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最高級の最下級少女  作者: 剣竜
第五章 復活の魔王軍…!?
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第八十二話 少女騎士ミザール登場!

  一週間ほどの時が経ち、メノウ達はザリィール帝国の王都『セインツブースト』へとたどり着いた。

 王族たちの住む、この国の中枢だ。

 通常ならば北ザリィールの辺境の地から王都セインツブーストまでたどり着くにはかなりの時間がかかる。

 山を徒歩で抜け、列車を使い二週間。

 全て荒地や山間部で時間を取られるのが原因だ。

 メノウが山を抜ける近道を見つけていたおかげである程度時間を短縮できた。


「ま、着いたみたいだぜ。王都セインツブーストに」


「検問所前だけどね」


「そう言えば昔、ショーナが言っていたのぅ。検問所があると…」


 ザリィール帝国の首都である『王都セインツブースト』は、昔の街並みを今なお残す古都だ。

 レンガ造りの建物と道など、昔の息吹が今でも息づいている。

 しかし、だからといってこの都市は古いだけの不便な場所というわけでは無い。

 他国から技術者を招き、国外の風を取り込んでいる。


「先に手続きを済ませてくるので少し待っていてください」


 そう言ってスートが車から降りる。

 その間に改めてセインツブーストの周りにある城壁を見回す。

 とても巨大な壁、これがこの都市への侵入者を防いでいるのだ。

 大戦前のかつてこの都市は、ザリィール帝国の前身である『ザリィール中央王国』の首都として使用されていた。

 それが特に顕著なのは城や都全体を覆う城壁、その他の公共施設などだろう。

 これらはザリィール王国のものをほぼそのまま流用している。


「終りましたよ」


 本来ならば身分を証明する者の無いメノウとウェーダーはこの街に入ることはできない。

 スートが王女と繋がりを持つ者であるため、半ば無理矢理入れたようなものだ。

 アズサのみ、シークマントの東洋街出身であるため、何とかなったが。


「お二人は身分証を持っていないらしいので、こちらで適当に言って通してもらいました」


「助かるよ、スートさん」


「ありがとうな、スート」


 スートに礼を言う二人。

 検問所を抜け、セインツブーストの城壁内部へと入る。

 落ち着いた雰囲気ながらもどこか気品を感じさせている。


「この街並みに俺たちはちょっと浮いてるな」


「そうね…」


 そう言うアズサ。

 それと同時に空腹からか、彼女の腹が鳴った。

 顔を赤らめる彼女だが、メノウもそれに同調した。

 既に太陽も高く昇り、昼を少し過ぎているというのもあるだろう。


「あ…」


「そう言えば今日は何も食べてないのぅ」


「ずっと走り通しだったからな、仕方ねぇよ」


「あの角の所に料理屋があります、そこで食事でもとりましょう」


 スートの提案を受け、その料理屋へと向かう一行。

 どうやら旅人向けの宿も兼業しているらしく、一階が料理や酒を提供する店舗。

 二階が宿である貸し部屋となっている。


「失礼しますよ」


「いらっしゃい、旅の人かい?」


 店に入ると同時に店長と思われる男が言った。

 木製のカウンターにテーブル、外観の通り落ち着いた雰囲気の店だ。

 昼過ぎの時間帯であるため、店内に人は殆どいなかった。

 案内された席に座り、料理を注文する。


「じゃあワシはひよこ豆のスープとパン、ソーセージを…」


「生の魚料理は無いのね…私は魚のフライを」


「内陸だから仕方が無いぜ、俺はこっちとこの肉とポテト、あと酒だ!これとこれとこれ!」


 昼間から酒盛りというのもあまりいいものでは無い。

 しかし、スートも最初からこの宿で休息を取るつもりだったらしい。

 ここまでの旅の疲れを取るという意味もある。


「すいません、私は先に少し休ませてもらいます」


「そう…」


 よほど疲れがたまっていたのかもしれない。

 少し話し込んだ後、彼は黒パンと水、瓶詰の野菜を受け取り二階の宿泊部屋へと籠ってしまった。

 よほど疲れがたまっていたのだろう。


「いいの?お酒なんか飲んで」


「一日ほど休むみたいだし大丈夫だろ?」


「ワシも飲むぞー!」


「子供はダメよ!」


「なんじゃ」


「別に大丈夫だろ、メノウも飲もうぜ」


「おおー!」


「私、どうなっても知らないよ」


 アズサの言葉を無視し昼間から酒盛りを始めようとする二人。

 この店は肉料理とビールを売りとしているらしく、二人はそれらを次々と注文していった。

 料理が来るまでしばらく時間がかかるらしく、先にビールが運ばれてきた。

 適当に注文したからかたくさんの種類の瓶が並ぶ。


「おっ、美味そうな酒だ!」


 ウェーダーの反応に気を良くしたのか、ビールを運んできた店長がそれぞれの銘柄の説明を始める。

 大雑把な性格のウェーダーは普段ならばこう言った話を聞いたりはしない。

 しかし今回は違った。

 店長の熱のこもった解説に思わず聞き入ってしまった。

 よほど自身の店の酒に自信があるのだろう。

 黒ビールやアルコールの高いもの、逆に低い女性向けのもの、ホップの香りの強いもの。

 それぞれを産地の逸話を交えての熱弁、これを聞き逃すわけにはいかなかった。


「当店はザリィール全土から地方特産のビールを取り寄せています。きっとお客様の好みのものがあると思いますよ」


「なるほどな、値段も安いしこれなら気軽に飲めるぜ」


「ビールは一般に広く親しまれる酒です。構えずに頂くのが自然な飲み方です」


「そうだな、でも出来ればつまみの方も…」


「ポテトと焼きソーセージならすぐに提供できますよ、どちらも相性は抜群ですよ」


「ありがたい!頼むよ」


「はい、ではすぐにお持ちいたします」


 その言葉の後、店長はすぐにつまみのポテトとソーセージを持ってきた。

 それを食べながら酒盛りを始めるウェーダーとメノウ。

 一気に飲んで急に酔いが回ったのか、アズサの料理が運ばれてきたころには二人は完全に酔っぱらっていた。

 さらに、所狭しと、テーブルの上に追加のビールとメインの肉料理が運ばれてきた。

 されを見てテンションが上がったのかさらに酒盛りの激しさは増していった。


「わー!」


「少し大人しくしてくれぬか?」


「え、ええええ!」


 意味不明な言葉を羅列するメノウとウェーダーの二人組。

 それを変な物を見るような眼で見るアズサ。

 この場にスートがいたら確実に二人を止めていただろう。

 彼が二人に対するリミッター的役割を果たしていたことを再確認させられた。


「全く、子供なんだから!」


「子供じゃないぞぃ」


「あれメノウちゃん、酔っぱらったんじゃ?」


「ワシは酔うのは早いが醒めるのも早い」


「そうなんだ、じゃあコレは?」


 アズサが一人で盛り上がっているウェーダーを指さす。

 それを見て、メノウは酔っ払いを客観的に見るとどうなるかを再確認させられ、軽い自己嫌悪に陥った。


「あ…見てて気分のいい物じゃないのぅ…」


「それにしてもよく飲み食いするわね…見てるだけで胸焼けしそう…」


「酔っ払い最低じゃな」


「周りに迷惑かかってないかな…?」


 そう言ってアズサが席の周囲を見回す。

 店長は全く気にせず料理を作っていた。

 このようなことは恐らく日常茶飯事なのだろう。

 他の店員も同じだ。

 しかし客は違った。

 恐らく常連と思われる一般男性や同じ酔っ払い以外は少し迷惑そうな顔をしていた。

 そんな中…


「おい!おまえら昼間から酒飲んで、こっちとら酒臭くて、飯が不味くなったぞ!」

 

 ウェーダーの酒盛りに対して、店内にいた少女が大声で怒鳴った。

 その声を聞き、気を抜いていたアズサがいきなりのことに驚きの表情を見せた。

 店内の何人かの客が何事かと、こちらを見ている。


「(あの服、帝国軍のものじゃな…)」


 メノウがその少女に視線を移す。

 歳は十五か十六と言ったところか。

 ザリィール帝国軍の軍服に帽子とマント。

 革手袋と革靴と、どこか窮屈そうな姿だ。

 武器は肩掛けの剣。

 他には所持していないだろう。


「お前らなんなんだ?ならず者か?」


「あ~…あたし達そんなんじゃ…」


 アズサの弁明の途中、酔ったウェーダーが割って入った。

 邪魔されたせいか機嫌も悪そうだ。


「誰がならず者だって!?ガキが」


「ちょ、ちょっとウェーダー、飲みすぎよ…」


 アズサの制止を気にも留めず、その少女に食って掛かるウェーダー。

 彼女もそれに引くことなく顔を背けて舌打ちする。

 拳でテーブルを叩き、歯を食いしばってウェーダーを睨み据える。

 それを見かねた、連れの大人しそうな少年が彼に駆け寄って二人を止めようとした。

 しかし…


「ち、ちょっと!ミザール!問題起こしちゃまずいって!」


「うるさいなあケイト、すぐに片付けるからさ」


『ミザール』と呼ばれた少女騎士は連れの少年『ケイト』の手を払いのけ、再びウェーダーを睨み据える


「ミザール、それがお前の名前か」


「ああ、ザリィール帝国騎士団所属のミザールだ。ならず者はオレサマが片付けてやるぜ!」



感想、誤字指摘、ブクマなどいただけると嬉しいです。

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