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夢の終わりはどこに消える

 フランスの香料会社。単身渡り俺はそこで調香師として働いていた。

 穏やかな物腰のせいか、友人は多く周囲には人が沢山いた。


 だけど日本人である俺を良く思わない人も少なくは無かった。


 それは突然起きた。


「蒼が調香した香水から劇物が検出された」


 寝耳に水だった。そんな筈は無い。勿論反論はした。


「蒼、お前を疑いたくは無いが混ぜ物をしたのを見た人がいる」

「まさか」


 数名が目撃したと聞いた。


「nezの称号を持つ蒼だ、信じたい…だが目撃者が多いんだ」


 図られた、そう感じた。


 そしてその会社を退職した。引き止める人も大勢居たが、もう続ける気力は無く。

 日本に帰国した。


 実家へは帰らず昔馴染みの悠斗のマンションに転がり込んだ。

 悠斗は基本俺が話さない事は聞いて来ない。

 そして人が良い、居心地が良いのだ悠斗の傍は。俺も気を許してる。多分親友と呼べる間柄。


「調香師の仕事は続けるんだろ?」

「何社から誘いは来てるからね」

「……勿体ないな、nezの称号持ってんのに」

「…………」


無言の俺、悠斗は笑いながら


「ま、いっか…もし話す気になったら聞く」


 いつか話せる日は来るのだろうか。

 裏切られたあの事。

 思い出すだけで、胸の奥が痛む。


 悠斗が愛用の煙草に火を着ける。


「煙草の匂いは苦手」

「家主に文句言うな…ベランダなら文句無いだろ」


 何のかんのと言っても、悠斗は優しい。

 窓を開け、ベランダに出る悠斗。


 紫煙が空に消えていくのを、俺はじっと眺めていた。



終幕

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