岐路【伏線部分改稿中】
土日が待ち遠しい。
いつしか俺は、藍と愛し合うのが一番の楽しみとなっていた。
平日は仕事優先でこなし、土日は藍優先で愛し合う。
Webカメラから部屋を確認すると、今日も藍が小まめに掃除洗濯をし、料理の下ごしらえをしている。
お嫁さんっていいなぁ。
手料理っていいなぁ。
ふわっと女の子の香りがして、細くて白くて柔らかくて、ボリュームのある胸とお尻は俺を満足させるのに十分だった。
後ろから藍に抱きつくと、なんだかもう手離したくなくなるんだ。
「昨夜ー、最近休んでたけどどうしたの?」
「女連れ込んでヤってたりしてー!」
「ギャハハ!」
「だから咲夜は仕事が忙しいんだって!」
当たらずとも遠からずだが、まったく下衆の勘ぐりだ。
底辺校で一番不快なのは、周りが猿ばかりだと言うこと。
今まではよくある事だからと我慢していたが、俺は藍との将来を考え大学はもう少し偏差値の高いところを狙おうとボヤッと考えていた。
行く高校や大学で人種が変わる。
底辺校なんて行く奴はヤるの優先な猿か、根っからのバカ。または引きこもり。
中堅校になると、頑張っても名門校一流校に行けない半端者が多い為、空回りする生徒が虐めに走る傾向にある。更に言うなら下手に頭が回る分、内容が陰湿だ。
一流校名門校になると、偏差値や家柄でのマウンティングの場。
この中だと俺は迷うことなく、一流校名門校を選ぶ。
だって俺のハッキング能力は一流なんだ。
米国の警察直属で働いているのなんて、日本じゃ俺くらいなものだぞ。
そんな俺にマウンティングしてくる奴なんて蹴散らすことできるだろ?
問題は学力なんだけど、俺は勉強に興味を持てない。
でも藍の為なら頑張ろうって思えるんだ。
東大は無理にしろ、MARCH程度には学力を上げようと俺は意気込む。
そして勉強の仕方を検索し一流校名門校のサイト内を軽くハッキング。
ろくに勉強をしたことのなかった俺は、要領が掴めるまでこれを繰り返した。
「神様、お夕飯出来ました。」
「今日も美味しそうだね。」
「本日のメニューは、
鶏モモ肉のハーブ焼きとバゲットのガーリックトースト
グリーンピースと枝豆のポタージュスープ
トマトカップのササミとカッペリーニサラダ
それからミニサイズのオレンジ・ガトーショコラ
でございます。」
藍の自信満々な声。
料理が美しく盛られた皿は、とても安物だとは思えずレストランにでも来たようだ。
「藍、毎日こんなご馳走作らなくてもいいんだよ。
たまには手を抜いてゆっくりしたら?」
「藍には時間がたくさんありますから、これでもゆっくりさせて頂いてるんですよ。」
「作るのもそうだけど、これだと食器や調理器具洗うのだって大変だろ?」
「いえ。
藍、それ得意ですから。」
「お金は足りてるの?」
「冷凍保存ができる食材がメインになっていますので、なんとか。
それに普段使うのは、鶏と豚ばかりですから。
あと、例えば今日ですとくり抜いたトマトの中身は冷凍保存しておいて後日パスタに入れるなどの工夫をしようと思っています。」
「足りてるならいいんだけどね。」
俺は、ナイフとフォークでメインの鶏のハーブ焼きを口に運ぶ。
相変わらず美味い。
鼻から抜ける香草の香りが爽やかで、食欲をそそる。
身内びいきなのを差し引いても店を出せるレベルだ。
「藍、いいお嫁さんになれたですか?」
「なれてるよ。」
「神様ー!」
藍も笑顔でフォークを口に運ぶ。
「ね!美味しいでしょ?」
「はい。」
そして、和やかに時が過ぎてゆく。
それはまるで束の間の天国のよう。
俺はそんな幸せを実感しながらも、藍の国籍や戸籍のことを考えていた。
こんな生活が続くのはいつまでなのだろう。
今、藍の身分証は何もないんだ。
藍のことが知られてしまえば、いつか終わりが来て壊れてしまう。
そんなことを考えながら、美味しい夕食に舌鼓を打つ。
藍は俺を見ては嬉しそうに微笑み、先の事など考えていないように見える。
溜息を吐きながらも藍から目が離せなくてら俺は温かなものと心臓を喰い荒らすものが同時にここ存在しているようなそんな気持ちになっていた。