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シリウス サバイバー:生き残った天狼族の少年は、やがて大陸の覇者となる  作者: 海溝バケツ
第1章 自由都市ヴィルトゥス(前)
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濁流の中で ④



オドは翌日から新たな鎧を身に着けてダンジョン潜入に勤しんだ。

仮面フクロウの一件で名前を売ることに成功したパーティー【鷹の爪】は、勢いそのままに調子を上げていき、2週間も経たずに第8層階への到達を果たした。

特に、遠距離戦ではユーグとともに手数と正確性を武器に、近距離ではコリンとともに身体能力と安定性を武器に活躍するオドの姿の知名度は【鷹の爪】の知名度と比例して上がっていった。

気付けば、ユーグ、コリン、オドの3人は有望な若手冒険者(プロスペクト)ランキングの上位に名を連ねるようになっていた。


「オド、遂にオドもトップ10入りだぞ!!」

【鷹の爪】の集合場所になっている「モンタックの蜂蜜亭」にコリンが駆け込んでくる。

走ってきたのか息の荒いコリンは、それに構わずオドに今日付けのタイムスを見せてくる。

オドが紙面を確認するとユーグが3位、コリンが5位、そしてオドが9位にランクインしていた。

「“前衛も後衛もこなせる万能型。パーティーの地力を上げられる冒険者”だってよ。いいじゃないか。」

ランキングのトップ10に入ると掲載される短い紹介文を読んでコリンがオドの肩を叩く。

「凄いね!! 僕なんて若手枠でランクにすら載ってないのに。」

そう言ってハーザーもタイムスを覗き込む。

「そんなことを言うな、ハーザー。俺らが楽に戦えているのはお前のサポートあってなんだから。」

「そうだぞ、ハーザー。お前が俺たちの生命線なんだからな。」

落ち着いた声で諭すユーグにコリンも同意する。

「分かっているよ。でも羨ましいものは羨ましいんだよ。」

ハーザーがそう言うと、カルペラが無言でうんうんと頷く。

「コリン、オド。見終わったなら俺にタイムス見せてくれないか。」

唯一タイムスを見ずにコーヒーを飲んでいたユーグがそう言い、コリンからタイムスを受け取る。

ユーグはタイムスを受け取ると無言のまま紙面に目を走らせる。最近は金銭面に余裕が出始めたこととユーグの強い勧めもあって、メンバーでお金を出し合って紙のタイムスを購入するようになった。

「まただ。」

紙面を眺めていたユーグが小さく呟く。

「どうかしたか?」

ユーグの呟きを聞き逃さなかったコリンが質問すると、ユーグが顔を上げる。

「ああ、また新種と思われるモンスターの出現だ。俺達の仮面フクロウに始まって4件目だ。今回も特徴的なドロップ品と特殊な魔石がドロップ。これは例の魔力を貯められる魔石だろうな。まだ前2件の鑑定結果は出てないが、恐らく俺達と同じだろう。」

ユーグがそう言って、その記事の出ている箇所を指し示す。

「ほー、それじゃまた小金持ちが増えるって訳だ。夢があるねえ。」

「かもな。ただ、こういった例が増えていくと特殊な魔石の買い取り額も下がっていくかもな。」

「それは有り得るな。最近なんとなく通常のモンスターとの遭遇率も上がっている気がするしな。」

ユーグとコリンがそんな会話を始め、オドは2人の話に耳を傾けつつ朝食に噛り付く。

「そう言えば、オドは身長伸びてきたよね。」

オド同様に朝食に徹するハーザーが話しかけてくる。

「そうですか?」

「うん。最初に比べると何となく大きくなってきてる気がするよ。」

「そうだと嬉しいです。仲間内では成長が遅い方でしたから。」

「そうだったんだな。成長期が遅かったかもしれんな。」

カルペラがそう言って会話に入ってくる。

「オドはまだ12歳でしょ? これからだよ!!」

カルペラに頷きつつハーザーがオドに力強く言うと、再び朝食に噛り付く。

「モンタックの蜂蜜亭」でいつも通り集合・朝食・作戦会議を終えた【鷹の爪】の面々は今日もダンジョンへと向かっていくのだった。





その頃、冒険者ギルドのギルドマスターであるライリーは執務室で部下から報告を受けていた。

手元の報告資料には回収された魔石の量とその買取金額に関するデータが記されている。

「やはり、モンスターも増えていたか。」

「はい、間違いございません。」

「そうか、、、。うむ、ご苦労。下がっていいよ。」

ライリーは部下を部屋から退出させると深い溜息を吐く。

「こんな事例は聞いたことがないな、、、。とにかく魔石の買取額の値下げだけは避けたい、、、。」

ライリーは暫く窓から見えるヴィルトゥスの街並みを眺めていたが、意を決したように呼び鈴を鳴らす。

「商業、錬金術、鍛冶のギルドマスター達を呼んでくれ。」

ライリーは入ってきたメイドにそう伝えると、机に向かってペンを走らせ始めるのだった。



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