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最高級の最下級少女  作者: 剣竜
第一章 不思議の少女 メノウ
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第十一話 響け、決戦の鼓舞!

 


 D、C基地を壊滅させた『メノウ』、『ショーナ』、『ミーナ』の三人。

 既に彼らは南ザリィーム内において大きな脅威となっていた。

 軍閥長はこれを国を揺るがす大事件として全軍の精鋭たちに招集命令を発令。

『将軍 マーク・レナード』の下に南ザリィーム軍の精鋭部隊が集結しつつあった。


「全軍召集せよ!軍閥長の下へ全軍招集するのだ!」


 地響きを立て、、南ザリィームの中央都市『シークマント』の城に軍団が現れた。

 それは『テリー・ヤック』の率いる軍の精鋭部隊。

 それとほぼ同時に、沿岸警備部隊の『ドン・バーグ』と国境警備部隊の『マレカ・クーツ』の部隊も到着した。

 ドンとマレカは、数人の部下を連れて城の中へと入って行った。

 大広間では、既に軍閥長のYK・イーガリスが少し高めの位置から軍の者たちを見下ろしていた。

 軍閥長が左手で軽く敬礼する。


「オォォォォ!!」


 それに合わせるように、雄たけびを上げる全軍。

 その表情はまさに今まさに戦地へ赴こうとする勇猛なる戦士そのもの。

 しかし、軍閥長は深い帽子をかぶっているためその表情を読むことはできない。

 それが不気味だ。


「南ザリィームの英雄たちよ、よく集まってくれた」


 将軍 マーク・レナードが語りかける。

 この大軍団がこれから戦うのはたった三人の少女と少年たち。

 普通ならば、いくら軍閥長と将軍の指令とはいえ軍が動くほどの事態ではない。

 マーク将軍もそのことは十分に理解していたし、できれば南ザリィーム全軍を動かすこともしたくは無かった。

 ただでさえ財政が厳しい今、軍を動かすために無駄な金を費やすわけにはいかない。

 だが、軍閥長の命令となれば従わざるを得ない。

 軍の一部の者達もそれは承知の上のはずだ。

 それを納得させ軍を動かすためマークは全軍に向け演説を始めた。


「皆も知っての通り、今この南ザリィームには複数の反乱組織がある」


 軍閥長の圧政に耐えかねた市民が作り出したレジスタンス組織がこの南ザリィームにはある。

 一つは武器を持ち戦う過激派組織『紅の一派』。

 そしてもう一つは宗教組織『ディオンハルコス教団』。

 他にも小さな組織が複数存在しているのだ。


「最近はディオンハルコス教団の動きが怪しいと聞きますが…?」


 沿岸警備部隊の『ドン・バーグ』が言った。

 ディオンハルコス教団は希少鉱石『ディオンハルコス鉱』をご神体として祀っている教団だ。

 最近では何やら裏で怪しげな取引をしているという。

 麻薬や武器売買、宗教団体を隠れ蓑にする犯罪組織とのうわさもあるが…?


「ディオンハルコス教団ではない」


「では反体制派組織と言われる『紅の一派』でしょうか?」


「いや、紅の一派でも無い」


「では一体…?」


「この者たちだ」


 そう言いながら、マークは大きな紙を広げ始めた。

 それはメノウ、ショーナ、ミーナの精巧な絵が描かれた紙。

 目撃証言などを元に描かれた、本人たちそっくりなものだ。

 それをみて軽く笑うバーグ。


「将軍、冗談もほどほどにしてもらいたいですな」


「まぁ話を聞けバーグ。あの少女、メノウと最初に戦ったのは元ザリィーム軍の馬賊だった…」


 そう言うと、マークはこの三人について語り始めた。

 実力、危険度…

 そして、今までの彼女たちの戦いを…


「…以上が逮捕した馬賊から聞き出した情報だ」


「しかし、その程度ならば俺の陸戦部隊一つで事足りるだろう」


 テリーか言う。

 彼の率いる陸戦部隊は暗殺部隊や破壊工作部隊、その他数多くの部隊が所属している。

 そのいずれも実力に自信のある者ばかりが揃っている。

 だが…


「緑瞳の少女メノウ、その力は並みの兵士程度では歯が立たない」


「ほう」


「事実、D基地の隊長が交戦した際に全滅させられている」


 それを聞き少し考え込むテリー中佐。

 少女と思い油断していたが考えを改める必要がありそうだ。

 そして、また別の映像に切り替わった。


「そしてメノウその勢いのままD基地をいとも簡単に壊滅させた」


「D基地をいともたやすく…?」


「そう、D基地の司令官ブルーシムも奴にはかなわなかった」


「なるほどな」


「その後、メノウはC基地の司令官ミーナと交戦したが…」


 C基地での出来事は全て、『ミーナの裏切りによる暴走』として処理されていた。

 当事者のほとんどが再起不能であるため、マークもそう判断するしかなかったのだろう。


「もっとも善戦したミーナだったが、敵側に寝返ってしまったというわけだ」


「しょせんガキだ、心変わりもするだろうよ」


 テリーが嘲笑うように言った。

 しかし、それも仕方がないのかもしれない。

 求心力の無い少女を司令官にしたのは単なるミスとしか言いようがない。

 もっとも、任命したのは軍閥長であるYK・イーガリスなのだが…


「ミーナの裏切りはさすがに読めなかった。これがC基地の主戦力を失うきっかけとなってしまった」


 ミーナの裏切りにより失った貴重な戦力。

 幻術師のサヨア、兵士長のロビノ、そして副司令官のマイホム。

 C基地そのものはそこまで打撃を受けたわけではないが、この三人を失ったのは痛手だ。


「ならず者集団のリーダー、アシッド。その他にも名のある実力者達が倒されている」


 全軍に衝撃が走る。

 この南ザリィームの名のある実力者のうち、およそ半分近くがメノウたちに倒されたという人になる。

 いままでの資料が本当ならば、これは驚くべきことだ。


「いいか、奴らは並みの力では倒すことはできない。我ら全軍の力を結集し奴らを抹殺するのだ!」


 マークの叫びが全軍の士気を高揚させた。

 これだけの軍が集まればどのような強者でも敵では無い。


「奴らを倒した部隊には好きな褒美をやろう!」


 金!力!女!

 領地、地位何でも構わない。

 マークはそう言い放った。

 決戦の火ぶたは切って落とされた。




 --------------------



 全軍を鼓舞させた後、一人で自室に戻るマーク。

 自室への足を進める中、その道中で足を止めた。

 そして人気の無い場所で『彼』を呼び出した。


「ヤクモ!いるか!」


「はい、ここに…」


 マークが呼び出したのはB基地の司令官『ヤクモ』。

 若者ながらも、優秀な工作員としての一面と高い戦闘能力を持っている。

 東洋の忍びの流れを組む暗殺拳と高等レベルの縮地法の使い手でもある。


「お前に一つ調べてほしいことがある」


「は…?」


「このメノウ、ショーナ、ミーナの三人についてだ」


 ヤクモにその詳細を伝え、任務に向かわせる。

 他の重臣が信用ならぬ今、多少その情報を得ておいた方がいい。

 マークはそう考えたのだろう。

 それに彼一人だけならば多少の無理をさせることができる。


「ふふふ、わかりました」


「頼むぞ」


「ええ…」


 そう言うと、縮地法を使いその場から消えた。

 底の知れぬ男だが、その実力は確か。

 できれば全軍を動かす前に、彼に何とかしてほしい。

 軍閥長により財政が圧迫されている今、余計な金を使うことは避けたい。

 そう言った思いも込められていた。


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