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戦いの末に



地下通路は集落から3kmほど離れた場所に通じていた。


オドが外に出て集落の方向に振り返ると、高々と上がる煙と炎が見えた。オドは拳を握りしめ、山を降りていくのだった。


「見つけたぞ。」


そんなオドの姿を見ている者がいた。ドーリーだ。


ドーリーは今回の戦闘でキーン・シリウスへの復讐に燃えており、戦闘の間ひたすら翡翠色に輝く魔剣を探し続けていた。ドーリーは天狼族が家に入った段階で自害、もしくは隠された逃げ道があるに違いないと踏んで集落の周囲を探していたのである。そんなところにオドが輝く魔剣を背負って穴から出てくるのを発見したのだ。ドーリーははやる気持ちを抑えオドを追い始める。


一方、オドも持ち前の鋭い感覚ですぐに追跡者の存在に気が付く。

しかし、悪魔との戦闘で負った左肩の傷が痛むのと、夜の山道にあまり慣れてない為か追跡者となかなか距離を開けられない。


「生き残らなければ。」


オドは小さく呟くと弓を取り出し追跡者に向かって矢を放つ。矢は真っ直ぐ追跡者に飛ぶが肩の痛みによって威力はない。ドーリーは難なく矢を防ぐ。


「流石に気づかれるか。しかし、、、手負いだな。」


ドーリーは急に冷めたように言う。

キーンがこんなに威力のない矢を放つわけがないとドーリーは思い、傷を負っていると考える。ドーリーにとってキーン・シリウスは憎むべき相手ではあるが、それと同時に剣の憧れであり目標でもあった。だからこそドーリーは万全でないキーンと戦ってまで剣で勝ちたいとは思わなかった。


「ならば、わざわざ剣で戦う理由はない。」


ドーリーも弓を取り出すと光る魔剣に向かって矢を放つ。


オドも初めは背後から次々と飛んでくる矢を避けていたが、徐々に苦しくなってくる。


「これで終わりだ。」


ドーリーは渾身の一矢を放つ。


オドの頭に向かい物凄い勢いで飛んだその矢はオドの耳を掠める。

一瞬、頭上の耳の痛みに気が向き、オドは斜面の岩に足を取られる。転げるようにオドは倒れ。そのまま斜面を滑り落ちていく。斜面は急になり、その速度はドンドン加速する。オドはそのまま大星山を転がり落ちていくのだった。


「よしっ!!」


ドーリーは転がるオドを見て声を出し、とどめとばかりに更に矢を構える。


その時、ドーリーの目の前を矢が横切る。

ドーリーが矢の飛んできた方向を見ると1人の獣人が立っている。


「またお前か。」


その獣人はコウだった。


コウは大星山を登り集落に向かう途中でドーリーを発見し、先にカイを集落に向かわせ、自分はドーリーとの決着をつけに来たのだった。


コウは何も言わずに剣を抜く。

それに応えるようにドーリーも剣を抜く。


月明かりが2人を照らし、剣と剣ぶつかり合う音だけが響く。

コウはドーリーとほぼ互角に渡り合い何合、何十合と剣が交錯する。死闘は絶え間なく続き、互いに息は切れる。遂には二人とも剣を手放し、鎧を脱ぎ捨てて殴り合いを始める。



◇ ◇



そして、戦いを始めてから約3時間、遂に決着が訪れる。


コウはドーリーに馬乗りになり顔を殴りつける。

ドーリーの意識が薄れていく。僅かに見える視界でコウが自分に剣を突き立てようとしているのが見える。


「こいつ負けるなら、後悔はない。」


そうドーリーは死際にそう思う。


コウはドーリーを倒し、立ち上がる。


再び集落を目指そうとして大星山を見上げる。


しかし、そこには自分の方向に向かって山を降りてくる教会軍の姿があった。



◆ ◆



その頃、カイは天狼族の集落に立ち尽くしていた。


カイが集落に着いた頃には教会軍は既に撤兵を済ませており、入れ違いでカイは集落に着いた。カイが見たのは集落に転がる仲間と敵が入り乱れた死体の山だった。中央に進むと爆発し、未だに燃え続けるローズの家が見えた。


「コウさんに伝えなきゃ。」


カイは来た道を引き返す。しかし、既に遅かった。


カイはコウと別れた場所の近くで全身に矢を浴びて倒れているコウの姿を見つける。カイはコウに駆け寄るが、既に息は無かった。

カイは何も言えずに膝を付く。もはや涙も流れなかった。



◇ ◇



朝日が昇り、長い、長い夜が明ける。


大星山にはカイがただ一人立っている。カイはコウを背負うと集落に向かって斜面を登る。集落に着くとカイは仲間を全員、土に埋める。既に陽は高くなっている。


「俺は死にぞこないだな。」


カイは疲れたように言うと目を閉じる。


カイが目を覚ますと空はすっかり暗くなっていた。カイは身体を起こして笑いだす。


「こんなことがあっても身体は眠りを求めるんだな。」


カイは立ち上がる。きっと俺の命が残ったのは天狼王様の導きだろう。

ならば生き残ってやる。生き残って、必ず仲間の無念を晴らしてやる。


カイはゆっくりと立ち上がると、大星山を東へ下っていくのだった。


ここまでご覧になって頂きありがとうございます。

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