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逃亡の果てに

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オドが気が付くとそこは霧の立ち込める森の中だった。


どうやら大星山を転げ落ち、そのまま気を失っていたようだ。

オドが立ち上がろうとすると左肩に痛みが走る。傷口が落下の衝撃だ開いたのか出血がひどくなっている。オドは矢の入っている革袋を左肩に巻いて止血するとフラフラとした足取りで歩き出す。


「生き残らなければ。」


オドはひたすら真っ直ぐ歩き続けるがいつまで経っても霧は晴れない。

オドはこの場所が霧の森の中であることを察する。しかし、それでも生き残るためには歩き続けるしかないとオドは足を前に出す。



しかし、どれだけ進んでも霧の森を抜け出すことはできなかった。

左肩の出血は止まらず、食料もないオドの体力は減っていく一方だった。徐々に意識が遠くなっていき、呼吸さえも辛くなってくる。霧はひたすらに濃く、周囲は暗い。朝か夜かもわからないような暗い森をオドは彷徨い続ける。


足が重い。腕が重い。もはや左肩の痛みは感じず、視界も安定しない。


「生き、、、残らな、、けれ、、ば、、、」


遂に倒れる。


倒れたオドの周囲には霧が立ち込める。


倒れた勢いでオドの背中から『コールドビート』の刀身がずり落ちるように姿を現す。

『コールドビート』は淡く光り、その光を霧に写す。

霧はオドを囲むように濃くなっていき、オドの周囲はオーロラのように色を変化させる霧に覆われ包まれていくのだった。








『シリウス サバイバー:生き残った天狼族の少年は、やがて大陸の覇者となる』プロローグ:大星山(完)

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