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最高級の最下級少女  作者: 剣竜
第二章 西のザリィール
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第三十五話 強大なる魔竜!

 大きな地響きとともに、地響きとともに野獣の咆哮が聞こえた。

 困惑するカツミ。

 その咆哮と共に現れたのは巨大な肉食獣。

 いや、巨大な肉食獣の姿をした『魔物』だったのだ。


『グウゥゥゥゥゥッ!』


「この咆哮は…」


 困惑するカツミ。

 メノウ達の前に現れたのは巨大な魔物だった。

 その名の通り姿形は太古に存在したという古代生物『恐竜』に似ている。

 大きさも本物の肉食恐竜と同じくらいだ。


「な、なぜ魔物がこの地に!?」


 だがその圧倒的存在感によりさらに大きくも感じる。

 発達した後ろ足とは対照的に細い腕、大きな口と鞭のようにしなやかな尾。

 ここまでは肉食恐竜とほぼ同じ。

 だが、大型肉食恐竜の姿をしたその魔物と本物の肉食恐竜との大きな違いはその構造にある。


『グゥゥゥゥ…』


「なんだ、このバケモン…!」


 大型肉食恐竜の姿をしたその魔物を見た盗賊少女、カツミがそう呟く。

 肉食恐竜と違い、この魔物は外骨格を持つ。

 それらがの能力を通常の生物とは比べ物にならないほどにまで高めている。


「ヤツは魔物じゃ」


「魔物だと…!?」


 大型肉食恐竜型の魔物の全身には血管のような細いパイプが覆っている。

 それはまるで全身にエネルギーを供給するための血管のようにも見える

 一方、カツミは大型肉食恐竜の姿をしたその魔物を息をのみながら見る。


「(魔物だと…そんなものが実在するとでもいうのか…?)」


 魔物という存在など、彼女は今まで聞いたことも無かった。

 精々おとぎ話か何かだけの存在だと思っていた。

 ザリィールに魔物がいるなんて噂ですら聞いたことも無い。

 明らかにこの魔物は通常の生物とは『違う』なにかを持っている。


「そう、こいつは『魔物』だ」


 そう言って木の陰から一人の男が現れた。

 手には小型の弓矢が握られている。

 先ほどモラーダを射殺したものだろう。

 その男が出てきたと同時に、唸り声を上げていた大型肉食恐竜型の魔物が急に大人しくなった。


「お前さんは一体…?」


 メノウがその男に言った。

 今までに感じたことのない、何か妙な『気』をこの男からは感じる。

 先ほどカツミが魔物から感じたのとは違う、また別のものだ。


「俺もソイツと同じだ、『監視』では無く『捕獲』だけどな…」


「捕獲じゃと?」


「そう、『異能の力を持つ者たち(イレギュラーズ)の少女』の捕獲。それが俺の任務だ」


 異能の力を持つ者たち(イレギュラーズ)はザリィールの民に忌み嫌われる。

 しかし、その異能の力を持つ者たち(イレギュラーズ)を求める者がいる。

 その事実は一体何を意味するのだろう。


「一つ聞きたいことがあるが、聞いてもいいか?」


 何故この場所に魔物がいるのか。

 今のメノウには正直どのような疑問よりも、こちらの方が気になっていた。

 魔物は現在、この世界にはほとんど存在していない。

 特にこのような巨大な魔物など。

 それが何故、西ザリィールのこのような場所にいるのだろうか。

 しかし、それを答えてくれるほどこの男は優しくは無い。


「お前さんはどこからこの魔物を…?」


「それを教える必要は無い…!」


『ガッアアアアアア!』


 その言葉と共に、動きを止めていた大型肉食恐竜型の魔物が再び活動を再開する。

 巨体からは想像もできないようなスピードで高くジャンプし、メノウとカツミの二人に襲い掛かる。

 その姿はまるで、暗い夜空を光を纏いながら飛ぶ竜の様だ。

 鋭い牙と強固な外骨格は中途半端な攻撃では突破できない。


「素直に『異能の力を持つ者たち(イレギュラーズ)』の少女を渡せば、他の二人は見逃す。しかしどうせ抵抗するのだろう?」


「当たり前だ!」


 カツミが叫ぶと同時に跳び上がり、魔物の攻撃を避ける。

 メノウも避けて近くの木に飛び移る。

 しかしカツミは違った。

 そのままの体勢からの手刀の衝撃波で、魔物に攻撃を仕掛ける。


「(どうなる…?通用するか…!?)」


 流石にその一撃で大型肉食恐竜型の魔物を倒せるとは思っていない。

 だがその威力は、人間が被弾すれば原形を留めぬほどに破砕されるほど。

 この技が果たしてどこまで通用するのか。

 その試験的な意味も込めてある。

 衝撃波は大型肉食恐竜型の魔物の左足の装甲板を大きくへこませるが、貫通まではしなかった。

 同じ個所に再び攻撃を当てることができればダメージを通すことはできるかもしれない。

 だが、何度もうまくはいかないだろう。


異能の力を持つ者たち(イレギュラーズ)では無いが、貴様も中々の腕だな」


 その状況を見ていた男が言った。

 コイツは魔物の中でも上位に位置する存在。

 同じ魔物でも、こいつに勝てる個体はそうはいない。

 大抵は一撃で粉砕されるのがオチだろう。

 しかしカツミは魔物の攻撃を見切りつつ、攻撃を放つ力量を見せている。

 もし弱個体の魔物とカツミが戦ったならば間違いなくカツミが勝つだろう。


「魔物を戦わせて、自分は高みの見物か!?」


 カツミが叫ぶ。

 それと共に大型肉食恐竜型の魔物が紅い眼を鋭く光らせた。

 大きな口を開けながら大きく尻尾を振り突進を繰り出す。

 メノウとカツミはそれを再び避ける。

 だがここで、カツミの言葉を聞いたメノウはふとあることに気付いた。

 今までなぜこのことが気にならなかったのか不思議なくらい基本的なことだ。

 それは…


「何故、魔物はこの男に従っている、この男が何らかの方法で魔物を操っているのじゃろうか…?」


 ためしにメノウは木から降り、近くに落ちていた石を拾い投げてあの男に投擲する。

 単なる石とはいえ、これが当たれば骨折。

 打ち所が悪ければ大怪我を負うだろう。

 だが…


「…!」


 カツミと交戦していた大型肉食恐竜型の魔物が突如身を翻し、その石からその男を守ったのだった。

 そのため、カツミの放った衝撃波を装甲の少ない胴に受けてしまった。

 しかし、それにも大型肉食恐竜型の魔物は全く動じようともしない。


「あの男を…守った…?」


「やはりあの男が魔物を操っておるのか…」


 何らかの術を使って魔物を操っているのか。

 分からないが何らかの方法で操っていることは確かだ。

 確信したメノウはカツミに傍により、ある作戦を伝えた。


「この魔物を操っているのは恐らくヤツじゃ」


「なるほど、それでどうする?」


「しばらくお前さんは魔物を引き付けていてくれ!」


 そう言うと、メノウは魔物を無視し一直線に操っている男のもとへと向かう。

 奴さえ倒してしまえば、恐らく魔物も行動を停止するはずだ。


「よし、まかせろ!」


 カツミと大型肉食恐竜型の魔物の戦い。

 スタミナでは圧倒的にカツミが不利。

 いや、それだけでは無い。

 パワーも、スピードも。

 勝っているのは、純粋な技、そして知能のみ。


『アァァァッッッ!』


「うッ」


 叫び声を上げながら突撃してくる大型肉食恐竜型の魔物。

 それを何とか避けるカツミ。

 攻撃を避け続けてはいるが、これではらちが明かない。

 一撃でもその身に攻撃を受ければカツミの敗けはほぼ確実。

 回避を続けてもいずれスタミナ切れになり、カツミは負けるだろう。


「ここは一か八か…」


 カツミは賭けに出た。

 大型肉食恐竜型の魔物の攻撃、それを逆に利用してやる、と。

 奴の攻撃そのものは単純。

 ある程度は流れを読むことができる。


『アアアアアアァァァァッッッ!』


「来る…!」


 カツミはその攻撃を避けた。

 大型肉食恐竜型の魔物の攻撃は、カツミの後ろの木々にあたった。

 木々がバラバラになり崩れ落ちる。


『ズッ…キキキキキキィィィィィィッッッ!』


 ダメージ自体は大きくは無い。

 しかしその一連の流れを受け怒り狂う大型肉食恐竜型の魔物。

 デタラメに暴れまわる。

 何度も何度も、何度も。

 そして…


「そこッ!」


 大型肉食恐竜型の魔物の攻撃の一つ、カツミはそれに目を付けた。

 相手の力を利用し、勢いよく飛び上がるカツミ。

 大型肉食恐竜型の魔物の頭部に全力の一撃を叩きつけた…


「効いたか…?」



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