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剣契(前) ②

カイとムツの名前の由来は(うみ)(りく)です。双子なので対になり、でも隣り合わせになっているものがいいなと思いました。



「3人ともお帰り!! 今日も大捕り物だね。オドのおかげかな?」


3人が集落に着くと、カイ、ムツと同世代でオドの姉貴分であるルナが出迎える。


「そうなんだよルナねえ。この鹿は僕が仕留めたんだ。」


オドは二人の兄貴分にもしたように自慢げに鹿を指さす。そんなオドを見て年長3人にほんわかとした雰囲気が流れる。


「それじゃ、オドはローズさんに報告しておいで。解体は俺達でやっておくよ」


カイがそう言うと3人は仲良さげに集落の中央に向かって歩いていく。兄弟や同世代の仲間がいないオドにとって3人の関係は羨ましいものであり、遠ざかる3人の影をなんとなく眺めてしまう。


「爺ちゃんのとこに行かなきゃ。」


オドはハッと我に返るとローズの待つ我が家へ走っていく。


オドが産まれた時に父親のキーンと母親のタマモが亡くなり、オドがまだ幼い時に祖母であるクロエもやまいに倒れてしまったため、現在オドは祖父のローズと2人で暮らしている。


「ただいま!!」


オドが元気よく扉を開けるとローズが返事をする。


「お帰り、オド。今日はどうだった?」


「今日は岩場で鹿を仕留めたよ。そろそろ解体が終わるんじゃないか、、、」


そういってオドがローズのいる奥を覗くとローズに来客が来ていた。


「コウさん。こんばんは。」


ローズの来客はコウだった。


コウはかつてキーンと共に下山隊に加わってから11年、今ではかつてのキーンのように集落の若手のまとめ役を担っている。ちなみに彼はルナの兄であり、カイとムツの剣の師匠でもある。その為、カイとムツのどちらか先にコウを倒したものがルナとの結婚が認められるという謎ルールの下、日々壮絶な稽古が繰り広げられている。


「おお、オド。ちょうどお前さんの話をしていたところだよ。」


「そうなんだ。コウとオドの剣契の儀式について、、、」


ローズが話をしようとしたところでオドが恥ずかしそうにお腹を抑える。オドのお腹が鳴ったのだ。


「はっはっは。それよりも飯だな。オドはただでさえ細いんだからいっぱい食わなきゃな。」


そういってコウがオドの頭を乱暴に撫でる。


「細くたって狩りはできますよ!! 今日だって鹿を仕留めました!!」


子供扱いをされて拗ねたように返すオドにコウは笑う。


「そうか。やはりオドは筋がいいな。それじゃオドの戦果を貰いに行こうか。」


コウはそう言うとオドを連れて家の外に出る。


「ローズさん。肉を受け取ってきますよ。話の続きはオドも交えて夕食時に。」


コウの言葉にローズは静かに頷くのだった。






天狼族の集落では狩りで仕留めた獲物は集落の中央で解体し、その場で配布されるようになっている。


今日の成果はオドの仕留めた鹿と双子の仕留めたヤマウサギ3匹、ほかにヤマウサギ6匹と鳥4羽である。コウとオドが着くころには大体の人が肉を受け取った後だった。


「コウさん、こんばんは。」


カイとムツがコウに挨拶してから、オドの方を向く。


「オド、シカ肉の一番いい所とっておいたぞ。」


「オドはもっと食べなきゃいけないからな。」


そういって双子はオドに切り分けられたシカ肉を差し出す。


オドは自分のために肉をとっておいてくれた二人に感謝し、肉を受け取る。コウもルナから肉を受け取ると、若者3人に声をかけてからオドのもとに戻ってくる。


「それじゃ、戻ろうか。それにしても肉の状態がいい。オドも狩りの腕を一段と上げたな。」


コウに褒められオドはいい気になる。


「やろうと思えば何匹だって仕留められますよ!!」


「そうかもな。だがオド、君のお父さんが良く言ってたよ。“”を超えないようにってな。」


そういうとコウはオドを促し歩き出すのだった。




ここまでご覧になって頂きありがとうございます。

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