鎖になりたい
2022年 FAを描いた時のお話
小説投稿サイトで活動し始めて1年、FAを描くようになった。
ここにはいろんな人がいて、いろんな小説が書かれている。それらの小説を読んで浮かんでくる映像をイラストに描き下ろす。
FAというものは、元ネタとなる小説がなければできはしないものだ。IFAならば、その作家のキャラクターがあってこそ成り立っている。たくさんの小説や作家が私に多くのインスピレーションを与えてくれる。ドラゴンや獣人を描くなんて考えもしなかった。
私が貰っているものはそれだけではない。
例えば誰かが描いたFAのキャラクターに影響されることもある。例えば誰かが描いたイラストの技法を真似ることもある。誰かの素晴らしいバナーに感動し、私も頑張ろうと鼓舞される。ここにある全てのものが私に影響を与えてくれる。だから私の創り出すものは、この小説投稿サイトが生み出した作品と言ってもいい。
私はここでたくさんの恩恵を受けている。
学生時代、社会人の先輩によく食事をご馳走になったものだ。だから私が社会人となった時、今までのお返しに先輩にご馳走しようとすると先輩は言ったのだった。
「俺はいい、お前が偉くなったら下の者に奢ってやれ」
ああ、みんなそうしてきたんだ、と、理解する。川が上流から下流へ流れるように、文化が過去から未来へ引き継がれるように、先輩から貰ったものは後輩に返すものなのだ。
私の2年目はもう始まっている。
小説投稿サイトにはたくさんの才能が輝いている。今のところ貰ってばかりの私は、誰かに何かを渡せるだろうか、影響を与える作品を創ることができるだろうか。過去から未来へとつなぐ鎖の一環になれるだろうか。
もし、私の作品に何らかのインスピレーションを受ける者が居たならば、こんなに嬉しいことはない。しかしもっと嬉しいのは、そこから生まれた新しい何かが、次に来る者に繋がってくれることだと思うのだ。