新たな土地、新たな人々 ⑨
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オドは夢にうなされて目を覚ます。
昨晩は久しぶりにすんなりとと眠りにつけたオドであったが、自分が大星山を逃げた夜も出来事が夢に出てうなされてしまった。カーテンをめくると外はまだ陽は出ていないようで、うっすらと明るくなり始めていた。オドはもう一度眠る気にはなれずベッドから這い出て廊下に出る。
「~~~♪」
廊下に出るとどこからか誰かの歌声が聞こえてくるのが聞こえる。
オドは不思議に思いつつも耳を澄ませる。幸いオドの聴力は人一倍感度が高く、その歌声が上の方から聞こえてくるのもだと判別する。
「??」
オドは首を傾げつつも歌声に導かれるように廊下を進み階段を登っていく。
階段を4階まで登っても歌声はさらに上から聞こえ、オドはさらにその先にある屋上へと階段を登っていく。屋上に近づくたびに歌声が徐々に大きくなってき、よりはっきりと歌声が響いてくる。
「~~~♪」
オドがそっと屋上の扉を開くと、一人の少女の姿が見える。
その少女は朝焼けに白銀の長い髪を煌めかせながら、背筋をスッと伸ばして喉を震わせる。透き通るような、少し切なげな歌声がオドの鼓膜を揺らし、朝日に照らされたその姿は神々しくオドの目に映る。
「すごい、、、。」
思わずオドが声を漏らしたその時、少女の背中がビクッと震える。
少女は恐る恐るオドのいる後ろを振り返りオドと目が合う。瞬間、少女は逃げるように屋上の淵に向かって走ると、そのまま屋上の柵を飛び越えて冒険者ギルドの外へ落下する。
「まって、、、」
オドも少女を助けようと慌てて柵まで走り、下を覗き込むがそこに少女の姿は無かった。オドはもしかしたら冒険者ギルドを囲む水堀に落ちたのではないかと考え、急いで屋上から階段を降りる。
全速力で2階のまで降りたオドは一気に1階のエントランスまで飛び降り、冒険者ギルドの門を潜ろうと走る。その時、1つの影がオドの行く手を阻んだ。
「オド様が冒険者ギルドを出ることはライリー様によって禁止されています。」
そんな言葉と共に現れたのはターニャだった。
オドは焦るあまりターニャが自分に様づけした事にも気づかずターニャを避けようとする。
「そちらが強行突破するなら実力行使をせざるを得ません。」
そう言うとターニャは懐から短剣を二本取り出すと腰を落として戦闘態勢に入る。
「人がギルドから落ちたかもしれないんです!!」
オドが叫ぶがターニャは聞く耳を持たない。
「っく!!」
オドは咄嗟にその場で急停止すると脚のバネを使って真上に跳びターニャの攻撃を避ける。ターニャもすぐに振り返ると手持ちの縄を着地したオドの右足に向かって投げる。
オドは感覚一本でそれを避けると門に向かって足を踏み出す。
「門兵!!」
ターニャが叫ぶとオドの向かっている門から衛兵が6人出てきてオドを捉えようとする。
オドは再び急停止すると華麗なステップで迫りくる衛兵を軽々避けていく。
全員を躱しきりオドが門を見るといつの間にかターニャがそこに仁王立ちしていた。
2人の視線がぶつかり、ターニャが短剣を握りしめた、その時。
「何事だ!!」
身体にズンと響くような声がし、オドは思わず声の方向に振り向く。
声の主はライリーだった。
ターニャはオドの見せた隙を見逃さず、すぐにオドに縄をかける。ライリーは1階まで降りると、オドとターニャの言い分を聞く。オドが銀髪の少女のことを話すとライリーは「その娘だったら大丈夫だ。」と言って笑っていた。一応ギルド周辺を確認したが特に問題は起きていなかった。
◇ ◇ ◇
一連の出来事が収集するまでライリーはオド、ターニャと一緒にエントランスに残りどこか嬉しそうにニヤニヤと笑っていた。
「すいませんでした。」
オドが迷惑をかけたことをターニャとライリーに謝ると、ターニャは「びっくりしたんだからね。」と許してくれ、ライリーはもはや怒るそぶりも見せず「いいよ、いいよ。」と許してくれた。
オドが顔を上げると、ライリーは仕事に戻ろうとするターニャを呼び止める。
「実は2人に話があるんだ。」
そう言うとライリーはオドとターニャの顔を交互に見て、再び口を開く。
「オド君の実力を見たいから、明日オド君とターニャの2人で模擬戦をしてくれないか?」
ライリーの言葉にターニャが反応する。
「しかし、オド君の左肩は、、、」
「今日の午後、クルツナリック殿が来る。そこでオド君の傷は完治するだろうから問題ないよ。」
「しかし、私は、、、」
ターニャは模擬戦に消極的なようで言葉を続けようとする。
「模擬戦と言ってもギルドの決闘場を使う。もちろんヴィルトゥスの支部長も同席させる。ターニャ、断るか?」
しかしターニャの言葉を遮ってライリーが発言し、ターニャは何も言えなくなるが、最後には「承りました」と渋々ライリーの命を受け入れるのだった。
ライリーはオドに笑顔を向けると肩にポンと手を置く。
「そういうことだ、オド君。それじゃあ、よろしく。」
そう言うとライリーは歩き去って行ってしまう。オドはいまいち状況を把握できずにいたが、ターニャの指示に従い部屋へと戻るのだった。
朝食を済ませ部屋で待機していると、ノックと共にライリーが入ってきた。
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