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シリウス サバイバー:生き残った天狼族の少年は、やがて大陸の覇者となる  作者: 海溝バケツ
第2章 自由都市ヴィルトゥス(中)
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怪しい雰囲気⑤


暗くなった路地を歩いているオドが突然立ち止まる。

「こんばんは」

オドはそう言って振り向くと、そこには情報屋の栗鼠人アーリが立っていた。

「流石だね~、オド君。どうせ、ずっと気づいてたんでしょ?」

「それは、まあ。」

「そんなにハッキリ言わないでよ。ぐすん。」

アーリがわざとらしく悲しそうな声を出す。

「それで、何の用ですか?」

オドが溜息交じりに聞くと、アーリはずいっとオドに近づく。

「話が早くて助かるよ。じつはオド君に関しての記事を書こうと思ってね。」

「僕に関しての、ですか?」

「そう。オド君に注目が集まっている今だからこそ、オド君のことを深堀りたいなって。具体的にはオド君の、、、」

オドの表情を見てアーリは口を噤む。

「、、、いや、やめよう。別の話題をしよう。」

「別の話題?」

「うん。まあこれはいろんな人に聞いてる質問なんだけどね、最近のギルドの運営方針についてどう思う? 具体的にはオーバーフローを戦った冒険者に報酬が支払われなかったことについてなんだけど…」

アーリは少し気まずそうにオドに尋ねる。

オドは恩人であるライリーの事を悪く言うことはできず、また、一応は“フィリーア”という報酬を得ているため、それもあって言葉が見つからなかった。

しかし、目の前に立っているアーリはそれを知らない。

「僕から言えることは無いです。ごめんなさい。」

嘘をつきたくなかったオドはそれだけ言うとアーリを置いて歩き出す。

アーリが追ってくることは無かった。



翌朝、剣の素振りを終えたオドはモンタックの蜂蜜亭に向かう。

「おはようございます。」

オドが店に入ると既に“鷹の爪”の他のメンバーが揃っていた。

何故か“鷹の爪”のメンバーはオドを見ると難しそうな表情を浮かべる。

「どうかしましたか?」

オドが聞くと、コリンがタイムスを渡してくる。

オドは渡された記事を開く。


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オーバーフロー兵役への報酬は絶望か!?

魔石仕入れ価格値上げ要求の声続々と。

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 昨日、晴れて5つのダンジョンが潜入再開となり各ダンジョンは冒険者で溢れかえった。オーバーフロー以前の日常が冒険者達にも戻ってきた一方で、(ちまた)ではオーバーフローでの戦闘参加への報酬が支払われていないことへの不満の声も上がっている。不満の声は大規模クラン内部からも漏れ出ており、内部関係者からは報酬支払いに対しての絶望感を訴える声が飛び出している。また、クランラプタとクラン・アイの2クランは他の大規模クランを巻き込んでの魔石仕入価格の値上げ要求をギルドに対して行う準備をしつつあるとの情報もある。オーバーフローの余波はまだまだ収まりそうにない。

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以下、主要取材相手コメント抜粋


デロン・デロルド氏(クラン・ラプタ幹部):あれだけの戦闘に対して無報酬は言語道断。何かしらの対価を。


ハイド・アルノルド氏 (クラン・アイ):冒険者ギルド上層部は早急に冒険者の声に耳を傾けるべき。


ケビン・グラナートゥム氏(クラン・ファング幹部):最近の冒険者ギルド運営方針に疑問。


パウ・ガリス氏(クラン・クロウ幹部):冒険者ギルドマスターの決定を支持。


オド・カノプス氏(パーティー・鷹の爪):ノーコメント


ユキ・ニーベルン氏 (パーティー・エレメンタルミューズ):ノーコメント


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「ノーコメントは良くなかったですか?」

「いや、というよりはクラン・クロウが孤立しないかっていう問題だな。」

オドの質問にコリンが答えてくれる。

「俺達は完全にクラン・クロウ派閥だからな。ユキさんはギルドマスターの娘だから仕方ないとはいえ、このままだとクラン・クロウ抜きで色んな話が進んでいくかもしれないな。」

ユーグはそう言ってコーヒーをすする。


皆が黙ってしまう。


重い空気の中でコリンが立ち上がる。

「まあ、俺達レベルでどうにかなる問題じゃないしな。そんなことより、目の前のダンジョン攻略だろ。違うか? ユーグ。」

「、、、そうだな、コリン。いや、すまなかった。今日の攻略に集中しよう。」

ユーグが立ち上がってコリンに応えると、他のメンバーも立ち上がる。


今日も攻略が始まる。

ここまでご覧になって頂きありがとうございます。

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