが、今の彼女は完全に頭に血が上った状態。

 そんな者の攻撃など当たるわけも無い。

 連続で放つも全て空を切るのみ。


「今のメノウちゃんじゃ僕には勝てないよ、ついさっきも言っただろ」


「なんじゃと!?」


「あの『役立たず』をさっさと見捨てればまともに戦えるんじゃあないかな?」


 その言葉がさらにメノウの怒りを掻き立てる。

 先ほどよりも激しく攻撃を加えるもやはり当たらない。

 もはや完全にシェンのペースになってしまっていた。


「捨てちまいなよ、こんなの」


「ふざけるな!」


「だったら僕が捨てさせてやるよ!」


 そう言うと、シェンは倒れているショーナに衝撃波を放つ。

 本人にとっては軽い一撃だが、その攻撃を受けるショーナにとっては違う。

 今の彼でその攻撃をは避けることはできない。

 直撃すれば大怪我は免れない。


「ショーナ!」


 今、メノウのいる位置からでは攻撃を打ち消すことは不可能。

 しかし、攻撃をショーナから外すことはできる。

 彼女が盾代わりとなり、衝撃波を身体で受けて止めた。


「うぐッ…」


 衝撃波を受けた背中全体に鈍い痛みが広がる。

 思わず膝を地面に着けてしまった。


「め、メノウ…」


「だいじょうぶ…ショーナ、お主のことはワシが必ず守るから…」


 痛みを殺し無理やり作った笑みを浮かべ、ショーナに語りかけるメノウ。

 苦しさを彼に見せぬように作った笑顔。

 しかし、それが無理矢理作っているものだということにショーナは気付いていた。

 メノウにそんなことをさせてしまった自分が情けない、彼はそう思っていた。


「じゃあ守ってみなよ!その足枷にしかならないヤツをさぁ!」


「それ以上言うな!」


「キミ達二人を片付けたら次はあの灰色のヤツだ。妙にムカつくんだよアイツが!」


 シェンがメノウに手刀を振り下ろした。

 いつものメノウならば避けられるだろうが今は違う。

 ショーナを守りながらの戦い、否定はするものの彼が『足枷』となっているのには違いない。

 しかし…


「そうはさせない…!」


「なに!?」


 ショーナが最後の力を振り絞り、シェンに攻撃を仕掛けた。

 折れたアバラを押さえつつ大地を蹴り、シェンに後ろから飛び掛かり羽交い絞めをかける。

 倒れている間に彼の一連の動きを観察した結果、ショーナはあることに気が付いた。


「その刺青みたいヤツ、お前の魔力はそこから出ているみたいだな」


 魔王軍残党の紋様、その効果は『魔力の増幅』だ。

 それを様々なことに転化することで恐るべき効果を得ることが可能。

 身体能力の強化、再生能力などをシェンは使用していた。

 攻撃の際に紋様から魔力が流れ出していたことにショーナは気付いたのだ。


「だからどうした?そんなことが分かったところでなんになるのさ」


 ひじ打ちでショーナの腹に一撃を加えるシェン。

 しかしそれでも、ショーナは羽交い絞めの手を緩めない。


「魔力を無効化するならこの技だ…!」


「無効化だって!?」


 ここに来てシェンの顔に初めて焦りの表情が浮かび上がる。

 今の彼の力の源である紋様、それを失えば彼には何も残らない。

 必死でショーナを振りほどこうとするも、それでもなお彼は抗い続けた。


「離せ、離せよ!」


「魔法の解除はもちろん、暗示や幻術、その他諸々に応用できるこの魔法…」


「やめろって言ってるだろ!」


「メノウの技、『クリア・セオリー』!」


 特訓中にショーナはいくつかの魔法をメノウから教えてもらっていた。

 基本技である強化水壁(ウォーターバリア)や派生技である水の矢など、その他多数だ。

 その中にはこの魔法もあった。

 メノウが何度も使い、最も愛用する魔法の一つでもあるクリア・セオリーが。


「うおぉッ…!」


 咄嗟の使用だったため、完全に決まったわけではないが、それでも攻撃を止めさせるには十分なくらいだった。

 紋様をかき消されたシェンの体中から魔力が漏れ出していく。

 そのまま彼は呻き声を上げながら、その場に倒れこんだ。

 とどめを刺すため、ショーナが近くにあった先端の鋭利な木の枝を拾い上げ、それで彼を貫いた。


「うぐッ…」


 嫌な声を上げるその場に倒れるシェン。

 ショーナにとって彼は敵。

 しかしいくら敵とはいえ、あまり気分のいいものでは無かった。


「め、メノウ…」


「ショーナ…勝ったか…」


「ああ、勝ったよ」


「無茶をさせてしまった…な…ワシがもっとうまく立ち回っていれば…」


「そんなこと言うなよ、やっと倒したんだからさ」


「そうじゃな…」


「俺達ボロボロだな…へへ…」


 緊張の糸が切れたのかそのまま気を失うショーナ。

 無理も無い、彼の身体は既に限界を超え悲鳴を上げていた。

 もしこのまま戦いが長引いていれば命そのものがあぶなかっただろう。


「ショーナ…無理をさせてしまったな…」


 メノウも傷を負ってはいるが彼ほどでは無い。

 彼女の自然治癒能力と魔法での治癒を合わせれば数日も経たずに傷は回復するだろう。

 しかしショーナは違う。

 短時間で後遺症も無く傷を癒すには。しかるべき病院に入れることが重要。

 その後に、メノウの治癒魔法を何度も重ねがけすれば何とかなるかもしれない。


「おーい!メノウ!」


「ん、ミザールか…」


「そいつ倒したのか、すげぇなお前ら!」


「ショーナのおかげじゃよ…」


「そうか、すごいなショーナ!」


 二人の下に現れたミザール。

 肩で息をしながら、メノウに灰色の少女からの伝言を伝える。


「滝の方に来いってさ」


「あ、ああ。川の上流にあったアレか…」


「コイツ怪我してるのか。しょうがねぇなぁ…」


 そう言ってショーナを担ぐミザール。


「お前さん、結構いいヤツじゃな」


「はぁ!?これくらい当たり前だろ!」



 そう言われ軽く頷き、ミザールの後を追うメノウ。

 滝の前では既に灰色の少女が待っていた。


「シェンを倒しましたか」


「ああ、けどショーナが…」


「わかっています。この森からすぐに出ましょう」


「古代遺跡の地下通路を使うか?」


「いや、もっと早く、確実にここから出る方法があります」


「何をする気じゃ?」


 灰色の少女が滝壺から顔を出す尖った岩の上に飛び移る。

 そして…


「せい!やあ!」


 彼女のその声と共に滝が横に割れた。

 一瞬のことだったので確信は持てぬが、恐らく背負った刀をつかったのだろう。

 ミザールは何が起こったのかわからず、口を開け呆気にとられた表情をみせていた。


「普段ならば一人が通れる程度のゲートしか作れない。けど、滝の水の落下の位置エネルギーと私の力を共鳴させれば…!」


 その彼女の声と共に割れた滝が再び元に戻る。

 しかしそれとは別に次は滝壺に異変が起きた。

 普段ならば透き通り、川底まで見えるほどの水。

 それが一部分だけ鏡面のように輝き、光を反射しているのだ。


「シークマントの近くまでの時空間ゲートを作りました。ここに入れば移動できます」


「時空…?ゲート?、お前さんは一体なにを…?」


「急いで!長くは持ちません!数分で消えます!」


「最後に聞かせてくれ!お前さんの名は…」


「…『グラウ・メートヒェン』!」


 そう言って自らが造ったゲートへと飛び込む。

 ショーナを背負うミザール、そしてメノウも後を追った。


もしよろしければ、感想、誤字指摘、ブクマなどよろしくお願いします。


作者のモチベーションが上がります。 コメントなんかもいただけるととても嬉しいです。 皆様のお言葉、いつも力になっております。ありがとうございます。また、この小説が気になった方は☆☆☆☆☆で応援していただけると嬉しいです。

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