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シリウス サバイバー:生き残った天狼族の少年は、やがて大陸の覇者となる  作者: 海溝バケツ
第1章 自由都市ヴィルトゥス(前)
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プロスペクト ⑨



朝になり、習慣になった素振りを終えたオドは、昨日【鷹の爪】のメンバーと会った酒場・モンクタックの蜂蜜亭の前へと向かう。


鎧を付けないいつものスタイルだが、今日はいつもと矢袋の中身が違っていた。オドの腰にある革製の矢袋にはグランツに渡された鉄製の矢が6本入っている。


「おはようございます。」


オドが酒場に着くと、既に【鷹の爪】の4人が揃っていた。


昨日とは違いメンバーは武装をしている。メンバーは黒みがかった赤を基調とした鎧で統一しており一体感があった。


「おはよう。パウさんから聞いてはいたけど、本当に軽装なんだね。」


オドに気付いたユーグが返事をしてくれる。


「はい、これくらいが丁度いいので。」


「そうなんだね。パウさんもオド君の戦闘を見れば納得するとは言っていたけど、信じがたいよ。みんなオド君の戦闘が見れるのを楽しみにしてたんだ。さあ、行こう。」


そう言ってユーグは微笑むと、他のパーティーメンバーを誘いざなって冒険者ギルドへと向かう。


オドはパーティーの先頭を歩くユーグにリーダーとしてのカリスマ性のような大物感を感じる。

実は他の人々がオドにそれを見出しているのだが、そんなことを露にも知らないオドは勝手にクランを飛び出してもユーグ達がパウに期待を寄せられている理由に納得して彼らについていく。




「とりあえずは自由討伐依頼でいいかな。」


冒険者ギルドに着くとユーグが確認をする。


皆が頷き、自由討伐依頼書を取って冒険者ギルド受付へと並ぶ。早朝なこともあって列の進みは早く5人で話していると、すぐにオド達の番がくる。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。」


受付の女性がいつもの決まり文句と笑顔で冒険者を迎える。


「おはようございます。依頼書です。お願いします。」


「それではギルドカードの提示をお願いします。」


ユーグが依頼書を出すと受付の女性がギルドカードの提示を指示する。


オドが胸元のから緑に“G”と書かれたギルドカードを出す。【鷹の爪】のメンバーもギルドカードを出す。ユーグとハーザーは青に“D”コリンとカルペラが青に“C”と書かれたギルドカードだった。


「はい、ありがとうございます。パーティー【鷹の爪】とオド・カノプスさんですね。、、、依頼受諾を許可します。規定に従い潜入可能範囲はダンジョン4層階まで、期限は本日中となります。行ってらっしゃいませ。」


そう言って受付の女性は依頼書に判を押す。


オドはふと気になって隣に立っていたコリンに耳打ちをする。


「あの、、前回、ランクアップ条件が2層階相当のモンスターって言われたんですけど4層階まで行って大丈夫なんですか?」


「ランクは個人に関するものだから、パーティーの潜入可能範囲と誤差が出るんだ。普段の俺らは6層階までの潜入が認められているけど、オド君のランクGを反映して潜入可能範囲が4層階までになったって具合だね。」


「なるほど、ありがとうございます。」


「さあ、行こう。」


オドとコリンが小声で話している間に受付が終わったようでユーグが依頼書をしまって歩き出す。


【鷹の爪】の4人とオドは受付から離れると、どのダンジョンに向かうのかの相談をする。オドとしては金羊アフィティビトスのダンジョンには行ったため、それ以外が良いと伝える。数分の話し合いの後、黒梟エヴィエニスのダンジョンに向かうこととなる。




冒険者ギルドの北側出口を出た4人は大通りを北上し黒梟エヴィエニスのダンジョンを目指す。


オドは歩きながら【鷹の爪】の面々の装備を観察する。先頭を歩くユーグは魔法をメインにして戦うと言われるだけあって大きな武器などは装備していない。リーダーだからか4人の中では唯一、深紅のマントをはためかせている。続く赤髪のハーザーは片手剣と片手用の盾を装備している。ハーザーは背も高く魔法主体の後衛バックコートだが物理面でもバランス良く戦えるようだ。


「どうかしたか?」


オドが前を歩く2人を見ていると横を歩いているコリンが声を掛けてくる。


「いや、ユーグさんは武器を持って行かないんだなと思いまして。」


「ああ。鎧を付けてないオド君も大概だがユーグもなかなか珍しいよな。最近は魔法主体の後衛バックコートにパーティーの花形が映ってきたとは言えユーグみたいに魔法に全振りするのはこの街(ヴィルトゥス)の中でも数えるほどしかいない。ユーグはその中でも最近頭角を現してきた方だからな。どこかで自分が魔法一筋でやっていけると証明したいと思っているんだと思うよ。」


「証明、ですか。」


「ああ。俺達、特に同期のハーザーはユーグの才能に関しては一切疑問は無いが、周囲はまだユーグが魔法全振りに値するか疑念の目を持っているからな。まあ、奴はそんな逆風を追い風にできる芯の強さを持ってる。そうじゃなきゃクランを辞めてまで付いてかないよ。」


コリンはそう言うと隣のカルペラと話し始める。


オドは今度は前衛フロントコート2人の装備を観察する。

コリンは背中に巨大な大斧ハルバートを引っ提げている。大斧は両手で使うようで、代わりに鎧の篭手こての部分に装着式の分厚い小盾が付いている。小盾には様々な傷跡が残っており、モンスターと対面する前衛フロントコートの壮絶さと共に小盾の耐久性の高さが伺える。そんなコリンと話すカルペラは、その大柄な体格に負けない程に大きな盾を装備している。まさに大盾という感じで冒険者10年目なだけあり、どこか他の3人に比べてゆとりのある表情をしている。




「よし、着いた。このまま潜入で大丈夫かな?」


そうこうしているうちに【鷹の爪】とオドの一行は黒梟エヴィエニスのダンジョンに到着する。


オドを気遣ってユーグが声を掛けてくれ、オドは問題ないと頷く。ユーグはそれを見て頷き返すとパーティーメンバーを見渡す。


「まずは1層でお互いの様子を見て、それで編成を決めよう。いけそうなら2層、さらに3層と進んでいこう。無理する必要はない。今日はどちらにせよ様子見。いいかい?」


ユーグがそう言い、皆が頷く。


ユーグはもう一度メンバーの顔を見回すと頷く。それに合わせてメンバーがそれぞれの武器を手に取る。


「それじゃあ、行こう。」


ユーグの声と共にカルペラとコリンの前衛フロントコート組から洞窟の入口へと入っていく。



ダンジョン攻略が始まった。


ここまでご覧になって頂きありがとうございます。

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