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恋愛

作者: 田中智基

この物語はフィクションです。

実在する事件・団体・人物とのいかなる関係を有しておりません。

私の人生において恋愛の挫折はたった1度。

そういえば比較的もてているかのように思えるかもしれません。

ですが、違います。

初恋で失敗し、その相手を未だ忘れられぬのです。

フラれて一年以上経った今でも街中を歩く時、最寄り駅の電車のホームにいる時、ふと彼女を探してしまうのです。


それは中学三年生の頃でした。

2年次の1年を過ごし、周りと慣れ親しんできて4月。これから3年次というところに彼女は現れました。

彼女はずるいです。これから受験に挑戦しようとしている時に現れるなんて。

率直に言いましょう。最初は顔がタイプという理由で話しかけました。LINEも越してきたその日に追加。

中学のことわからないと思うから教えてあげるね。という私自身で、それを思いついた私は天才なのではないかと思うくらい巧みな口実を使い彼女に接近しました。

彼女との話す時間はとても美しかったように思えます。


人間の脳は基本的に嫌なことを忘れられるように出来ているので、多少美化されていると思われますが、それを鑑みた上でもあの時間は美しい。

そう断言できます。

彼女と話している自分はいつもの何倍も素敵な男性、まさに紳士。

何としても彼女との距離を周りより縮めたい。

その一心でした。


皆さんもう分かっているでしょう。

そう、これは私の一目惚れ。

著者がいる世界では一目惚れは性欲によるものという研究結果もありますが、ここはその世界線ではありません。

私の一目惚れはそういった下心丸出しの恋ではない。そう断言する。


まあ、彼女と私の出会いはこんなものです。

私の一目惚れ。それが彼女との出会いでした。




「恋は盲目」

そんな言葉は恋愛を経験した人ならば1度は耳にしたことがあるでしょう。


そしてこう思ったはずです。

「その言葉いった人天才では?」

少なくとも私は思いました。なぜなら私の状況を的にいていたからです。


寝ても覚めても彼女のことばかり頭に浮かびます。

今まで1度も興味を示したことがないような女性が気になる男性のポイントなどを特集した動画を拝聴して、自分にあてはまらなかったらへこんだり、

彼女が好きなアーティストの歌を聞いて、いかにも自分も元々好きだったかのように話しかけて、音楽の話で盛り上がったり、

彼女と仲良い友人に彼女が自分のことをどう思ってるのか聞いてみたり、

ふと暇な時間には自然の彼女の方へ目がいってしまったのを覚えています。


ここでこの人気持ち悪いと思った貴方、別の小説を探しに行かんとする手を止めてください。。

ここで思い出していただきたいのは、私が今回が恋愛が初めてで、中学三年生だということ。

今まで恋愛というものから一切の関係がなかった人間です。不器用でした。

しかし、私にとってそんな思い出すらも今思い返すと美しい日々なのです。

どうか、このまま私の行く末をご覧下さい。


この恋愛に欠かせない要素となるのが受験です。


受験は私と彼女の間において会話の道具となる役割を担いました。

そして、その代償として私に常に精神的苦痛を与え続けました。


彼女と私の偏差値の差はさほどなく、どちらも中の上くらい。他よりは勉強できると言った程度でした。


だから、彼女とは勉強の話が盛り上がりました。

互いの得意教科が違ったこともあり、学校の休み時間などを使って教え合いなどもしました。彼女にとっては勉強の時間。私にとっては至福の時間でした。


しかし、今後悔するべき点としてあげるのなら受験の話しかしなかった事です。

彼女と1番話が合うのが勉強のことだったのでその会話を主として彼女との会話をし続けました。

そう。勉強の話をしすぎて面白みにかけてしまったのです。

そのことに気づかぬまま私はその会話をし続けました。

彼女はずるいです。

面白みにかけるその会話も笑顔で話すのだから。


そして月日は流れます。

7月。私は誰かがネットで書いていた告白するなら出会いからの3ヶ月以内というのを信じ、修学旅行で責め、終わりに告白をしようとしていました。

周りの友人からの言葉は「絶対付き合える。」

根拠が薄いこと極まりないそんな言葉さえ私は信じていました。

そして、わたしは告白してフラれました。

想像を絶する痛みでした。

私の一部がかけたような気がしたのです。

私の人格の全てが否定されたような気がしたのです。

最初は冷静になって、次に涙を流して、次に悲嘆にくれる。感情の起伏が激しかったです。

次の日からも悲しい気持ちなのは変わりありません。自分の一部が欠け、自分の全てが否定されているのですから。

彼女との会話をすることはもちろんできず、彼女と顔を合わせることでさえ難しかったです。

自分はもうダメなやつなんだ。

友人の励ましの言葉など一切入ってきませんでした。

右耳から入って左耳から抜けると例えられる感覚はこれか。という発見がそこにはありました。


彼女にフラれた後数週間は無気力感に襲われていました。


それで終わるだけならまだマシでした。

彼女は俺が尊敬していた友人と付き合い始めたのです。

そして、自分がアタックしていたあの修学旅行。彼女もまたその友人にアタックしていたのをあとから聞きました。

尊敬している人は好きになり、自分は拒否される。

より一層自分に対する嫌悪感と自分の体の脱力感が増えました。

数ヶ月後、なんとか切り替えて受験に集中しました。


そして、月日は流れ3月。

受験です。

ここでもまた悲劇は起こります。

自分は落ちていました。



彼女はずるいです。

受験も恋愛も成功させてしまうのだから。


私は受験の失敗に加えて恋愛の失敗も思いましてしまったのだから、もう大変でした。


大号泣し、受験に受かった人全員を妬み、ひがみ、恨みにも似た感情を持ちました。

友人にすら怒りを覚えました。

もう全てがどうでよもよくなって、強大な無気力感に襲われベットに倒れては自責の念にかられる。

そんな生活ではまともに寝ることも出来ず、深夜まで夜更かしするという駄目な人間の暮らしをしていました。


暗い気分のまま迎えた卒業式は最悪の気分でした。


彼女との会話は卒業式から数週間後までなかったです。

つまり、数週間後にはあったのです。

彼女はこう私に話しかけてきました。


「大丈夫?最近周りの人が皆君のこと暗いって言ってたから心配して。元気出たらまたたくさん話そうね。君は私がなんでも話せる数少ない男子の友達なんだよー。」


本当に。これだから彼女はずるいです。


あの人が恋しいなぁ

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませて頂きました。 恋愛の難しさを感じる話だなと思いました。
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