第九話 C基地、陥落!
マイホムからの刺客ロビノを倒したミーナ。
彼の言葉を信じ、ミーナはマイホムの自室を目指す。
メノウがそこにいる。
そう確信して。
「あのロビノってヤツの言うこと信じるのかよ?」
「ああ、嘘を言ってるかどうかくらい、アタシにはわかるよ」
「まあいい、副司令官の部屋ってのはどこだ!」
「二階だよ!」
そう言いながら二階への階段を駆け上がり、勢いよくマイホムの部屋の扉を破壊する二人。
それと同時に部屋の中に飛び込む。
だが、その部屋にマイホムの姿は無かった。
部屋には本棚や机などが置かれているだけで隠れられる場所もない。
隠し部屋などもなさそうだ。
ロビノに騙されたか、それとも既に逃げた後だったのか…?
しかし、よく見てみると部屋の窓が開けっ放しになっている。
窓の外はバルコニーになっているようだ。
「外かな…?」
「覗いてみるぜ」
バルコニーにも誰もいなかった。
ここにも隠れられる場所は無い。
しかし、その代わりにとても怪しいものを見つけた。
それは屋上へ続く梯子だ。
屋上と言っても、それほど上等なものでもない。
スペースも狭いが、十分隠れることができる場所だろう。
「上見てくるよ」
音を立てないように慎重に上って行くショーナ。
そして、屋上をゆっくりと覗く。
すると…
「…おっ!」
「…うわぁ!」
そこにいたのは、意識を失ったメノウを抱えたマイホムだった。
偶然目が合ってしまったマイホムとショーナが同時に叫んだ。
「どうした!?」
「いた、いたぜ!」
「本当か!?よしッ!」
ミーナがショーナを飛び越え、屋上まで跳び上がる。
その場でマイホムをにらみつけるミーナ。
多節混を構えた彼女が言った。
「よお、アタシが死んでなくて残念だったな」
「ミ、ミーナ…さま…」
「サヨアやロビノを差し向けたりいろいろ卑怯な手を使ってくれるねぇ。どうせメノウにも薬か何か盛ったんだろ?」
「くぅ…やはりあの二人は使えんか…」
「他の衛兵もアタシたちが倒した!」
「メノウを返しやがれ!」
ミーナとショーナが叫ぶ。
それを聞くマイホムの顔に焦りが見える。
だが…
「く、来るなぁ!」
懐から取り出した短剣を抱えているメノウに突きつけるマイホム。
メノウを人質にとり、この場をやり過ごそうということだろう。
悪あがきだが、確かに効果的でもある。
「チッ…」
「さっき基地の方に応援を頼みました。しばらくすれば援軍が来ますよぉ!」
「チッ…C基地か」
マイホムの狙いは援軍の到着までメノウを人質に時間を稼ごうということらしい。
C基地からここまではそれほど時間もかからない。
単純な兵の数だけなら上のランクであるA、B両基地より上のC基地。
メノウが戦闘不能な今、二人だけで凌げるかどうか…
「最初はこのまま殺すか迷いましたが、ここで人質として役に立つとは…」
「(まずいな…さすがのアタシでもメノウが人質の状態じゃあな)」
さすがのミーナでもC基地の全員を相手にするのはキツイ。
メノウがいればかなり有利に戦いを進められるが、今の状態ではそれもできない。
いっその事メノウとショーナを見捨て、マイホムを抹殺。
そのまま逃げるか…?
一瞬その考えが頭をよぎる。
元々この二人とミーナは何も関係が無い。
それにマイホムもまさかミーナがこの状況で攻撃を仕掛けてくるとは思っていないはず…
「こんなメスガキでもこんな風に役に立つもんですねぇ」
「(やるか…?)」
気付かれないよう、多節混に力を込めるミーナ。
だがその時…
「うげェッ!」
叫び声をあげながら、マイホムが仰向けに倒れた。
彼の手にナイフが突き刺さったのだ。
掴む手が離れ、放り出されるメノウ。
何が起こったか理解できず、ミーナはその場に立ち尽くしていた。
「やっと見つけた…俺の旅の本当の目的を…」
そう言ったのはショーナだった。
ナイフを投げたのは彼だった。
今までとは違う、静かな口調で語りだす。
「今まではただ漠然とした目的しかなかった。けど…」
最初は安住の地を見つけるため、金稼ぎのためと漠然とした目的しかなかったショーナの旅の目的。
適当に放浪しつつけるだけでしかない旅だった。
メノウと出会ってからもそれは変わらなかった。
指名手配されてからは追手から逃げ続けるということもあったが、これは目的とは言えない。
だが、そんな中で今はっきりとショーナは旅の目的を見つけた。
「以前会った農夫のオッサン達や今のメノウ…助けなきゃいけないやつはたくさんいる」
「まさか、この南ザリィールそのものに反逆するとでも!」
「どうせもう狙われてるんだ、せめてお前みたいなやつらを始末してから捕まってやるさ」
ショーナの覚悟は既に決まっていた。
だからこそ行動に移した。
後悔などしない。
あるはずがない。
静かな、しかし熱い意志の元に行われた行動。
発した言葉。
「そうなれば、『軍閥長』をも動かすことになるぞ!」
「知るか!」
「ひ、ひぃぃ!」
そう言いながら後ずさりするマイホム。
だが、それは途中である者に遮られた。
「よ、よう言ったショーナ…それで…こそ…じゃ…」
それは、まだ薬も完全に抜け切っていないメノウだった。
身体が震え、目の焦点もはっきりとしていない。
無理矢理立ち上がっているような状態だ。
「それなら…この南ザリィールのトップを潰す…されがいいじゃ…ろ…」
そう言いながら、メノウがよろよろとした足踏みでマイホムに近づく。
「ひいぃ…」
「じゃが、その前に…」
「く、来るな!『化け物』がッ!」
「こやつを叩きのめす!」
そう言うと、まだ本調子ではないその体でマイホムに全力の拳を上から叩きつけるメノウ。
それを喰らい、屋上と屋敷の二階の床をぶち破り、一階へと叩きつけられるマイホム。
「『化け物』…か…」
「だ、大丈夫かよ二人とも!?」
すっかり蚊帳の外となっていたミーナが二人に言った。
マイホムは倒したが、援軍はあと少しでやってくる。
まだ本調子で無いメノウをミーナが館の外まで運びアゲートの後ろに乗せる。
そして、三人は館を後にした。
いまここに、南の地区山間部のC基地が陥落した。
そして新たに『猫夜叉のミーナ』が仲間になった。
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