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シリウス サバイバー:生き残った天狼族の少年は、やがて大陸の覇者となる  作者: 海溝バケツ
第2章 自由都市ヴィルトゥス(中)
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怪しい雰囲気②


「いやー、いい大会だった!!」

模擬戦大会後の宴会でクラン・クロウのメンバー達が樽ジョッキ片手に湧き上がる。

「パウさんが優勝すると思ったんだけどなぁ。」

「決勝は凄かったな!! まさかマジーカが勝つとはな!!」

武闘派の多いクラン・クロウらしく宴会は大会の振り返りで盛り上がっていた。

そんな宴会の一角には“鷹の爪”のメンバーも参加しており、未成年のオドを除いた4人も酒を煽る。

「ユーグも惜しかったな!!」

「ああ。ありがとう。」

珍しく気落ちした様子のユーグをコリンが励ます。

ユーグもオド同様に準決勝で、最終的に大会優勝者となるマジーカに敗北を喫していた。

「ほら、飲め飲め。」

「ああ」

ユーグはコリンに勧められるがままに酒を飲んでいく。

負けたことが相当悔しかったのか、ユーグは酔いながらも試合を思い出しては小さな声で反省点を呟いている。対象的にコリンはスッキリした表情でビールを喉に流し込んで、周囲を驚かせている。

「やるな、コリン!!」

「おうよ。こうなりゃヤケだ。お前ら全員よりも酒飲んでやるよ」

「言ったな。なら俺と勝負だ!!」

コリンの挑発にクランメンバーの何人かが乗っかり一気飲み勝負が始まる。

盛り上がる勝負の後ろでユーグは一人で酒を煽る。そんなユーグに気づいたオドが声を掛けようとするが、他の人物が先にユーグに声をかけた。

「おい、ユーグ。」

ユーグが顔を上げると、そこにはユーグを倒して優勝したマジーカがいた。

「なんですか?マジーカさん。」

「なんですか、じゃない。ユーグ、お前最後に魔法を打つのを躊躇っただろう。」

「なんのことですか?」

「しらを切るのか。」

「、、、」

「ユーグ、お前は優しすぎる。優雅でいたいなら、圧倒的でいろ。」

「、、、はい。」

「わかったならいい。あんな無様な真似はするな。」

マジーカが立ち上がって離れていく。

計らずも2人の会話を聞いてしまったオドはユーグのもとに行こうとするが、足を止める。

1人座るユーグの手は血が出そうなほどに固く握りしめられていた。


「おぉ〜」

その時、宴会場の中央でどよめきが起こる。

オドが見ると、ちょうどコリンが6杯目の一気飲みを終えたところだった。

対戦相手がダウンしコリンがガッツポーズをする。

「ありゃ凄えな。」

近くにいたクラン・クロウのメンバーがオドに話しかける。

「そうですね。」

「いやいや、君もあれくらいの大酒飲みになるかもしれんぞ。」

「そうですかね?」

「わからんけどな。君はどこの出身なんだい?」

「、、、北方です。」

少しの間をおいてオドが答える。

「北か。ならきっと強いぞ。寒さには酒だからな。」

クランメンバーはオドの変化には気づかず陽気に続ける。

「君のお父さんはどうだったんだい?酒は強かったのかい?」

一瞬、オドの表情が固まる。

オドが口を開こうとした時、ハーザーが割り込んでくる。

「シミーズさん、それより明日はどのダンジョンに行くんですか?久々に腕がなりますね!!」

「お、ハーザーか。そうだな、楽しみだな。やはり報酬が稼げそうなダンジョンがいいな。」

「そうですよね。オーバーフロー以来しばらく稼いでないですもんね。」

ハーザーは話しながらオドに他の場所に行くように手を振る。

「そうだ!! 俺達みたいな冒険者がオーバフローを収束させたんだ。なにか報酬があってもいいんだけどな。」

「そうですよね〜。」

オドはハーザーの心遣いに感謝してユーグの隣に行くのだった。


「それじゃ、そろそろ今日の表彰をするぞ。」

皆の酔いも深まってきたところでパウが立ち上がる。

「よっ!!」

「きたきた」

クラン・クロウのメンバー達もすぐに座り、盛り上げる。

「まずは第三位、ユーグ、オド君。おめでとう。壇上へ。」

パウに促されユーグとオドが会場奥にある壇上に向かう。

ユーグ、オドの2人はクラン・クロウOBのクラン最高顧問からメダルを受け取る。

「2人とも、おめでとう。ゲストながら感心の戦いだった。」

最高顧問が2人に一言そう言うと、壇を降りるように促される。

「続いて第二位、俺。」

今度はパウがそう言って壇上に上がる。

パウも最高顧問からメダルを受け取り、一礼する。

「お前さんもついに負けたな。そろそろ潮時か?」

「顧問、御冗談を。」

壇上で2人は軽く会話を交わす。

「最後に第一位、マジーカ!!」

壇から降りたパウが宣言し、会場から拍手が巻き起こる。

マジーカは軽く手を上げてクランメンバーを見ると、振り返って壇上に上がる。

「おめでとう。ついに勝ったな。」

「ありがとうございます。」

マジーカはトロフィーを受け取って一礼する。

振り返ったマジーカがトロフィーを掲げると、会場は一気に歓声に飲み込まれる。


オドも壇上を見て拍手を送る。

ふと、視線を司会のパウに向けるとパウも段の下で拍手をしている。

満足気なパウの表情から何故かオドは目を離すことができなかった。

ここまでご覧になって頂きありがとうございます。

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