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シリウス サバイバー:生き残った天狼族の少年は、やがて大陸の覇者となる  作者: 海溝バケツ
第2章 自由都市ヴィルトゥス(中)
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怪しい雰囲気 ⑧


その後の”鷹の爪”の攻略は順調に進んだ。

冒険者ギルドまで戻った”鷹の爪”のメンバーが魔石を換金し中央エントランスに入ると、掲げられたタイムスの前に群がる冒険者たちの姿が見えた。

「また人混みかよ。今度はなんだ?」

コリンがそう言って人混みに近づいていく。

「"英雄祭、無期限延期!!"って書いてありますね。」

目の良いオドがその場でタイムスの見出しを読むと、他のメンバーがオドに注目する。

「、、、凄いな。」

「オド、目が良すぎでしょ。」

感心したようにユーグとハーザーが言う。

「それよりオド、今なんて言った?英雄祭が延期!?」

コリンがそう言ってオドに詰め寄ると、オドをガッと掴む。

コリンはそのままオドを肩車し、続きを読むように急かす。オドは言われるがままに記事を読む。


--------------------

英雄祭、無期限延期!!

--------------------

 冒険者ギルドは今日、今年開催を予定されていた英雄祭の無期限開催延期を決定した。ギルドマスターはこの決定について、オーバフローからの復旧のためであると説明し、市民が通常通りの生活を取り戻すまでは開催を延期するとした。現在、街全体の生活インフラの復旧は果たされつつあるが、英雄祭に伴って許される来賓や観光客を受け入れる余裕がないとの商業組合の要請を受け入れた形のようだ。

オーバフローの余波はまだまだ続きそうだ。

----------------------------------------


「なんでだよ!!」

悔しそうにコリンが歯噛みする。

「ギルドが決めたことだ。仕方がない。」

ユーグがそう言ってコリンを宥める。

タイムスの前に群がる冒険者達も、その内容を読むと各々に悔しそうな表情を浮かべる。

今日、英雄祭の存在を知ったオドにとってはそのショックがイマイチ分からなかったが、英雄祭の延期を知った彼らの悲しみは伝わってきた。


その日はそのまま解散する流れとなる。

オドはそのまま帰る気分になれず、久しぶりにダンのカフェテリアに顔を出すことにした。


「いらっしゃい!!」

猫人の店員ミアンが元気にオドを出迎える。

「オドくん!! 久しぶりだね!!」

ミアンはそう言ってオドの背中を軽く叩くと、奥のカウンター席に案内してくれる。

オドは勧められるままにカウンター席に向かうと、白銀の髪をなびかせる少女の後ろ姿が見える。

カウンター前に立つダンがオドに気づいて手を挙げると、ユキも振り返りオドに気がつく。

「こんばんは。」

オドは空いていたユキの横の席に座って2人に挨拶をする。

「久しぶりだね、オドくん。ダンジョンの帰りか?」

ダンがそう言って水を出してくれる。

「はい。銀狼コースティティアでした。」

「そうだったか。ユキはどこに行ったんだ?」

白鯨ソピアー、、、です。」

ユキはオドの方は見ずに小さく答える。

「急に敬語になって、どうしたんだ?」

ダンはからかうように言ってユキを見る。

「、、、うるさい。」

ユキは軽くダンを睨むと、拗ねるようにそう呟く。

「すまん、すまん。」

ダンは笑ってユキの視線を逃れると、オドに「待ってろ」と言って厨房に入っていく。

オドもユキも喋らず、気まずい空気が流れるが、その間にもユキは何かを言いたげにチラチラとオドを見ては視線をそらしていた。ダンが料理を持って戻るまで沈黙は続いた。

「待たせたな。」

料理を持ったダンが戻ると2人を見て笑う。

「腹が減って喋る元気もないのか?」

そう言ってダンは2人の前に白身魚とポテトのフライが載った皿を置いてくれる。

ユキも夕食はまだのようで、香ばしい香りに引き寄せられるように2人は食事を始めるのだった。

一言も発さず黙々と料理を食べる2人をダンは親のような視線で見守る。


数分後、ダンの料理を完食した2人は満足げな表情を浮かべていた。

美味しい料理は2人のあいだの緊張も和らげてくれた。


「オドくん、このあと時間ある?」

ユキがそう言ってオドに視線を向ける。

淡い水色をした瞳に見つめられ、オドは頷く。

「そう、それじゃ、ついてきて。」

そう言ってユキは席を立ちあがるのだった。


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