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侵略者 ⑫



カイは大星山を目指して走る。


既に陽は沈み周囲は暗くなり始めている。霧の森が見え、カイはそのまま森へ突っ込もうとするが、そこで見慣れた人影を発見する。


「、、、コウさん。」


そこには何とか教会軍の包囲を突破したコウの姿があった。

カイは一瞬コウを無視しようとしたが諦めてコウに近づく。コウもすぐにカイに気づく。作戦を無視し戻ってきたカイはバツの悪い顔をするが、コウは表情を変えなかった。


「そうか、それがお前の選択なんだな。ならば、言う事はない。」


そう言うとコウはカイの肩を叩き、先に霧の森へと入っていく。


東の空には満月が顔を出してきた。



◆ ◆



その頃、大星山中腹でも教会軍による集落への攻撃が始まろうとしていた。


流砂を避けて迂回したドーリーはその間も集落からの矢の雨を浴び続け、彼らの通った後には死体が転がっている。集落には新たに空堀と柵が設置されていて、接近できても容易に攻略はできないでいた。遂に陽が沈み、周囲が暗くなり始める。東の満月はまだ低くそこまでの明るさはない。


「そろそろだな。」


ドーリー率いる教会軍の最後尾にて黒装束を纏った長身の人物が小さく呟く。


男性の身体が変形する。腕は長く、手は5本の大きな鉤爪へと変化する。口は大きく裂け、牙が顔を出す。靴は破けて、トカゲのような足が出てくる。そこには、一匹の悪魔がいた。


悪魔は集落に向けて突進するように駆けだす。


一方、弓の射ち手の指揮をしていたタージも変化に気が付いていた。

突如、敵の後方に膨大な魔力が発生し、膨大な魔力は風を巻き起こし、それがタージのもとまで届いたのだ。タージは嫌な予感を感じ、それはすぐに現実のものとなった。一匹の悪魔がこちらに向かって突進しているのが見える。悪魔の鱗は飛んでくる矢を通さず、更に集落より放たれる魔法も効果がなかった。


「まずいな。」


タージは急いでローズのもとに使いを出すと、剣を抜く。

悪魔は一跳びで策を越えると集落に侵入する。


「囲め!!」


射ち手達も剣を抜き悪魔を囲む。


しかし、悪魔が長い腕を一閃すると鋭い鉤爪に鎧ごと両断され5人が同時に倒される。そこから一方的な蹂躙が始まる。悪魔が腕を振る度に被害が大きくなる。さらに教会軍も空堀を登り始め、絶望感が漂う。


「ここではないか。」


悪魔が一言呟くと集落の中央へと進み始める。

タージは咄嗟に悪魔の狙いがオドであることに気づく。


「させるか!!」


タージは反射的に悪魔の前に躍り出るが無残にも悪魔の鉤爪がタージの胸を貫く。


悪魔は集落の中央に到達すると天に向かい吠える。

その声はローズと共に奥に控えるオドの耳にも届いた。


オドは悪魔の声を聞き何故か胸騒ぎを覚える。


胸騒ぎは違和感へと発展し、心臓の鼓動が強くなっていく。



グラン、一匹の悪魔が、こちらに向かっています!!」


ローズのもとにタージの送った使いが到着する。


オドは奥の部屋で明かりを消して一人退避している。

使いの声はオドにも届き、オドの鼓動はさらに強くなる。その時、オドは暗いはずの部屋が明るくなっていることに気が付く。手元を見ると、オドの鼓動に合わせるように『コールドビート』が輝きを放っていた。


『コールドビート』は剣契の夜と同じようにオーロラのように光の色を変える。オドが『コールドビート』を掴むと、更に鼓動が強くなり、光も増していく。


「行かなくちゃ。」


そう呟くとオドは立ち上がり、誰にも気づかれないまま家を出ると悪魔の吠え声が聞こえた方向へと走り出す。何か大きな力に引き寄せられるようにオドは夜道を駆けていく。





ここまでご覧になって頂きありがとうございます。

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