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最高級の最下級少女  作者: 剣竜
第四章 囚われの少女を追って…
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第六十六話 邪魔だ!

 メノウとカツミ、二人の前に立ちはだかる四聖獣士のビャクオウ。

 白虎の属性を持ち、白虎型の魔物を使役する彼に対し、二人はどう戦うか…?

 青龍型の魔物ほどの巨体で無いにしろ、白虎型の魔物も大きな体躯を持つ。

 全身をつつむ外骨格。

 滑空用の翼、その内側に隠された複腕。

 それに対し果敢に攻め込むカツミ。

 対照的にメノウは…


「さて、まずは…」


「メノウ、後方支援を頼む!」


「おう!」


 南ザリィールでのミサキとの戦いのときのようにカツミが近接戦闘を。

 メノウが後方支援をするという戦術でいくようだ。

 今回の戦いはあのミサキとの戦いと共通している点が数多くある。

 メノウが負傷、敵対する相手が近接線を得意とする相手。

 そしてバトルフィールドが障害物の少ない、平坦な土地であるという点だ。


「(障害物が無い方が、あたし的には戦いやすいからな…)」


 カツミの技は衝撃波や斬撃波、手刀など直線的な攻撃が多い

 彼女の技が最大限に力を発揮できるのは、一切の障害物の無いエリアとなるのだ。

 この地は以前のミサキとの戦いのときと同様、彼女にとってのホームグランドと言えるだろう。


「真正面から来るかッ…」


 白虎型の魔物を相手にしてなお、一切怯まずに攻撃を仕掛けるカツミに対し改めて敬意を表すビャクオウ。

 もっとも、カツミにとっては白虎型の魔物など巨体の内にも入らないのだが。

 彼女はこれまで、ザリィール・ヘルワームや大型肉食恐竜型の魔物、そして青龍型の魔物と言った大型の敵を見てきた。

 それと比べれば白虎型の魔物などむしろ、小型の部類に分類されるだろう。


「後方確認、一旦下がってからの…!」


 メノウはカツミとは対照的に、距離を取り後方に後退。

 白虎型の魔物との距離を取る。

 そしてカツミを後方より支援する魔法呪文を詠唱する。


「『グランドボール』!」


 カツミの後ろでメノウの声が降った。

 メノウが右手を天高く上げ、掌に魔力を集中させる。

 彼女が使用した魔法、『グランドボール』は周囲の『土壌』と『岩石』を集めそれを玉として放つのだ。


「魔術師の少女メノウ、やはり魔法を使ってくるか…!」


 それを見たビャクオウが驚嘆の声を上げる。

 グランドボール自体は比較的ありふれた魔法だ。

 帝都で魔法を学べば子供でも使用ができる程度の物。

 しかし、メノウの使用したそれは一般的に知られるグランドボールとは決定的に違う点があった。

 それは…


「少し速めるぞぃ!」


 一般的に知られるソレの数倍の速度でその玉を動かすメノウ。

 通常は速度を上げれば上げるほど、魔力の消費と形質の維持が難しくなってくるのだ。

 そのため、今のメノウのようなスピードでその玉を動かすことは通常ならば不可能。

 それを可能とするメノウの魔力におどろかざるをえない。


「(極東の拳士の一撃と超高速のグランドボール、避けるよりは…)」


 カツミの突進とメノウのグランドボール。

 下手に避けたとしても、完全に避けきれるとは限らない。

 翼部分の複腕に装着された鉤爪で二人の攻撃を瞬時に受け流した。


「可変式の…!」


 白虎型の魔物の周囲360度に対応できる出来る副椀複腕。

 そして強固な防御力を誇る可変式鉤爪。

 ある程度強力な攻撃ならば破壊できるだろうが、手数で勝負するタイプの拳士であるカツミにとってはかなり厄介だ。

 比較的攻撃性能の高い技を持つメノウでも、あのを破壊するには一旦距離を詰めなければならない。

 さらにそこから隙の大きい幻影光龍壊などを使わなければ、突破は不可能だろう。

 だが、近接戦闘の得意な白虎型の魔物を相手にこの戦術を使用するのはかなり至難の業だ。


「シェンの時のように、幻影幻影撃が使えれば楽なのじゃが、仕方が無い…」


 そう言うメノウ。

 それと同時に、これまで守りに徹していた白虎型の魔物が攻勢を開始。

 攻撃にうつる。

 鉤爪を変形させ、内部に仕込まれた刃でカツミに襲い掛かった。

 不意を突かれたカツミだが何とかそれを避けることに成功した。


「仕込み刀か!?」


 何とかギリギリで避けるカツミだったが、完全に避けられたわけでは無かった。

 足に付けていたレガースの鋼鉄製スパイク数本が切断されてしまった。


「チッ…」


 軽く舌打ちをするカツミ。

 反撃に斬撃波を数発放つも全て鉤爪に防がれてしまう。

 あのを破壊しない限り、まともなダメージは期待できそうにも無い。

 しかし先述の通り、カツミの攻撃では破壊は難しい。

 メノウの攻撃ならば破壊はできるだろうが、その攻撃を当てることが難しい。


「どうするメノウ?あれの破壊は難しそうだが」


「そう言うお前さんが、何も策を考えて無いとは思えんがのぅ」


「あ、ああ。一応『策』はあるにはあるか…」


 そう言うカツミ。

 当然彼、女にも『策』は無いわけではない。

 だが、それが成功するかどうかは未知数。


「ふむふむ、そういうことか…」


 白虎型の魔物に視線を合わせたメノウが一人呟く。

 カツミの策の内容をある程度察したようだ。


「カツミ、それでいくぞぃ!」


「ああ!」


 それ以上の言葉は二人にはいらない。

 二人が望む最善の一手をただ遂行する。

 心が通じ合う二人だからこそできる技巧だ。


「グランドボール!」


 再びメノウがグランドボールの魔法を発動する。

 先ほどとほぼ同じサイズだが、今度は二つ。

 それらを白虎型の魔物へと向かい放った。


「それぃ!」


 勢いよく放つメノウだが、結果は先ほどと同じ。

 鉤爪に防がれてしまう。

 しかしそれで攻撃を止めるメノウでは無い。

 さらに複数のグランドボールを作り出し、再び白虎型の魔物へと放つ。

 グランドボールは使用するだけならば非常に少ない魔力消費で済む。

 それゆえに連続使用が可能なのだ。

 数ある魔法の中でもこの系統の魔法が多くの人々に愛用されている理由の一つがこれだ。


「(無駄な攻撃を続けている…という訳ではなさそうだが…?)」


 メノウの行動に疑問を感じるビャクオウ。

 だが、すぐにその行動の意味を察することとなる。


「(への攻撃…?いや…!?)」


「気付いたかの」


「なかなか考えたな、咄嗟の判断にしては懸命だ」


 メノウの狙い、それはの破壊では無い。

 を装着する『複腕の破壊』にあった。

 元々魔物の合体の際に出た余暇部分だ、強度はあまり高くない。

 もちろん通常の運用ならばそれでも全く問題が無いのだが、今回の場合は違う。

 何度も岩石の塊をぶつけられ、複腕自体に負荷がかかっていたのだ。


「複腕の破壊が狙いだったのか」


「ああ、考えたのはカツミじゃがの」


「まーなー」


 カツミの力では複腕を破壊することは不可能。

 それを察したメノウが自身の魔法で速度、破壊力、ともに高いグランドボールを発動。

 複腕の破壊を狙ったのだ。


「こうなればもう複腕は不要か…」


 ビャクオウのその声と共に、複腕が白虎型の魔物から武装解除された。

 今まで装備していたそれらをまるで拘束具のように思っていたのか、白虎型の魔物は首を振り身体を思い切り伸ばしている。

 機械とはいえ、一応は魔物も生物。

 感情が全くない、と言うわけでもないのだろう。


「複腕が消えたか…」


「少しは攻めやすくなったかの?カツミ?」


「ああ、だがそう簡単にはいかないよな」


 カツミの予想は的中した。

 雄叫びと共に、白虎型の魔物が二人に飛び掛かってきた。

 その速度は先ほどとは比べ物にならないほどに、速い。

 全身が金属でできた魔物であるということを忘れさせるようなしなやかな動き。

 まるで本物の虎を見ているようだった。


「なッ…」


「速…!」


 二人がそれぞれ真逆の方向へと移動することで攻撃を回避できた。

 だが、それで攻撃の手を止める白虎型の魔物では無い。

 それぞれ逆の方向へと避けた二人を追うのは不可能だが、どちらか片方を襲うのならできる。

 その攻撃対象になったのは…


「白虎!緑眼のメノウを狙え!」


 ビャクオウが攻撃隊仕様に選択したのはメノウ。

 もちろんこれには理由がある。

 スピードだけならばメノウはカツミに劣る。

 先に厄介な能力を持つメノウを倒し、その後にカツミを始末する。

 それがこの戦いの勝利への道となる。


「これだけの連続攻撃だ、魔法を使う暇も無いだろう!」


 もし白虎型の魔物がここで仮にカツミを優先的に攻撃した場合、メノウには『魔法を使うタイミング』が生まれる。

 ビャクオウにとって、それだけは絶対に阻止せなければならないことだった。

 裏を返せば、魔法による攻撃さえなければ白虎型の魔物はメノウに勝てる。

 そう彼は推測している。

 メノウを仕留める過程でカツミにある程度攻撃を受けるのは仕方が無い、必要経費だと思ってあきらめるしかない。


「この勝負、最期まで気を抜くことはできんな…」



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